PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

「今」に集中して筆を走らせ、自身を表現する書で心を解き放つ時間を

書に集中し心を解放する事と想像力を養う事の大切さを伝える書家

森山幹予

森山幹予 もりやままさよ
森山幹予 もりやままさよ

#chapter1

心が落ち着く「書・アート教室」と着物に親しむ「短期集中型着付け教室」を開催

 「文字を書くことは一心に集中すること。中でも書道は、墨に含まれる香料が心を落ち着かせ『今この時』に没頭することができます。きれいに書こうとするのではなく、自分に正直に、自由に筆を走らせることで、生活のしがらみなどを忘れて心を解き放つ。そんな時間を過ごしていただきたいですね」

 そう語るのは、「サロンBEAU(ボー)」の森山幹予さん。大阪府摂津市で、書・アート教室と着付け教室を主宰しています。
 「『BEAU』は、フランス語で快晴を意味します。サロンに来てくださる方にリラックスしてもらい、心が晴れ渡りキラキラと輝いてほしいと考え、名づけました」

 書・アート教室では、名刺やハガキサイズの厚手和紙に、「感謝」「優」「豊」など自分がこうありたいと思う字を書く「文字守り」のクラスを用意。ノートに挟んだり、パスケースに入れたり、目につく場所に貼ったりして、なりたい自分を後押ししてくれると言います。

 「1m四方の和紙に向き合い、大きな筆に感情をのせる『イメージング書』にチャレンジするクラスもあります。事前に半紙で練習をして構図を捉え、はね、はらいなどの感覚をつかみます。味わったことのないパフォーマンス書道に、みなさん生き生きと取り組んでおられます」

 母親や祖母が日々装う姿を見て、自然に着物に親しんだという森山さん。着付け教室では、グループとマンツーマンレッスンを実施。全6回の短期間で学べるのが特長です。

 「書や着物を通じて姿勢や所作を正すなど、日常とは違う体験をして、新たな気づきを得てもらえたら幸いです」

#chapter2

文字の意味を考え、筆と墨でさまざまに表現できるのが書道の面白さ

 森山さんは7歳から書道を習い始めました。社会人となり稽古を中断した時期がありましたが、再開して師範免許を取得します。
 「美しい文字を書く先生はたくさんいらっしゃいますが、私は自分が感じるままに表すのが好きなのだと思います。例えば『風』。静かに吹くそよ風と台風のように荒々しい風では書き方が違ってきますので、生徒さんもご自身の感性を存分に生かしてください」

 漢字には一字ずつ成り立ちがあり、平仮名は漢字に由来します。それぞれが持つ意味を考えながら、表現する楽しさも多くの人に伝えたいと力を込めます。

 「1本の線でも強弱をつけることで、細い線からは繊細さが読み取れ、太い線であれば自信や威厳に満ちた雰囲気が出ます。絵画は色を塗り重ねることができますが、書道は一発勝負。その時の墨の含み方や筆の入れ方で見え方がかわり、思い通りにならないところが面白さであり魅力です」

 書の奥深い世界に触れ、非日常体験や自分を取り戻す時間を持ってほしいと願うのは、シングルマザーとして子育てと仕事に忙殺された自身の経験に基づいています。

 「以前は、オーダーメード衣装を制作するデザイナーをしていました。ある日、帰宅すると玄関で涙があふれて止まりませんでした。ストレスがあっても、顔に出さないようにして胸の内に抱え込んでいたんです。自分では気づかないうちに無理をしていたのだと痛感しました。同じように、一人で悩んでいる方に心を解放してほしくて教室を開きました」

森山幹予 もりやままさよ

#chapter3

書を通じて我慢というよろいを脱ぎ、活力の源「欲望」に従い気持ちを楽に

 サロンのホームページには、赤い洋服に身を包んだ森山さんが後ろに「欲望」と書かれた半紙を持つ写真が掲載されています。

 「欲望には遠慮なく欲するといったネガティブな印象を持つかもしれませんが、望みをかなえる活力の源。悪いことではないので、隠さないでほしいというメッセージです。特に女性は仕事や育児、家事に追われ、自分のことを後回しにしがちです。時には我慢というよろいを脱ぎ、自らの意志に素直に従うことが大切です」

 大きな和紙に文字を書いている生徒が、どんどん高揚して頰が紅潮。帰る時は「元気になった」「とりこになる」とスッキリした表情を見せるそうです。自分の書を家に飾り「気にしていたことが、取るに足らないことに思えた」と連絡をしてくる人も。生徒から寄せられる感想を聞くたびに「教室を始めて良かった」と充実感に満たされると話します。

 「全てを忘れて『今』に立ち返ることができるだけで、気持ちが楽になります。月に1回でもいいので足を運んでいただきたいですね」と呼び掛ける森山さん。「子どもさんに伸び伸びと文字を書いてもらい、想像力を養う情操教育につながれば」と考え、親子教室もスタートしました。

 自身の創作活動にも力を入れ、2022年、フランスのパリで開催された展覧会では初出展で特別賞を受賞。「国内外問わず、今後もどんどん挑戦していくつもりです。ゆくゆくは古民家で、ギャラリーのように作品を展示し、二拠点で教室もできたら」と夢を描きます。

(取材年月:2023年10月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

森山幹予

書に集中し心を解放する事と想像力を養う事の大切さを伝える書家

森山幹予プロ

書家

オフィスBEAU

個々の感情を反映させた、文字の自由な表現に重点を置くことの大切さを強調。筆と墨を使いながら「今」に集中することで、日々の生活から一時的に離れ、自己と向き合い、充実感を得られる機会を提供する。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ大阪に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または朝日新聞が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO