下請法の手形等の支払サイトに関するルールの変更
競業避止契約とは、企業が退職する従業員に対して、同業他社への転職を一定期間禁止することを求める契約のことをいい、これに違反した場合、退職金の減額や損害賠償の支払い義務などが退職者に課されることがあります。これは企業が自社の利益保護を目的として、多くの企業が導入しており、過去の判例からも「合理的範囲において有効」とされてきました。
競業避止契約の有効性を判断するうえで、判例を踏まえて、主に以下の項目が考慮されます。
① 企業に競業避止を主張する正当な利益(理由)があるか
② 退職者が営業秘密や事業ノウハウに触れうる地位にあったか
③ 就業制限の範囲・期間は妥当か
④ 制限に対する金銭面などの代償措置の有無と内容
この競業避止契約について、近年、司法の判断基準が厳格化されている傾向が強まっています。
2022年の東京地裁判決では、企業が元従業員に課していた転職制限を「無効」と判断しました。
当該企業には独自ノウハウがないことや転職禁止先の範囲や賠償の対象が広すぎることから、上記判断がなされました。
一方で、退職者の悪質性を認める判断もみられており、2023年の東京高裁判決では、退職直後に同業他社に就職した元社員を競業避止契約違反として退職金を減額した企業に対して、その措置を認めました。
退職金の減額が許されるのは「著しく信義に反する行為がある場合に限る」としたうえで、当該元社員が担当案件の資料などについて膨大な量のコピーをしていたことなどが、悪質な競業避止義務違反と認定されました。
また、近時の事案においては、競業避止義務の存続期間についても必要最小限にすることが求められています。具体的には、1年以内の期間については比較的肯定的に捉えられ、それ以上の制限期間は認められにくくなっているようです。
退職後、職場での資格やノウハウを活かして仕事をしたいという退職者と、顧客の取り合いになるリスクがある使用者側でトラブルにならないよう、退職時の競業避止に関しては専門家にご相談されてみてはいかがでしょうか。