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創業から240年余り。住宅から歴史ある寺社仏閣の屋根まで累計施工件数は5万件超

200年以上続く会社の伝統を守る屋根工事店代表

興津知明

興津知明 おきつともあき
興津知明 おきつともあき

#chapter1

屋根の新設や葺き替え、点検・修理を手掛け、関西エリアで広く対応

 いぶし瓦の製造元として、1700年代後期に兵庫県の淡路島で創業し、後に大阪市に拠点を移した「興津商店」。屋根ひとすじで240年余り歴史を重ねてきた老舗を率いるのは、8代目の興津知明さん。住宅をはじめ、公共施設や店舗、寺社仏閣といった建物で屋根の新設や葺き替え、点検・修理を手掛けます。関西エリアを広くカバーし、累計施工件数は5万件を超えると言います。

 「何代にもわたり店を続けてこられたのは、常にお客さまにご満足いただいてきたからだと自負しています。連綿と受け継いできた技術を駆使し、細部まで一切の妥協なく仕上げます」と興津さん。

 現在は日本瓦だけでなく、洋風の軽量瓦、金属や化粧スレート、アスファルトシングルなど各種素材を扱い、住まいの外観を彩ります。「屋根は雨風をしのぎ、美観にも関わる重要な存在ですから、定期的にお手入れすることが大切です。色あせやズレ、軒先天井に雨シミなどがあれば早めにご相談ください」

 劣化状況などを的確に把握し、顧客の要望も踏まえて工事内容を提案。「興津商店に頼んでよかった」と言ってもらえるよう、従業員には「何か至らないことはないですか」と最後に必ず尋ねるよう指導しているとのこと。

 「『何度も直しているのに雨漏りが止まらない』と困り果てている方からご依頼をいただいたことがあります。それまで部分的な補修を繰り返していましたが、古いお宅だったために下地材(ルーフィングという防水シート)が施工されていませんでした。現状をご説明して全面葺き替え、雨漏りが解消し非常に感謝されました」

#chapter2

大学卒業後、家電メーカーを経て家業へ。屋根屋として一から修行し技術を習得

 1968年に大阪市で生まれた興津さん。関西学院大学商学部を卒業後、家電メーカーの松下電器産業(現パナソニック)に就職し、法人営業に従事します。「長男の私は、祖父母から『将来は家を継ぐんだぞ』と言われて育ちましたが、なかなか家業を継ぐ決心がつきませんでした」

 大学を出て7年目を迎えた1999年の年末、祖父が他界。葬儀のために帰阪した日、当時、興津商店の京都営業所で責任者をしていた叔父に「話がある」と呼び出されました。

 「『おまえの父は、60歳になるのに朝早くから夜遅くまで仕事をしている。それを何とも思わんのか?お前の人生だから松下を辞めて帰ってこいとは言わないが、家を継ぐか継がないか一日も早く意思表示をしてやれ。心のどこかで息子が後を継いでくれると期待して頑張っている父がかわいそうだ』と。とうとう決断すべきときが来たという感じでした」

 30代になり、松下電器では昇格試験の候補者になっていた興津さん。このまま昇格してしまうと簡単には退職できません。

 「思いあぐねていたタイミングで、母親から『最近お父さんの体の調子が悪い、帰ってきてもらえないか』と連絡があり、腹をくくりました」

 実家に戻り、2000年の1月に興津商店へ入社。平日の昼間は現場で修業しながら、日曜日に瓦学校へ通う生活を約2年間続けます。さらに、ベテラン職人と2人で年間500件以上の屋根点検をこなし、実技とあわせ現場を見極める目を養いました。

興津知明 おきつともあき

#chapter3

リフォームの相談や、屋根工事に関する情報発信にも力を入れていきたい

 興津さんは2003年に社長に就任し、経営、営業、現場工事と忙しい毎日を送ってきました。経営者として走り抜けた二十余年は「あっという間だった」と振り返ります。

 「とはいえ、業界にはさまざまな変化が起こりました。昨今は地震が頻発し、お客さまは重量がある瓦を敬遠する傾向にあり、瓦の需要が落ち込みました。屋根材には様々なものがありますが、長所と短所があります。当社が長年大事にしてきた瓦を含め、耐久性や断熱性といった各素材の特性を生かし、適材適所の施工をご案内していくつもりです」

 客先では、屋根だけでなく住まいの不便や不具合を耳にすることが多く、今後はリフォームの相談にも応じていきたいと話します。「当社と同じように、お客さまを第一に考える同志とネットワークを築き、信頼できる業者も紹介していくことを検討しています。わが家で快適に過ごせるよう、お力になれたらうれしいですね」

 さらに、不適切な工事で被害を受ける現状を鑑み、情報発信にも力を入れていく方針だとか。「インターネットで誰もが手軽に調べものができますが、間違った内容も少なくありません。また、強引な商法も見受けられます。屋根の専門家として、お客さまに正しい知識をお届けできたらと思っています」

 家とそこに住む家族を守るため、江戸時代からあまたの屋根を整えてきた興津商店。「お客さまのお役に立つことを追求し、喜んでもらえる仕事を提供する」との信念を継承し、日々の業務にいそしみます。

(取材年月:2024年4月)

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専門家プロフィール

興津知明

200年以上続く会社の伝統を守る屋根工事店代表

興津知明プロ

屋根工事業

株式会社興津商店

1700年代の後期に創業して以来、顧客満足を追求。「きれいに葺かれた屋根の家に住みたい」「雨漏りを直したい」といった声に応え、細部まで妥協をせず、積み重ねてきた歴史に恥じない美しい屋根に仕上げます。

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