在日韓国人のための相続の専門家高東林

在日韓国人のための相続の専門家

高東林

日本との違いも熟知、書類作成のベテラン

　大阪市中央区でコウ国際行政事務所を開業する行政書士・高東林（こうとうりん）さんは、在日韓国人が韓国内の不動産を遺産相続するための手続きのプロです。これまで、多くの手続きのお手伝いをして喜ばれています。「韓国に残された遺産、不動産の相続手続きは簡単ではありません。国の違い、言葉の違い、法律の違いがあるのですから、手続きには非常に手間がかかることがあります」と高さんは話します。

　例えば、韓国籍を持つ人が日本で結婚し、子供が生まれた時、日本国に届けを出すと当時に、韓国にも届けを出す必要がありますが、中にはそれを知らずに届けを出せなかった人もいます。このため、日本でいう戸籍、韓国では「家族関係登録簿」が作成されず、遺産を相続することができません。新たに、家族登録簿を作る必要があるのです。

　「それだけではありません。韓国に届け出をするには、当然韓国語で書類を書かなければなりません。でも、戦前に来日した在日韓国人の子孫たちは4世、5世になって韓国語での会話や読み書きができない人も増えています。このために、韓国語で申請や届け出をするために、通訳や翻訳が必要になっている状況なのです」と高さんは現状を説明します。

　現在、日本で暮らす韓国人は30万人ともいわれ、帰化した人も含めると50万人とも。多くの人が韓国での遺産を相続する手続きをする必要性に迫られています。せっかく、祖父母や両親、先祖が残した遺産相続に、二の足を踏んでいる方は、経験豊富な高さんにぜひ相談を。

信頼ネットワークで依頼者に安心を

　韓国内で相続した土地などの不動産について、多くの在日韓国人が売却などの処分を求めます。「祖父母、父母の故郷なのに訪れたこともなく、どんな土地なのかわからない。今後も韓国に住むつもりもないのに、固定資産税を払い続けなければならないのなら売却したい」という若い人。「父母から相続した大切な土地だが、子供や孫たちに売却手続きの面倒をかけたくない。自分たちの代でけりをつけておきたい」と覚悟を決める高齢者もいます。

　これについて、高さんは「本当は韓国内の遺産相続で一番難しいのは土地の売却なのです」と話します。それはなぜでしょうか？「売却の希望者が在日韓国人であるとわかると、土地価格の相場がわからないのをいいことに、半分以下の値で買いたたく悪質な不動産業者もいるのです。土地を貸していた親類に買い取ってもらおうと思っても、同じように本来の価格で買い取ってもらえないこともよくありました」と高さんは理由を説明します。

　そんな嫌な経験をしながら高さんは、何度も韓国を訪れて、遺産相続、土地売却などの仕事を助けてくれる誠実な仲間を探し、ネットワークを築くことができました。不動産業者、税理士、司法書士、弁護士などのエキスパートです。　「それも、ソウル、済州島だけでなく各地に複数のメンバーがいます。なので、土地の売却先についても、複数のメンバーに声をかけることができるので相場通りの価格をつけてくれます。今では、買いたたかれることはありません。安心して依頼主に紹介できます」と高さんは笑みを浮かべます。誠実な仲間に出会えたのは、高さん自身が誠実な仕事をし、依頼主や協力者を裏切らなかったからだ、といえます。

韓国企業の日本進出を支援

　在日韓国人として日本で生まれて育ち、生活をして50年あまり。高さんの夢は日本と韓国のつながりを深めることです。高さんは、何度も韓国を訪れて多くの人と出会い、信頼できる仲間のネットワークを築き上げましたが、その過程で、多くの韓国人が、日本で企業を設立するなどの夢を持っていることを知りました。

　「今、日本には韓国をはじめ世界から多くの観光客が訪れています。これにより、日本でホテルの経営や観光会社の設立を考えている企業人も増えてきているのです。そのお手伝いもできます」と高さんは熱のこもった口調で話します。行政書士事務所の仕事を始めて約17年になる高さん。これまで、建設会社など多くの業種、会社の設立に携わってきたベテランです。韓国で専門家のネットワークを作ったように、日本国内でも、ともに支えあう専門家の仲間がいます。

　「土地の売買や、送金など様々な壁がありますが、それをクリアするノウハウを私たちは持っています。私と仲間たちが窓口になって、交流を増やしたいですね」戦後70年が過ぎても日本と韓国の間にある緊張感。高さんたちによる経済を通じた交流で信頼を高めることが期待されます。

（取材年月：2015年8月）

韓国内の遺産相続手続きを信用して任せられる行政書士

日本との違いも熟知、書類作成のベテラン

信頼ネットワークで依頼者に安心を

韓国企業の日本進出を支援

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