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病院や施設に備わるマットレスを洗浄し、清潔な環境を広めたい

病院や施設での生活を清潔に変えてくれるプロ

松本麻衣子

松本麻衣子 まつもとまいこ
松本麻衣子 まつもとまいこ

#chapter1

そのマットレス、本当に清潔ですか

 普段、病院や介護福祉施設などで目にしているベッド。入院中の患者や、介護が必要な人にとって欠かせないそれは、いつも清潔なシーツに取り替えられて、常にきれいな状態のイメージがあると思います。しかし、そのベッドが、実はさまざまな菌の温床になっているのだとしたら。
 「シーツだけを洗濯すれば清潔、というわけではありません。布団やその下のマットレスは、普段、洗浄をしないため、汗による汚れや尿汚染が残っていたり、カビ、ダニ、さまざまな菌が付着している可能性が高いのです」。マツモト・メディカルの代表取締役社長、松本麻衣子さんは、そう力を込めます。
 介護や福祉、病院に関する商品を取り扱う事業も手がけており、営業で訪問した施設で目にするのは、看護師や職員も「ずっと気にはなっているけど、洗浄できないマットレスの汚れ」をそのままにしている実態。高齢者や病気の方は、免疫力が低下しているため、不衛生なマットレスをそのままにしておくと、感染症のリスクが高まる可能性もあるそう。
 「マットレスをきれいにしたいというニーズに応え、一人でも多くの人に、清潔なベッドを提供したい」そんな思いから3年前、大分県で唯一、病院や施設のマットレスを洗浄できる設備を導入。マットレスの①リースと②洗浄、③メンテナンスをワンストップでできる事業を軸に、業務に邁進しています。

#chapter2

父が命をかけて教えたこと

 創業者である松本さんの父、康秀さんは、介護保険制度が注目され始めた平成元年から、病院や施設へ向けたクリーニングサービス業、そして福祉用具のレンタル事業を始めました。
 長女として育った松本さんは、高校を卒業後、語学を学びたいと東京外国語専門学校へ。当時、ストリート系ブランドファッションがブームになり始めた頃に卒業。外資系の仕事に就きたいという思いから、ロサンゼルスの人気ブランド「X-girl」の日本進出に伴うメンバーとして、海外と日本をつなぐ仕事に没頭します。
 7年後、職場の同僚と2人で独立し、アパレル会社「KWAK」ブランドを創業。洋服のデザインや店舗への卸業に奔走し、スタッフも雇用して利益を出すなど、順風満帆な経営が続きました。
 その後、縁あって結婚・出産を経た5年後、結婚生活にピリオドを打ったのを機に帰郷を決意。「アパレル業は楽しかったのですが、父の後を継ぎたい気持ちがあって」。父の築いた大切な会社を存続させる使命感とともに、地元の臼杵へ。

 しばらく父と一緒に仕事をしながら、家業の経営や営業を学んでいた松本さんに突然、悲劇が襲いかかります。
「父が癌におかされていたことが分かったのです。通院と入退院を繰り返していたある日、症状が悪くなったので入院したら、その病院で肺炎にかかってしまいました。先生に、いくら問いただしても、『原因不明の感染です』と言われるだけ。元気になるために入院したのに、そのせいで症状がさらに悪化するなんて、納得ができませんでした」。
 癌は副腎にも転移し、大量の汗をかいたと思えば、震えるほど寒くなることもあり、ベッドはすぐに、汗でびっしょりに。
このとき、マットレスをいつも清潔に保つ必要性を痛感したといいます。
 「結局、肺炎が引き金になって、父は亡くなりました。この経験と、仕事でも、施設からニーズを聞いていたことがきっかけで、思い切って、マットレスが洗浄できる機械を導入する決意を固めました」。

 一人でも多くの患者や入所者の方に、清潔で快適に過ごしてもらい、院内や施設内感染が原因で、悲しい思いをする家族を無くして欲しい。それこそが、父が娘に、命をかけて教えたことでした。

松本麻衣子 まつもとまいこ

#chapter3

一人でも多くの人に、快適な暮らしを

 20代で起業し、時代のニーズを敏感に察知して、経営手腕を発揮している松本さんですが、同時に一児の母親でもあります。社員に対しても、家族のような親しみをもって接しており、父の代から続いている障がい者雇用のスタッフの皆さんも、本当に生き生きと活躍しています。

 マツモト・メディカルでは、①福祉用品や紙オムツなどの販売、②寝具やマットレスなどの洗浄やリース、③ケアマネージャーを通じた在宅介護の方への福祉用具レンタルなど、さまざまな事業を展開しています。即ち、病院や施設で使用していた「生活に関するもの」すべてが揃っているため、退所・退院して住み慣れた自宅に移っても、病院や施設での生活様式を変えることなく、そのまま実現できます。

 今後は、「『マットレスは洗えないもの』という認識を、『洗うのが当たり前』という常識に変えていきたい。本当はニーズの多いマットレス洗浄を、たくさんの方に知ってもらい、病院や施設の患者さんや入居者の方、また、そこで働く皆さんが、安心できる環境づくりをお手伝いしたいですね」そう語る松本さん。父の死を乗り越え、使命感で世界をより良く変えていく姿に頭が下がります。

(取材年月:2019年1月)

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専門家プロフィール

松本麻衣子

病院や施設での生活を清潔に変えてくれるプロ

松本麻衣子プロ

洗濯サービスほか

有限会社 マツモト・メディカル

普段、洗浄することがない汚れたマットレスは、カビやダニや細菌の温床になりがち。免疫力が低下している方には、施設内感染のリスクも高まります。定期的な洗浄で、他の医療機関・福祉施設との差別化が図れます。

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