夫婦カウンセリングで用いる4つのアプローチ:あなたに合う方法は?
また同じ喧嘩をしてしまった
「またこのテーマで喧嘩してしまった」。そんな経験はありませんか?
帰りが遅いこと、家事の分担、お金の使い方、子どもの教育方針。テーマは様々ですが、いつも同じような展開になる。同じような言い合いになる。そして、同じように嫌な気持ちで終わる。
なぜ、同じ喧嘩を繰り返してしまうのでしょうか。この記事では、夫婦の喧嘩が繰り返される理由を「パターン」という視点から考えてみます。
よくあるパターンの例
パターン1:追う・逃げる
<典型的な展開>
妻が「もっと話を聞いて」と話しかける
↓
夫が「疲れているから後にして」と逃げる
↓
妻が「いつもそうやって逃げる」とさらに追う
↓
夫がますます逃げる(黙る、別の部屋に行く)
↓
妻の不満が爆発する
このパターンでは、妻が追えば追うほど、夫は逃げます。夫が逃げれば逃げるほど、妻は追います。互いの行動が、相手の行動を強化しています。
パターン2:責める・言い訳する
<典型的な展開>
妻が「どうしてゴミを出してくれないの」と責める
↓
夫が「忙しかったんだ」と言い訳する
↓
妻が「いつも言い訳ばかり」とさらに責める
↓
夫が「そっちだって」と反論する
↓
互いに責め合う喧嘩に発展
このパターンでは、責めれば責めるほど、言い訳や反論が返ってきます。言い訳や反論が返ってくるほど、さらに責めたくなります。
パターン3:溜め込む・爆発する
<典型的な展開>
夫が不満を言わずに我慢する
↓
妻は夫が大丈夫だと思っている
↓
夫の不満が蓄積する
↓
ある日突然、夫が爆発する
↓
妻は「突然何を言い出すの」と混乱する
このパターンでは、我慢すればするほど、相手は問題に気づきません。問題に気づかないほど、さらに我慢することになります。そして限界が来ると爆発します。
パターンの特徴
これらのパターンには、共通する特徴があります。
1. 互いの行動が影響し合っている
妻の「追う」が夫の「逃げる」を引き起こし、夫の「逃げる」が妻の「追う」を引き起こします。どちらが先かは関係ありません。円のように循環しています。
2. 良かれと思ってやっていることが逆効果
妻は「関係を良くしたい」から話しかけます。夫は「喧嘩を避けたい」から逃げます。どちらも良かれと思ってやっているのに、結果的に悪循環を作ってしまいます。
3. 自動的に繰り返される
パターンは意識せずに繰り返されます。「またこの展開だ」と気づいた時には、すでにパターンの中にいます。
パターンを変える第一歩
パターンを変えるには、まずパターンに気づくことが大切です。
「また追いかけている」「また逃げている」「また責めている」「また言い訳している」。このパターンに気づくことが、変化の第一歩です。
そして、「いつもと違うこと」を試してみます。
妻が「追わない」を試してみる
いつもなら追いかけるところで、あえて追わない。夫が話したくなるまで待ってみる。すると、夫の方から話し出すことがあります。
夫が「逃げない」を試してみる
いつもなら逃げるところで、5分だけでも話を聞いてみる。「疲れているけど、5分なら聞けるよ」と伝えてみる。すると、妻の追い詰める勢いが弱まることがあります。
責める代わりに「お願い」してみる
「どうしてやってくれないの」と責める代わりに、「ゴミ出しをお願いできる?」と頼んでみる。すると、相手の反応が変わることがあります。
小さな変化でいいのです。「いつもと違うこと」を一つ試してみる。それだけで、パターンに「くさび」が打ち込まれます。
一人でもパターンは変えられる
「でも、相手が変わらなければ無理では?」と思われるかもしれません。
実は、一人の行動が変われば、パターン全体が変わります。パターンは相互作用ですから、一方が変われば、もう一方も変わらざるを得ないのです。
もちろん、すぐに劇的な変化が起きるわけではありません。しかし、小さな変化の積み重ねが、やがて関係性全体を変えていきます。
カウンセリングでできること
カウンセリングでは、あなたの関係性のパターンを一緒に見つけていきます。
どのような状況で、どのようなパターンが繰り返されているのか。お話を伺いながら、パターンを明らかにしていきます。
そして、パターンを変えるために「いつもと違うこと」を一緒に考えます。試してみた結果を次回のカウンセリングで振り返り、さらに調整していきます。
夫婦で一緒に来ていただくこともできますし、お一人での参加も可能です。一人の行動が変われば、関係性全体に影響が広がります。
まとめ
同じ喧嘩を繰り返すのは、性格の問題ではなく、パターンの問題です。
パターンに気づき、「いつもと違うこと」を試してみる。この小さな変化が、繰り返される喧嘩から抜け出す第一歩になります。
パターンについてより詳しく知りたい方は、当カウンセリングルームのWebサイトもご覧ください。
ご相談やご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。



