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地域社会の教育資源と学校を結びつけた「キャリア教育」を通して、地方創生を目指す

地域活性化につなげるキャリア教育のプロ

三ヶ田浩二

認定キャリア教育コーディネーターの三ヶ田浩二さん
カンコーマナブネクトの営業部長を務めながら、NPO法人ぷらんにも参画

#chapter1

小中高といった教育現場に向け、キャリア教育に関するさまざまな支援事業を提供

 三ヶ田浩二さんは、認定キャリア教育コーディネーター。地域社会と学校を結び、児童・生徒が自身の能力を伸ばし、成長していけるよう支援を行っています。キャリア教育事業や学校魅力化事業などを手掛ける「カンコーマナボネクト」の営業部長を務める一方、人財育成による地域活性化を目的に設立された「ぷらん」にも参画しています。

 「大学進学を機に多くの若者が都市部などへ出ていってしまうことが、町の衰退を招く要因の一つとなっています。大分県も例外ではありません。地域の資源を活用するキャリア教育と地方創生はつながっており、私どもの活動を通して、地元で活躍する人を増やしていきたいですね」

 昨今、就労形態が、一社で勤めあげる終身雇用型から、専門性や職能に応じて労働力を提供するジョブ型へと移行する中で、子どもたちが自分の働き方や生き方をイメージする上で、キャリア教育が果たす役割は大きいといえます。学習指導要領でもその必要性が示され、小学校・中学校では「総合的な学習」、高校では「総合的な探求」の授業で行われています。しかし、教員だけで実施するのは難しいのが現状です。

 「学校向けのキャリア教育支援事業として、『キャリア教育の意義と取組理解』『教育目標・育成したい生徒像とカリキュラムのマッチング』『キャリア教育実施プログラムの開発・ファシリテート』という3つ課題に対してソリューションを提供しています。要望があれば講師も担当し、現場で有用な指導ができるよう中長期的なスパンでお手伝いします」

#chapter2

キャリア教育は「学校の魅力化」につながる

 キャリア教育プログラムの作成にあたり、三ヶ田さんは学校側と綿密に打ち合わせを重ねることをモットーとしています。ゼロから取り組むため、継続的に寄り添う伴走型の支援になるそうです。
 
 「パッケージ化された商品を求められることもありますが、私どもが提案するのはオリジナルのプログラムです。というのもキャリア教育は、各校が育てていきたい生徒像に合わせて行うことが重要だからです。『リーダーシップの発揮』『グローバルに活躍』といったキーワードを理念に掲げるものの、具体的に言語化できない学校も少なくありません。そこで、育成したい生徒像を明確にした上で、地元企業の協力を得ながら、地域の課題を反映させて授業を展開していきます」
 
 近年は、少子化の影響で入学希望者の定員割れもあります。生徒に選んでもらうためにも“学校の魅力化”を図ることは、学校運営における大きな課題です。「その方法論として、進学実績を伸ばしたり、部活を強化したりすることに目が向きがちですが、キャリア教育を通して、育成したい生徒像を明確にしていくことで、提供する学びが変わり、学校の魅力化という本質的な課題が解決することもあります」

 育成したい生徒像を可視化するために、三ヶ田さんは企業の人事制度を応用。例えば、「がんばりぬく子」「やりぬく子」を掲げるなら、どこまでがんばったら評価されるのかといった行動指標の構築もサポートしています。また、教員がキャリア教育授業を実施できるように支援するほか、キャリア教育の必要性や重要性をレクチャーする研修も行っています。

地域の企業と学校を結ぶキャリア教育を通して地方創生を目指す

#chapter3

地域企業に対して、既存事業のキャリア教育プログラム化も支援

 三ヶ田さんは、地域の企業に対しては、既存事業をキャリア教育のコンテンツとして構築する施策にも力を入れています。

 「学生服や体操服を製造販売する『菅公学生服』では、SDGsの観点から、制服の端切れをどう生かすかを生徒たちに考えてもらうプログラムがあります。企業の方には、子どもたちのアイデアを評価してもらうところまで参画してもらいます」

 自社の事業をキャリア教育のコンテンツとして体系化し、講師として携わることは、社員にとってもメリットは大きいといいます。
 「特に、若手や中堅社員にこうした機会を設けることで、自社の理念や製品、サービスに対して理解が深まります。授業では生徒たちから尊敬され、自己肯定感も醸成されると思います」

 さらに三ヶ田さんは、キャリア教育プログラム作成で培ったノウハウをもとに、従業員のスキルアップがうまくいかない、優秀な人が辞めてしまうといった悩みを持つ中小企業のために人材育成プログラムの開発を行っています。組織の課題解決に目を向けるのも、「企業が元気になることが地方創生につながる」と考えているからです。

 「地方創生に欠かせないのは、『ひと・まち・しごと』であり、それを担う人の育成と定着、そして地域企業の持続可能な状態を作ることです。教育と地域企業をつなぐキャリア教育を通じて、地域に貢献していくことが私の目標です」

 今後は「ぷらん」において、学童保育施設の運営や、発達障害の子どもたちに向けたプログラムの開発にも取り組む予定で、三ヶ田さんは活躍の場を広げています。

(取材年月:2021年10月)

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専門家プロフィール

三ヶ田浩二

地域活性化につなげるキャリア教育のプロ

三ヶ田浩二プロ

キャリア教育コーディネーター

カンコーマナボネクト株式会社

地域の課題を反映しながら、学校が掲げる育成したい生徒像に合わせ、学校ごとにカスタマイズしたキャリアプログラムを作成。地元の企業と連携し、既存事業のキャリアプログラム化も支援している。

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