夫婦カウンセリングで用いる4つのアプローチ:あなたに合う方法は?

山崎孝

山崎孝

テーマ:カウンセリングとは

夫婦カウンセリングを選ぶむずかしさ

夫婦の関係がうまくいかない。カウンセリングを受けてみようかと思っても、どこを選べば良いのか分からない。そんな声をよく耳にします。

実は、カウンセリングルームによってアプローチが異なることをご存じない方も多いのではないでしょうか。カウンセリングや心理療法には、数百もの学派があると言われています。カウンセラーがどのアプローチを用いているかによって、カウンセリングの進め方や重視するポイントが変わってきます。

この記事では、当カウンセリングルームで用いている4つのアプローチをご紹介します。それぞれの特徴を知っていただくことで、カウンセリングルーム選びの参考にしていただければと思います。

当カウンセリングルームの基本的な立場

当カウンセリングルームでは、ブリーフセラピー・家族療法を柱としています。これらを中心に据えながら、認知行動療法を折衷的に用いています。また、来談者中心療法は、すべてのカウンセラーが備えるべき基本姿勢として大切にしています。

それぞれのアプローチについて、順に説明していきます。

ブリーフセラピー(短期療法)

当ルームの主軸となるアプローチです。


ブリーフセラピーは「短期療法」と訳されますが、単に短い期間で終わるという意味ではありません。「今できることから始めて、効率的に変化を起こす」ことを重視するアプローチです。

こんな時に役立ちます

問題が複雑で、どこから手をつけたらいいか分からない。「相手が変わってくれたら」と思いながら疲れてしまった。そんな時に力になります。

原因探しや悪者探しをしない

「なぜこうなったのか」「どちらが悪いのか」を追求しません。過去は変えられませんが、未来は変えられます。これからどうしたいか、今何ができるかに焦点を当てます。

小さな変化から始める

大きな変化や劇的な解決を求めるのではなく、小さくできることから試していきます。変化とは、小さな変化をきっかけに、大きな変化に発展していくものだからです。

ブリーフセラピーは、次に紹介する家族療法から発展したアプローチです。

家族療法

ブリーフセラピーと並ぶ、もう一つの柱です家族療法では、問題を個人に求めません。二人の間で繰り返されるパターンに注目します。

こんな時に役立ちます

同じ喧嘩を繰り返してしまう。話し合いがいつも平行線。相手を責めるばかりで疲れてしまった。こうした状況で、関係性のパターンを変えていきます。

パターンが問題を維持している

例えば、「妻が不満を言う→夫が黙る→妻がさらに不満を言う→夫がますます黙る」というパターン。このパターン自体が問題を作り、維持しています。

家族療法では、このパターンを一緒に見つけて変えていきます。パターンが変わると、関係性が変わります。

一人での参加も可能

夫婦で一緒に来る必要はありません。一人の行動が変われば、関係性全体に影響が広がります。

認知行動療法

状況に応じて折衷的に用いています

認知行動療法は、物事のとらえ方(認知)と行動のパターンに注目するアプローチです。当カウンセリングルームでは、ブリーフセラピーや家族療法を基本としながら、必要に応じて認知行動療法の視点や技法を取り入れています。

こんな時に役立ちます

相手の言動に過剰に反応してしまう。ネガティブな考えが頭から離れない。「また同じことをしてしまった」と自分を責める。こうした悩みに対応します。

認知の幅を広げる

パートナーがメッセージに返信しない時、「私のことをどうでも良いと思っている」と考えて不安になる。この極端な認知が、感情や行動に影響します。

認知行動療法では、「忙しいのかもしれない」「スマートフォンの充電が切れたのかもしれない」と、複数の可能性を考えられるようにします。認知の幅が広がると、行動の選択肢も増えます。

認知行動療法は、科学的根拠が豊富で、厚生労働省も推奨している方法です。

来談者中心療法

すべてのカウンセラーが備えるべき基本姿勢です

来談者中心療法は、カール・ロジャーズが提唱した心理療法です。現在では一つの技法というより、すべてのカウンセラーが備えるべき基本的な姿勢として広く共有されています。

傾聴と受容

来談者中心療法では、カウンセラーが指示やアドバイスをしません。あなたの話を丁寧に聴き、評価や批判をせず受け止めます。

人には自ら成長に向かう力があります。カウンセラーの役割は、その力が発揮されるように関わることです。

当ルームでの位置づけ

当カウンセリングルームでも、ブリーフセラピーや認知行動療法を用いる際にも、この来談者中心療法の基本姿勢を大切にしています。あなたの話を丁寧に聴き、あなたを尊重し、あなたのペースを大切にします。

アプローチより信頼関係

「どのカウンセリングが一番効果があるのか」と迷われるかもしれません。

カウンセリングの効果を研究したランバートという研究者によると、カウンセリングの理論や技法による違いは効果全体の15%程度です。それよりも、カウンセラーとの信頼関係が30%と、より大きな影響を持ちます。

どのアプローチを選ぶかよりも、「このカウンセラーとなら話ができそう」と感じられるかが大切です。

当カウンセリングルームでは、ブリーフセラピー・家族療法を柱に、認知行動療法を折衷的に用いながら、来談者中心療法の基本姿勢を大切にしています。

ブリーフセラピー・家族療法は、関係性のパターンに注目したい方、原因探しや悪者探しではなく今できることから始めたい方に、特にお勧めできるアプローチです。

ただし、お一人お一人の状況は異なります。状況に応じて、認知行動療法の視点を取り入れたり、アプローチを組み合わせたりと、柔軟に対応していきます。

各アプローチの詳細は、当ルームのWebサイトに専用ページを設けています。ぜひご覧ください。

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山崎孝
専門家

山崎孝(公認心理師)

心理カウンセリング大阪・吹田のフルフィルメント

夫婦・カップル関係の面接1000回以上の実績。悪者を作らない、人を責めない支援で、喧嘩が絶えない・気持ちが離れた関係から、二人が支え合える関係への変化を促します。お一人での相談も可能。

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