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生まれる前から亡くなった後まで「健幸」に暮らせる調和循環型社会を目指し、子どもから高齢者を支援

子どもの発達や学びを多角的に支える発達支援のプロ

山本祥平

山本祥平 やまもとしょうへい
山本祥平 やまもとしょうへい

#chapter1

発達サポートスペース「オット」で、児童発達支援と放課後等デイサービスを展開

 「座ることが苦手」「落ち着きがない」「言葉の遅れが気になる」といった声に寄り添うのは、「聖武福祉会」の代表で作業療法士の山本祥平さん。岡山市北区の庭瀬・津島・今で、発達サポートスペース オット(OTTO)を運営し、リハビリに特化した児童発達支援・放課後等デイサービスを手がけています。

 「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士とリハビリの3職種が全事業所にそろい、毎日必ず一人以上が勤務しています。さらに、教育や集団指導に強い保育士・教員免許を持つ児童指導員も在籍し、互いの専門性を尊重したチームワークで、医療・教育・福祉の視点を組み合わせた多角的な支援を実践しています」

 例えば動きがぎこちない子どもは、一人一人の発達課題に応じてオーダーメードする個別療育と社会性を育む集団プログラムを用意。身体の使い方を脳の働きや機能から捉え、遊びの中で自然に学べるよう工夫しています。早い時期から関わり、一人一人の発達に合わせて正しい身体の動きを習得し、自信を育むことを大切にしています。

 「児童発達支援は未就学児が対象のため、小学校入学時に別の事業所へ移る必要があります。環境が大きく変わる時期に療育先まで変わるのは子どもにとって大きな負担です。私どもは放課後等デイサービスも運営しているので、同じスタッフが切れ目なく支援できるのが特徴です」

 利用者はダウン症、先天性疾患、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などグレーゾーンを含む発達・身体障がいの子どもたち。事業所から約15分圏内の自宅だけでなく、保育園・学校への送迎にも対応し、子育て中の家庭の負担軽減に努めています。

#chapter2

交通事故をきっかけにリハビリ職を目指し、障がい者家族の視点を胸に創業

 山本さんには、出産時に重度の心身障がいを負った兄がいます。在宅で暮らす兄の世話をすることも多く、いわゆる「ヤングケアラー」として育ちました。現職を志したのは、小学4年生で交通事故に遭った際に出会ったリハビリの先生に感銘を受けたのがきっかけ。大学の作業療法士科へ進学し、卒業後は回復期リハビリテーション病院に入職しました。

 「脳卒中後の自動車運転再開に取り組むプロジェクトチームのリーダーを務めました。セラピストのアプローチ次第で患者さまの回復に差が出ることを実感し、脳科学に基づく認知神経リハビリテーションを探究。マスターコースを学ぶため、イタリアへ研修に赴きました」

 病院での仕事にまい進する中、兄が送迎中に他の利用者からかまれる事故が起きました。これを機に福祉サービスのあり方を考え、「障がい者や家族が安心できる環境をつくりたい」と福祉施設へ転職。就労継続支援A型事業所でサービス管理責任者を務めた後、障がい者グループホームの立ち上げに携わり、生活介護事業所でも働きました。

 「作業療法士のアルバイトでは児童発達支援も経験。さまざまな年代と関わる中で、子ども時代からの支援が成人期の生きやすさに直結することを痛感し、子どもの領域へ踏み出す契機となりました。高齢福祉に長年従事してきた仲間と、共同経営で2021年に『聖武福祉会』を創業。名前は、福祉に力を注いだ聖武天皇に由来します」

山本祥平 やまもとしょうへい

#chapter3

高齢者向けの運動教室「メタリハ」などを通じて、切れ目のない福祉へ

 2023年から、VR(仮想現実)を活用したリハビリなど、高齢者向けの運動教室「メタリハ」をスタート。身体機能の維持や健康増進を目的に、現在は利用者の声を聞きながら改善を重ねています。将来的にはプログラムを動画化し、アプリを通じて一人一人に合わせた運動を提供することを検討。月数回、リハビリ職がチェックし、交通の便がよくない地域の方々も自宅で気軽に運動を継続できる仕組みづくりを進めています。

 「子どもたちが通う『オット』と、高齢者が参加する『メタリハ』をオンラインでつなぎ、世代を超えた交流を生み出す構想もあります。同じ時間に、画面越しで一緒に身体を動かすと親しみが湧き、双方に良い刺激になるはず。旅行などのオフライン企画も取り入れ、日々の運動を続ける励みになればと考えています」

 ほかにも、妊活から産後までを支える「sette(セッテ)」とも連携。ママの心身のケアや、パパへの教育を担っています。

 兄の介護を通して、年齢の区切りによって支援が途切れたり、制度の変更に伴ってサービスを変えざるを得なかったり、苦労してきた山本さん。「オット」でも、自治体によって利用できる頻度が異なることに課題を感じています。

 「目指しているのは、生まれる前から亡くなった後まで、身体・精神・経済・社会の面で一貫して『健幸』に暮らせる調和循環型社会です。今後は成人向けの就労支援やグループホームなど支援の幅を広げ、ご本人をはじめ、ご家族、働くスタッフとその家族にも安心を届けられる事業を展開していきます」

(取材年月:2026年8月)

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専門家プロフィール

山本祥平

子どもの発達や学びを多角的に支える発達支援のプロ

山本祥平プロ

作業療法士

一般社団法人聖武福祉会

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士に加え、保育士や教員免許を持つ児童指導員も在籍。子どもの将来を見据え、複数の専門職が連携しながら、身体の発達から学習、社会性まで多角的に支援します。

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