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「eスポーツ×就労支援」で、障がいのある人が働く場を広げたい

障がい福祉事業の経営をサポートする行政書士

野口龍二

野口龍二 のぐちりゅうじ
野口龍二 のぐちりゅうじ

#chapter1

eスポーツを活用した就労継続支援B型事業所「メタゲーム」を展開

 障がい福祉事業に特化した支援を行う「行政書士さくら総合法務事務所」代表の野口龍二さん。行政書士として許認可申請や書類作成を手掛ける一方で、福祉事業所の経営者としての顔も持ちます。

 グループ企業「わーくぷらす」が運営するのは、障がいがあり、一般企業で働くことに不安がある人を対象にした就労継続支援事業所。特性や体調に合わせて自分のペースで就労訓練や作業に取り組め、雇用契約を結ぶA型と、雇用契約を結ばないB型の2種類があります。

 2022年から立ち上げたのが、就労継続支援B型事業所「META GAME(メタゲーム)」です。オンラインゲームでの対戦をスポーツ競技とする「eスポーツ」を取り入れ、利用者はパソコンでの作業や、動画編集、アニメーション制作などに携わります。
 「社会に出たい気持ちがあっても、その一歩を踏み出すことが難しい方は多いです。eスポーツは、障がいの有無や年齢・性別の垣根なく、個性や力を発揮でき、近年注目されています。『ゲームが好き』『デジタル機器に触ってみたい』など、少しの興味が社会とつながる大きなきっかけになります」

 野口さんのもとでは、メタゲームのフランチャイズ展開を進めています。グループ企業の「インフェライズ」を本部として、加盟事業所をサポートします。
 「大阪市内や首都圏で直営している事業所は、いずれも定員が埋まっており、ニーズは高いといえるでしょう。すでに開業準備を進めている事業所もありますので、これから各地で広げていきたいですね」

#chapter2

福祉事業所の経営ノウハウをもとに、初めての開業から運営まで伴走

 障がい福祉事業に新規参入したいと思っても、「右も左も分からない」とためらう経営者は多いでしょう。就労継続支援事業所の開業・運営には、設備や人員など国の基準を満たす必要があり、書類の作成や法改正への対応など、専門知識を要します。
 「まったく初めてでも、制度や仕組みなどを一からお伝えし、ゆくゆくは自分たちで運営できるようお手伝いします。当方では、社会貢献として障がい者雇用を広げたいという思いのある事業者を歓迎します。国からの報酬が得られ、安定した収入が見込めるという側面もありますが、報酬体系は稼働率や利用者に支払う工賃などに基づくため、収益を上げる工夫も欠かせません」

 メタゲームの加盟事業所サポートでは、必要書類の作成や許認可の手続きのほか、職員の採用・教育や報酬の算定など、開業から運営まで一貫したコンサルティングを提供。各種補助金の申請の相談にも応じます。
 「これまで行政書士としての業務だけではなく、就労継続支援事業所で10年近く実際の運営にも携わってきました。実務で培ったノウハウをもとに、先々を見通したアドバイスができます」と野口さん。

 毎月の定期訪問では、経営者はもちろん、随時職員と連携を取り、業務改善や売り上げ向上に向けたアドバイスのほか、申請代行、運営における質問など幅広く対応しています。またチャットワークアプリを活用し、いつでも相談できる体制も整えます。
 「経営側からキャッシュフローについて質問されたり、利用者とどう接したらいいのかなど職員の不安に応えたり、やり取りの頻度は多いですね。事業の立ち上げから伴走し、より良い運営を支えます」

#chapter3

福祉事業所の運営経験を持つ行政書士として、ノウハウを蓄積

 野口さんは、行政書士として独立した当初、会社設立や契約書作成など企業支援を柱に事業を展開。転機は、成年後見人を務めたことでした。成年後見制度は、障がいや認知症など判断能力に不安がある人の財産管理などを担うもので、家庭裁判所により成年後見人が選出されます。
 「成年後見人として高齢者や障がいのある方々と接する中で、『居場所がない』『働きたくても働けるところがない』などの悩みを聞きました。成年後見でお手伝いできることは限られるので、さらに踏み込んだサポートがしたいと考えるようになりました」

 行政書士の業務と並行しながら、就労継続支援A型事業所「わーくぷらす」で、職業指導員として、職業訓練や就労支援に従事。今も事業所を訪れると、利用者から歓迎されるとか。
 「運営の安定はもちろん、現場の声から利用者の方々の成長がうかがえるとうれしいですね。『人と話すのが苦手だという利用者さんが、毎日通ううちに、おしゃべりが楽しいと話してくれた』などと聞くと、お役に立てたと実感します」

 eスポーツと就労支援をあわせた取り組みには、自治体からも期待の声が寄せられるそうです。
 「家に引きこもりがちで、社会参加の機会をもてない方は多いと聞きます。eスポーツは、プレーした動画をネット上で世界に発信したり、健常者と対等に競ったり、〝自分もできる〟という自信が生まれます。事業所の運営を通して、障がいのある方々が社会への扉を開くきっかけをつくりましょう」

(取材年月:2023年3月)

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野口龍二

障がい福祉事業の経営をサポートする行政書士

野口龍二プロ

行政書士

行政書士さくら総合法務事務所

障がい福祉事業に特化した行政書士として、福祉事業所の運営にも従事。eスポーツを活用した就労継続支援事業所「メタゲーム」のフランチャイズ展開を目指し、開業から運営までワンストップサポートを提供します。

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