プログラミングとは?プログラミング的思考とは?
はじめに
2020年度から小学校におけるプログラミング教育が必修化され、2025年度からは大学入試に「情報I」という科目が新設されます。このように、学校教育に「プログラミング」というものが急速に入り込んで来ていることをご存知の親御さんは多いと思います。
しかし実際に「小学校におけるプログラミング教育」がどういうもので、何をするのか?ということは、あまり知られていないような気がします。そこで今回は、小学校におけるプログラミング教育が「どういうものか?」を簡単にまとめてみました。
国語、算数、理科、社会、プログラミング?
まず一番誤解されやすいのが「プログラミングが必修になる」=「『プログラミング』という教科科目が追加される」なのか?ということです。特にこれから小学校に入学されるお子さんや、低学年のお子さんをお持ちの親御さんの中には、こう思っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は「プログラミングが必修になる」からといって「国語」や「算数」と並んで「プログラミング」という科目が増えるわけではありません。
では一体何をするのでしょう?実は既存の「算数」や「理科」「音楽」などの科目の中で、プログラミングに関係する内容を学習します。文部科学省が発行している小学校プログラミング教育の手引(第三版)によると、「学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの」には以下のようなものが挙げられています。
- プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく場面(算数 第5学年)
- 身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があること等をプログラミングを通して学習する場面(理科第6学年)
- 「情報化の進展と生活や社会の変化」を探究課題として学習する場面(総合的な学習の時間)
つまり、プログラミングだけを勉強する時間ができるわけではなく、各教科の中でプログラミングを活用して、その学びを深めたり補佐したりする、ということになります。1つ目の例だと、「「線をひく」「角度を変える」といった命令を組み合わせて、正三角形を描くプログラムはどうやったら作れるか?」ということをやってみることになります。
学校や担任の先生によっては、総合学習の時間等に「Scratch」などのプログラミングツールを使って体験的にプログラミングをやっているところもあるようですが、それは学習指導要領の各教科等とは別に実施するもので、「必修」のものとは異なります。
プログラミング教育のねらい
小学校プログラミング教育の手引(第三版)によると、小学校におけるプログラミング教育の狙いは、大きく次の3つを挙げています。
- 1.「プログラミング的思考」を育むこと
- 2.プログラムの働きやよさ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くことができるようにするとともに、コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと
- 3.各教科等の内容を指導する中で実施する場合には、各教科等での学びをより確実なものとすること
つまり、各教科の学びにプログラミング(コンピュータ、と言ってもいいかもしれません)を絡めることで、その学びを助けたり、コンピュータの便利さや良さ、活用方法について知り、ものごとを順序だてて考える「プログラミング的思考」のちからを養う、ということが狙いとなります。
「プログラミングが必修化」と聞くと、どうしても「パソコンを使って自分でプログラミングが出来るようにならないといけない」と思ってしまいがちですが、そうではない、ということです。先程からあげている資料にも明確に次のように書かれています。
- 小学校段階におけるプログラミング教育は、児童がプログラミング言語を覚えたり、プログラミングの技能を習得したりすることをねらいとするものではありません。
ですので、「小学校に入ったらパソコンを与えてプログラミングをさせなきゃいけない、というわけではないのです。
おわりに
今回は「小学校におけるプログラミング教育」がどういうものなのかを、ごく簡単にまとめてみました。これだけだと、まだまだ「じゃあどんな勉強をするの?」や「何をしたらいいの?」「プログラミング的思考って何?」といったところがわかりにくいと思います。このあたりについては、おいおいコラムにまとめていこうと思います。