「どう違うの?」「自分に必要なのはどれ?」高齢期の「もしものときの備え」 それぞれの契約の特徴と違いを、事例を交えながら分かりやすく解説

西田隆博

西田隆博

テーマ:気になる、親の終活。

見守り契約・任意後見契約・死後事務委任契約の違いをわかりやすく解説

高齢期を迎えると、健康やお金、暮らしや身の回りのことについて「もしものときの備え」を考える機会が増えてきます。

その中でよく耳にするのが
「見守り契約」
「任意後見契約」
「死後事務委任契約」

といった制度です。

名前は聞いたことがあっても、
「どう違うの?」
「自分に必要なのはどれ?」

と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。

この記事では、それぞれの契約の特徴と違いを、事例を交えながら分かりやすく解説します。

見守り契約とは

見守り契約とは、元気なうちから信頼できる人に、自分の生活を定期的に見守ってもらう契約です。

特徴

・健康状態や生活状況を定期的に確認してもらえる
・将来に備えて「任意後見契約」へスムーズにつなげやすい
・契約内容は柔軟で、自分の希望に合わせて決められる

事例

ある程度は体力もあって元気だし、判断能力にも問題はないが「一人暮らしで、遠方に住む子どもに迷惑をかけたくない」というときに、定期的に生活状況を確認してもらうもの。元気なうちは話し相手や相談相手としても安心感があり、将来判断能力が衰えてきたときには任意後見へ移行できる準備にもなります。

任意後見契約とは

任意後見契約とは、将来、認知症などで判断能力が低下したときに備えて、信頼できる人に「後見人」になってもらい、主に財産の管理などで代理人を任せる契約です。

特徴

・判断能力があるうちに契約を結び、事前に後見人を選んでおく。
・将来、認知症などで判断が難しくなったときに「任意後見人」がサポート開始
・財産管理や介護施設入居手続きなどで、代理人になってもらえる

典型例

「将来、認知症になったら財産の管理や施設入居の手続きが不安」というときに司法書士や行政書士と契約しておくケースが多い。実際に判断能力が低下したとき(認知症を発症した時など)、家庭裁判所の手続きを経て、後見人が代理人となります。

死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、自分が亡くなったあとに必要となる事務手続きを、あらかじめ信頼できる第三者に託しておく契約です。

特徴

・葬儀や納骨、役所への届出、病院や施設の清算などを依頼できる
・相続手続きとは別で、生活に関する事務的なことを任せられる
・特に家族が遠方にいる方、親族に頼れない方に有効

事例

「子どもがいないため、葬儀や役所の届出を頼める人がいない」というときに契約するもの。亡くなった後、委託を受けた者が葬儀手配や住まいの片付け、公共料金の解約などを代行し、安心して人生を終える準備が整います。


事例:70歳・一人暮らしのAさんの場合


まだ元気なうちに「見守り契約」

Aさんは70歳、一人暮らし。子どもは遠方に住んでいて、近くに頼れる人はいません。
体調への不安から専門家と見守り契約を結び、定期的に健康や生活の様子をチェックしてもらうことにしました。

・できること:定期訪問や連絡で安心感を得られる、体調や生活状況を把握してもらえる
・できないこと:判断能力が低下した場合の財産管理や介護契約は任せられない
だからこそ、将来に備えて任意後見契約を用意しておく必要があります。

認知症の兆候が出てきたので「任意後見」に

数年後、Aさんに物忘れが目立つようになり、介護サービスや銀行手続きが難しくなり、医師から認知症だと診断されました。
そこで、元気なときに結んでいた任意後見契約にもとづき、家庭裁判所へ後見監督人選任の申立を行ない、一定の手続きを経て任意後見人による後見が始まります。以後は後見人がAさんの代理人として財産管理や施設入居手続きなどを管理していきます。

・できること:財産の管理、契約手続きなど幅広く任せられる
・できないこと:本人が亡くなったときの葬儀や役所手続き、公共料金の解約など
亡くなった後の対応はカバーできないため、死後事務委任契約が必要になります。

亡くなったあとに「死後事務委任契約」

その後Aさんは病気のため亡くなりました。
事前に結んでいた死後事務委任契約により、契約で委託を受けていた者が葬儀や納骨、役所への届出、公共料金の解約、住居の片付けまでを対応しました。

・できること:死亡届の提出、病院・施設の清算、葬儀や納骨の手配、家の整理
・できないこと:遺産など財産の処分(本人の意思で決めたい場合は「遺言」が必要)
死後の「事務処理」は任せられるが、相続や遺産分割には遺言書を準備する必要があります。

まとめ:なぜ複数の契約が必要なのか


・見守り契約は「元気なうち」のもの
・任意後見契約は「認知症になったとき」のもの
・死後事務委任契約は「亡くなったとき」のもの
・さらに「遺言書」は亡くなったあとの財産のこと
それぞれにできること・できないことがあるため、複数を組み合わせることで“生前から死後まで切れ目のない安心”が実現するのです。

最後に大切なこと

これらの契約や準備は、すべて「元気なうちに」しかできません

判断能力が低下してからでは任意後見契約を結ぶことはできませんし、亡くなってからでは死後事務委任契約を用意することもできません。

「まだ大丈夫」と思って先延ばしにしてしまうと、いざ必要になったときに何もできなくなってしまうのです。

だからこそ、「そうなってから」ではなく「今のうちに」。
未来の安心のために、元気な今だからこそ準備を始めていただきたいのです。


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西田隆博(行政書士)

行政書士西田法務事務所

相続業務の経験豊富な行政書士です。今できる親孝行として、これからの安心を約束する「人生の卒業アルバム」の制作や、任意後見契約、家族信託の手続きを通して、理想の終活の実現をサポートします。

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