迅速な対応で不安をやわらげる蜂駆除の専門家板倉敦司

迅速な対応で不安をやわらげる蜂駆除の専門家

板倉敦司

問い合わせの受け付けから駆除業務、アフターフォローまで一貫して対応

　「庭木などの茂みのほか、軒先や屋根裏、壁のすき間、床下といった建物に蜂は巣を設けます。ある日突然、家の周りに現れ、どこからやってくるのかと恐怖を覚えることもあるでしょう。毒を持つため、刺されると重症化する危険性もありますし、ご近所に迷惑をかけることがありますので、見かけたら当方にお声掛けください」

　そう呼び掛けるのは、東大阪市を拠点に、大阪や京都、兵庫、奈良、和歌山などで蜂の巣の駆除や調査を手掛ける「a.iサービス」の板倉敦司さん。アシナガバチやスズメバチ、ミツバチ、ドロバチ、クマバチといった種類に対応しています。

　蜂が活発に活動する7～8月は、1カ月間で60～80件もの相談が寄せられるそうで、板倉さんは、これらすべてに一人で応えます。作業後は、蜂がその場所に巣を作った理由や簡単にできる予防策まで伝えています。「お客さまと直接お話をすると現場の状況は大体理解できますから、私が伺うまでのあいだ、どうすればいいかなどをアドバイスしています。事前対策から現地での実務、アフターフォローまで一貫して担うこと、そしてスピード感が当方の強みですね」

　24時間態勢で、電話による問い合わせを受け付けている板倉さん。業務中は応答できないこともありますし、20時以降の連絡については翌日以降の作業になるものの、できるだけ早く、蜂におびえる日々から解放してあげたいという気概がそこにはあります。「契約に至らないケースもありますが、気にしていません。お客さまの安全が一番ですから」と力強く語ります。

29歳で害虫駆除の世界へ。明朗会計を心掛け、ホームページで料金を公開

　板倉さんは1980年に大阪市で生まれました。小学3年生の頃に一家で奈良県吉野郡大淀町へ移り住み、高校3年生のときまで暮らします。自動車整備士を目指して大阪市内にある専門学校へ進みましたが、卒業後は車の買い取り業者に就職。「なかなかやりたいことが見つからず、学校を出てからは、いくつかの職を転々としました」と振り返ります。

　転機が訪れたのは29歳のとき。たまたま人員を募集していた害虫・害獣駆除の会社でアルバイトをするようになり、蜂だけではなく、ゴキブリやネズミも退治しました。

　その後、新規で害虫駆除業を始める会社に正社員として入社しますが、参入してわずか1年で撤退することになったため、板倉さんは意を決して独立。2014年に「a.iサービス」を創業します。「当初から、蜂に特化して事業を展開していくつもりでした。あくまで私の経験に過ぎませんが、蜂の巣を取り除いたときはお客さまが一番喜んでくださるように感じたのです。ブンブンと羽音がうるさいことに加え、数も多く目に付くからかもしれませんね」

　板倉さんが起業時から大切にしていることの一つが明朗会計です。ホームページ上に、蜂の種類や営巣場所に応じた料金を公開しています。「どの程度の費用が必要か分からないままだと、頼みにくいという方は多いでしょう。また、完工後に『予想していた以上にお金がかかった』と不満を抱く人を減らしたいという思いもあります。お客さまにはご納得いただいた上で、気持ちよくお任せいただきたいのです」

昆虫相手の仕事では想定外のことが起こるからこそ、細心の注意を払うことが重要

　開業したばかりの頃は「やっていけるだろうかと、不安な毎日を過ごしていた」という板倉さん。初年度は認知度が低かったものの、「迅速かつ適切に対処してくれる」と利用者の評判が広がり、2年目からは次第に依頼が舞い込むようになったそうです。

　多方面から引き合いがあり、会社を立ち上げてから約10年の間に、約2000件もの実績を積み上げてきました。ベテランの域に達している板倉さんですが、いずれの案件にも謙虚な姿勢で臨むようにしています。

　「相手は人間ではなく昆虫ですから、想定外のことが起こり、経験が役に立たないことも珍しくありません。現場ごとに異なる最適解をいかに早く見つけるか、現状に即した判断を下すのはすごく難しい。いまだに新しい発見があり、とても奥が深いんです」

　蜂を駆除するにあたっては、刺される恐れがあるほか、高所から落下するリスクもあります。さらに、気を付けるべきは暑さによる熱中症です。防護服を身に付けたまま狭い空間に入らねばならないケースもあり、板倉さんは常に細心の注意を払っていると言います。

　「大変なことも多々ありますが、お客さまから感謝の言葉をいただくと、とてもうれしくなり、疲れも吹き飛びます。これから先も、精いっぱいの仕事をして皆さまのお力になりたいですね」

　今のところ社員を雇う予定はないそうですが、数多くの人の平穏な生活を守るためにも、縁があれば志のある若手にノウハウを教えたいという思いもあるそうです。

（取材年月：2023年6月）

平穏な生活を守るために、関西圏で蜂の巣の駆除や調査を実施

問い合わせの受け付けから駆除業務、アフターフォローまで一貫して対応

29歳で害虫駆除の世界へ。明朗会計を心掛け、ホームページで料金を公開

昆虫相手の仕事では想定外のことが起こるからこそ、細心の注意を払うことが重要

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