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小論文指導のポイントは「自分を見つめること」「自分をみがくこと」

小論文指導と自己表現・進路アドバイスの専門家

角野裕美

角野 裕美(かどの・ひろみ)さん
オリエンテーリングに続いて小論文をまず書いてもらいます。

#chapter1

マイノートを作ります

 大学受験を控えた高校生や就職活動をする大学生たちに試験科目として課せられる「小論文」や「作文」の書き方を独特の手法で指導するのがOffice Catalyst(オフィス・カタリスト)代表の角野裕美さんです。出版社の作文添削、高校や予備校などへの出張事業などで20年以上の実績をもち、2012年4月から自宅を拠点に求めに応じて個人事業やグループ、学校などへの出張講座をする事業を始めました。都島区の自宅を教室にした指導も随時行います。
 角野さんの小論文作成指導のポイントは「自分をみつめ、磨くこと」です。
具体的には「書く前に、良い文章をたくさん読んでおくこと」「読んで心に残ったこと、感想などを書き留めること」「気に入った文章は書き写すこと」から始めます。「これをするのにまずノートを一冊作ってもらいます。これを私は『マイノート』と呼んでいます」
角野さんは「新聞の解説や、作家や科学者の投稿記事が参考なります。時事的なテーマに関心を持つことで、論文の内容をタイムリーなものにすることができます」とアドバイスします。
 その上で、文章を書き写し、自分の体験に照らした感想も「マイノート」に書いていきます。自分の手で「書く」こと大切で、自分の内面と向き合う心が生まれ、あるテーマで文章を書こうする時、「自分の言葉」として文章を紡ぎ出すことができるのです。
 「受験指導書に<体験に基づいて書こう><自分の言葉で感想を書こう>と書いてあるのはそういうことだと思いますよ」
 これが角野さんの「自分を磨く」指導法です。

#chapter2

目指してほしいのは、自らのキャリアを見据えた進路選択です

 「目指してほしいのは、当面の試験に合格するということだけではなく、今後の自分、自らのキャリアを見据えた進路選択なんです」
 そのために角野さんは次のようなステップで授業を進めていきます。
 ステップ1:カリキュラムの決定
 志望校に合格するために必要な科目・課題と提出書類の確認から具体的にどんな対策が必要で、そのためにどのくらいコマ数の授業が、費用も含めて受講生と一対一で向き合って決定します
 ステップ2:自分史作り
 今ある自分は、一瞬でそうなったのではありません。これまでの自分の歴史をフォーマットに書き込んでいきます。これらが、すでに文章を書くことの練習にもつながります。また「なぜ、この大学・学部を志望するのか?」「何が、自己アピールできることなのか?」が明確になっていくのです。
 ステップ3:演習
 時事問題も含め「社会を知る」ことに取り組みます。出題される小論文や現代文、英語の論説文の内容にも直結しているからです。
ステップ4:実践準備
書類の作成と同時進行で、「過去問を踏まえた小論文の書き方の練習と添削の繰り返し」と、「模擬面接やプレゼンテーション対策」を受講生の希望に応じて、組み合わせていきます。
 小論文の演習で表現力を向上させるプロセスは、社会人の自己表現力の向上にも関連しています。角野さんは、転職志望者を支援する厚生労働省指定のキャリア・コンサルタント能力評価試験に合格したCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の資格を取得しており、転職を目指す中高年の人のキャリアカウンセリングへと仕事の幅を広げようと意欲を燃やしています。

Catalystは自分を「語る人」を育てます

#chapter3

これまでに培った自己表現術を伝授します

 角野さんは、関西大学商学部を卒業後、大手日用品メーカーや医療機器会社に営業職として勤めた後。1990年に大阪・鶴見緑地で開かれた「国際花と緑の博覧会(花博)」の財団法人協会コンパニオンを経験しました。
 「国内外のお客さまのアテンドなどを通じて、自分の気持ち表現することの大切さを実感しました」という角野さんは、結婚、育児の合間にもモデル事務所に所属してCMの主婦モデルや企業のイベントに出演。一方で、茶華道や着付けのお稽古事、調理師免許取得と自己研さんにも努める中で、2000年頃から通信教育会社や出版社の作文添削講師を在宅で始めました。
 「実際に自己表現をする仕事をしていたので、自分自身をプレゼンテーションすることの大切さを体験的に伝えられます」
実体験に基づいて文章指導をする角野さんの考え方を、教育現場で直接指導してほしいという要望が高まり、2004年に実際に高校に出向いて講演・指導を始め、2006年には「Office Catalyst」として個人で開業しました。
 「カタリストというのは、『触媒』という意味です。自分自身はそのままで化学反応を促進する触媒を、小論文の指導者の役割に重ね合わせました。また、受講生の皆さんに<自らを語る人=かたる+ist>になってほしいという願いを込めた掛け言葉なのです」

(取材年月:2013年3月)

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Profile

専門家プロフィール

角野裕美

小論文指導と自己表現・進路アドバイスの専門家

角野裕美プロ

講師

Office Catalyst(オフィス・カタリスト)

様々な職業体験と予備校講師の実践を基にカウンセリングを行い、個別の要望に沿って指導。総合型・推薦入試で必須の志望理由や自己推薦の書き方、小論文・面接対策を受験生だけでなく保護者にもアドバイスが出来る。

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