東野なぎこさん|育児放棄の母親との関係を考える(5)
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大分の心理カウンセラー/高緑ひろみです。
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私は、転職20回・バツイチ・アダルトチルドレンという自分の経験をもとに、
「自分には価値が無い」と思い込んでしまう根本原因に気づき、
自分の人生を自分で選んで歩けるようになるお手伝いをしています。
一人で生きるも楽し、誰かと過ごすのも楽し。
一人で生きることは、決して孤独で可哀そうな人生ではありません。
カウンセリングルーム『セルフリスペクト』は、
自分を尊重し、周りの人たちに感謝しながら、
自立した唯一無二の人生を生きる、すべての人たちを応援しています。
今回は、俳優の東野なぎこさんのインタビューを通して、
育児放棄(ネグレクト)の母親との関りに焦点を当てて、
お話ししたいと思います。
【Yahoo!ニュース 2025年7月17日】
俳優の遠野なぎこ(本名・青木秋美=あおき・あきみ)さんが、7月17日に死去したことが分かった。
45歳だった。
親族がオフィシャルブログを通じて発表した。
6月27日までは、頻繁にインスタグラムを更新し、27日には「訪問看護の日でした」と明かし、「あたしゃ、まだまだ生きるぞ」などとつづっていた。
2022年5月に、3人目の夫が癌で亡くなった次の日に、妻である母親が自死している。
<芸歴>
遠野さんは、神奈川・川崎市生まれ。6歳で子役デビュー。
幼少期から父母による児童虐待の被害を受けていたことや、両親の離婚後には母親に引き取られたものの、自分も含めて4人きょうだいがネグレクトの状態にされたこと、16歳で家出をし、家族とは絶縁したことなどを公言していた。
俳優としては、1991年、テレビ朝日系『鳥人戦隊ジェットマン』に本名の「青木秋美」名でゲスト出演。
94年にテレビ朝日系『嫁の出る幕』にレギュラー出演。
同作から遠野凪子(2010年5月15日、「遠野なぎこ」に改名を発表)を名乗り、95年にはNHK大河ドラマ『八代将軍吉宗』、TBS系『未成年』に出演。99年、NHK連続テレビ小説『すずらん』でヒロインの常盤萌を演じたことで、一気に知名度を高めた。
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【2023年3月6日 文春のインタビュー記事のまとめ】
彼女は、幼い頃から両親に虐待されたり、母親が育児を放棄したために兄弟姉妹の面倒をみたりと、壮絶な子ども時代を過ごしています。
両親は何かにつけ、まだ幼い彼女を殴ったり、精神的に追い詰めるようなことを繰り返していました。
髪の毛を掴まれて壁に叩きつけられたり、身体を引きずり回されたり。
でも、両親が虐待するのは、決まって彼女だけ。
殴られた後には決まっていつも、青いバケツが彼女に向かって投げられるそうです。
鼻血が止まらなくなって、毎回 ティッシュを1箱使うので「もったいない」と言われて、だからバケツに鼻血や涙をためて、止まったらそれを流すそうです。
彼女は6歳で子役デビューを果たしますが、母親に外見を否定され続けたり、15歳の頃に体型が変化しやすくなったこともあって、そこから摂食障害に苦しむようになります。
女優志望だった母親は、19歳で彼女を産みました。
母親は、彼女を一人の女としてライバル視し、彼女はインタビューの中で、自分は母親の人生や夢を壊す邪魔者だったのかもしれないと語っています。
彼女は16歳で一人暮らしを始めましたが、20代のうちは、まだ母親の愛情を求めていたそうです。
そして、20代の終わり頃、彼女が一度目の結婚をした時に、母親との関係を切ったそうです。
当時の母親への最後の電話では、酔った勢いで、それまでのことを母親にぶつけて、責めてしまったそうです。
母親から解放されるために絶縁したのに、それ以来、部屋の壁の中から「死ね、死ね、死ね」と幻聴が聞こえてくるようになったそうです。
精神的にボロボロになり、自傷行為や自殺未遂(家で首を吊る)をしたりして、とにかく仕事をしていないと不安でどうにかなりそうだったと話しています。
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ここまでのお話を聞いただけで、東野なぎこさんの人生が、
大変壮絶な人生だったことがわかります。
母親への最後の電話のあとで、
彼女が精神的にボロボロになってしまったのは、
その出来事をきっかけに、
彼女の心の傷口が開いて、血が噴き出してしまったからだと思います。
どれほど痛かったことか…
それくらい、彼女の過去の心の傷は深いものです。
いまだに重傷患者のレベルであるにもかかわらず、
平気なふりをしながら、
エネルギーを振り絞って生きていたのでしょう。
一般人から見れば、そのくらいと思われることでも、
重傷を負っている当人からしてみれば、
耐え難い苦しみであることは、容易に想像がつきます。
そして、その重傷を負わせた人物が、彼女の母親だということ。
幼い子どもを、気に食わないというだけで、
頻繁に虐待し、半殺しの目に合わせるというのは、
紛れもない犯罪行為。
彼女だけをターゲットにしたのは、
家庭内の支配関係が、
親たちに有利に働くようにするためではないかと私は思います。
子どもは、この時点で3人いました。
その子どもたちが大きくなって
全員から復讐されることを恐れたためだと思います。
まさに、鬼畜の所業です。
彼女からしてみれば、
土下座し、許しを請われても許しがたい人間です。
それが、飯を食わしてやった親というだけで許されるなど、
耐えられるはずはありません。
その反面、自分の親が鬼だったと認めることは、
子どもにとって、とてもつらいことです。
だからこそ、親に認めてもらい、
親子関係を改善したいという夢を、いつまでも捨てきれません。
このように、心が両極端に引っ張られ、
引き裂かれることが、彼女にとって一番つらいこと。
だからこそ、期待することをやめられないのです。
人は、大人になってしまうと、
母親から与えてもらう無償の愛を、他人から受け取ることは難しいと思います。
その無償の愛は、子どもだからこそ受け取れる、
子どもの特権なのです。
そして、その無償の愛が、子どもが大人になって
人間関係を築く時の大事な土台になります。
子ども時代に、親から無償の愛を受け取ることは、
それくらい重要なことなのです。
でも、彼女は、子ども時代に親から無償の愛を
受け取ることができませんでした。
このような体験をした人たちは、
大人になった時に、どうしたらよいのでしょうか?

それは、自分自身で自分を癒していくしかありません。
もちろん、優しいパートナーと暮らすことができれば、
環境が整い、心は安定していきます。
しかし、過去の自分を癒すのは、パートナーではありません。
過去の自分を癒してあげられるのは、自分自身だけなんです。
東野さんの場合は、精神科に通院してお薬ももらっていたようでした。
その精神科でカウンセリングを受け、
少しずつリラックスする時間を増やし、
身体の神経をほどいていけば、心の傷は改善していくでしょう。
ただ、ここまで傷ついてしまった心の傷が、
何事も無かったかのように消えてなくなることは、
難しいのではないかと思います。
しかし、長い時間をかけて、自分の本当の気持ちと向き合い、
自分を上手に整えられるようになれば、
「あんな事もあった」と思えるようになることでしょう。
子ども時代につらい体験をしたアダルトチルドレンの方は、
身体の中に、ぽっかり穴が空いている感覚を持っていることが多いです。
その穴を埋めようとして、様々な依存症を経験することもあります。
そうなる前に、自分一人で抱え込み、
自分で何とかしようと頑張り過ぎずに、
専門家に頼ってみることをお勧めします。
月に1回や2回でも、誰かに話を聞いてもらうことで
救われることは少なくありません。
その誰かが、あなたを騙す危険な人物である場合もあります。
大分の心理カウンセラー/高緑ひろみは、
あなたに寄り添い、あなたと共に歩いて行きます。
安心してご相談ください。




