安全で環境に優しい洗剤を、18年かけて作り上げた理由|天然由来洗浄剤の開発記
グリストラップとは?なぜ清掃が義務なのか
飲食店を経営している方なら「グリストラップ」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、その役割や法律上の義務について正確に理解している方は、意外と少ないのが現実です。
グリストラップとは、厨房から出る排水に含まれる油脂・生ごみ・食材カスが下水道に直接流れないようにするための設備です。「油水分離槽」とも呼ばれます。大量の油を使う飲食店の厨房では、排水をそのまま下水に流すと、油脂が配管の内壁に付着して詰まりを起こしたり、下水処理施設に大きな負荷をかけたりします。こうした問題を防ぐために、多くの自治体でグリストラップの設置と定期清掃が義務づけられています。
清掃を怠るとどうなるのか。まずは悪臭の発生です。油脂が蓄積してバクテリアが繁殖すると、強烈な臭いが発生します。厨房内だけでなく、店舗外や近隣にまで臭いが漏れて苦情につながるケースも少なくありません。次に害虫の発生。蓄積した油脂や生ごみは、コバエやゴキブリにとって格好の繁殖環境です。そして最悪の場合、排水のあふれです。これが店舗前の道路に流出してしまうと、自治体が対応することになり、飲食店側に高額な費用が請求されることもあります。
「グリストラップのことは業者に任せているから大丈夫」と考えている方もいるかもしれません。しかし近年、廃油処理業者の人手不足・高齢化により、希望するタイミングに対応してもらえないケースが増えています。清掃を先延ばしにしているうちに問題が深刻化してしまう、という事態が各地で起きています。
廃油処理の「二重コスト」問題――知っている飲食店だけが得をする
グリストラップ清掃において多くの飲食店が見落としているのが、廃油処理にかかるコストです。グリストラップから取り出した廃油は、産業廃棄物として処理しなければなりません。産業廃棄物は一般のごみとして廃棄することができず、専門業者に回収を依頼する必要があります。回収費用は量・頻度・地域によって異なりますが、定期的なコストとして積み重なっていきます。
さらに、廃油を回収してもらうために清掃のスケジュールを業者に合わせなければならないという手間も発生します。業者の手が空いていないタイミングでは、グリストラップがいっぱいになっていても清掃できない。そうした状況が悪臭・詰まり・害虫の発生につながっていきます。
私が開発した「美らちゅら超洗浄(グリストラップ用)」は、こうした廃油処理の問題に直接アプローチします。バケツの水に本製品を溶かしてグリストラップに投入し、よくかき混ぜるだけで、油脂を下水に流せるレベルまで分解します。油脂が分解されることで、廃油として業者に回収してもらう量を大幅に削減できます。2週間に1度程度の定期的な投入でトラブル防止と廃油処理コストの削減が同時に実現できるという点が、多くの飲食店から評価されているポイントです。
現在、全国3,000店舗以上でご利用いただいており、「定期的な投入作業だけになり楽になった」「廃油業者を呼ぶ頻度が減った」「近隣からの臭いの苦情が減った」といったお声をいただいています。また、第三者機関による検査データで下水道法の基準値を大幅に下回る結果を出しており、排水の安全性も確認されています。
「強い洗剤」が現場に与えている見えないコスト
グリストラップ清掃に使われる市販の洗浄剤の多くは強アルカリ性です。強アルカリ性の洗浄剤は確かに油汚れに対して強力ですが、取り扱いにはゴム手袋・ゴーグル・マスクなどの保護具が必要です。皮膚や目への刺激が強く、誤って触れてしまうと炎症や化学熱傷を起こすリスクがあります。
私自身が清掃業に転職した後、こうした洗浄剤を毎日扱う中でアトピー性皮膚炎が悪化し、咳が止まらなくなる状態を経験しました。「このままでは続けられない」と思ったことが、安全性に配慮した洗剤の開発に取り組んだ原点です。清掃の現場では似たような経験を持つ方が少なくないと実感しています。
強い洗剤を扱うことへの不安から、グリストラップ清掃を担当することを嫌がるスタッフや、それが一因となって離職してしまうケースもあると聞いています。飲食業界はもともと離職率が高く、スタッフの定着は経営上の重要な課題です。清掃環境の改善が人材定着にもつながる可能性があるという点は、見落とされがちですが重要な視点です。
「美らちゅら超洗浄(グリストラップ用)」は、強アルカリ性洗浄剤と比べて刺激を大幅に抑えた設計になっています。成分の組み合わせと配合を独自に工夫することで、安全性を確保しながら必要な洗浄力を維持しています。保護具なしで扱える安全性が、清掃担当者の心理的・身体的負担を軽減し、作業の継続性を高めます。
グリストラップだけじゃない――幅広いシーンで活用できる美らちゅらシリーズ
美ら技研では、グリストラップ用洗浄剤のほかにも、現場のさまざまな課題に応えるラインナップを展開しています。
焼肉店など鉄板に焦げ付きが発生しやすい業態向けには「美らちゅら超洗浄 焼肉鉄板用」を、厨房の油汚れ全般に対応する「美らちゅら超洗浄 油汚れ用」も展開しています。また、悪臭の発生源となる物質を直接分解する「美らちゅら超消臭 業務用」は、飲食店・介護施設・社用車内など幅広い場面で活用されています。ペットの臭い・排水口・トイレ・靴箱など日常的な臭い対策には一般用の消臭剤もあります。
個人宅での排水口への使用も増えており、集合住宅で浄化槽と接続されている場合でも、常在する微生物への影響を抑えられることから安心して使用できます。業務用から一般用まで、使う場所・目的に応じた製品を選んでいただけます。
OEM製造にも対応しており、自社ブランドでの展開を検討されている企業様からのご相談も承っています。「安全で環境に配慮した洗浄剤」という製品哲学を共有できるパートナーとの連携を、積極的に進めてまいります。
沖縄から世界へ――水環境を守るための製品づくり
私は釣りが好きで、海が身近な存在です。厨房や家庭から排出される水は、川を経て海へとつながります。毎日使う洗剤が水環境に与える影響は、意識しなければ見えにくいですが、確かに存在しています。
美ら技研株式会社は、SDGsへの取り組みの一環として、水質汚染の低減・労働環境の改善・安全な製品の提供という観点から事業を展開しています。沖縄から全国、そして世界のお客様まで、身体にも自然にも愛される製品づくりを心がけて日々製造しています。
今後は販売代理店のさらなる拡大と海外展開を目指しています。日本の飲食・清掃・介護の現場で培った知見と製品を世界に届け、より多くの現場で日々の作業負担を軽減しながら、水環境への影響にも配慮できる取り組みにつなげていきたいと考えています。



