制作から効果的な活用方法の提案まで行う動画のプロ秋好泰斗

制作から効果的な活用方法の提案まで行う動画のプロ

秋好泰斗

映像や音楽で引きつける動画は採用や集客の後押しに。肩ひじ張らない企画も得意分野の一つ

　主に企業や店舗のブランディングを目的とした動画を制作し、活用方法まで指南する「ゼロイチOITA」の代表・秋好泰斗さん。社名には「大分を舞台に、お客さまがゼロから変化するきっかけになりたい」との思いを込めています。

　「ネタ探しや台本作りなどの企画からご依頼いただけるので、初めて動画制作に臨むお客さまも多いです。撮影や編集を経て、完成した作品は自社サイト、YouTubeやTikTokなどにアップできます。SNSのアカウント作成や更新作業もお任せください」

　顧客は大分県内を中心に、建築や土木、電気工事関連の企業が多いとか。従業員の働き方や経営者の思いを映像、音楽、ナレーションで分かりやすく伝えることで、採用活動や集客を後押しできると言います。

　「事業内容などを紹介するだけでなく、例えばベテラン経営者に若者のカルチャーについて語ってもらうと、ギャップが関心を引き、親近感も醸成できます。出産を控えた女性が同僚に渡すという『産休クッキー』を取り上げたこともあり、その時々の話題も取り入れています」

　理想の動画があれば、サンプルを渡して近しいテイストに仕上げることも可能。文字や絵に動きを与えるモーショングラフィックスも手掛け、自社や自店のイメージキャラクターのイラストをアニメーションにすることができます。

　「映画撮影用のシネマカメラもよく使います。照明も徹底し、言葉を発さずとも被写体の感情が伝わるカットを撮ることを得意としています。『今まで、こんなに格好よく撮ってもらったことはない』と喜んでいただけるのがうれしいです」

県警時代に購入したカメラがターニングポイントに。イベント業の幼なじみと意気投合して起業　

　幼い頃から剣道に打ち込んできた秋好さん。武道の心得も生かし、大学卒業後は大分県警に入職します。4年にわたり事件や事故の現場に携わる中、気分転換のために購入したデジタル一眼レフカメラに魅了されます。

　「光の当たり方、背景のぼかし具合、人物の表情をはじめ、写真で表現できる世界の広さと奥深さにのめり込みました。動画撮影も始め、経験に比例して思い通りの作品を残せるようになり『カメラマンとして活躍しよう』と決心して映像制作会社に転職しました」

　地元のプロサッカークラブ「大分トリニータ」の試合を記録するなど、秋好さんを待っていたのは刺激的な日々。「妥協はやめよう」「細部にこそ注意を払おう」という会社の育成方針もフィットし、順調に力を付けて1年半で独立します。

　「カメラアングルや光の加減を追求するよう、鍛え抜いてくれたことに感謝しています。起業を決意できたのは保険代理店を営む父の影響も大きいですね」

　創業メンバーはもう一人いて、実は就学前からの幼なじみ。高校と大分県警の後輩でもあり、警察を辞めてからはイベント制作会社を経営していました。互いに案件を紹介し合う中で「一緒に事業を始めてビジネスの幅を広げよう」と「ゼロイチOITA」を立ち上げます。

　「二人とも警察官として多様な現場を経験してきたので、大きなプロジェクトや短納期の案件でも動じないのが強みですね。メンバーも増え、現在は気の合う4人で会社を運営しています」

動画再生数が80万回を数えた顧客も。AIの活用で制作コストを抑えることも視野に

　2021年に創業して自分の裁量で働くようになり、仕事が生きがいになっていると話す秋好さん。クオリティーの高さや、スキルを認められるのはもちろん、SNSに上げた動画が再生回数を伸ばすのもモチベーションにつながっています。

　「YouTubeやTikTokの動画を経由してお客さまのホームページを閲覧した人の数も分かります。成果がダイレクトに見えるのはプレッシャーが大きい反面、やりがいを覚えますね。以前、お客さまと『傑作ができた』と喜びを分かち合ったものの、無名に終わったことがあります。結果を出すためにも、私は動画の活用に至るまで関わりたいのです」

　顧客である鉄骨業の経営者は、インタビュー動画が80万回もの再生数を記録。公開後に大分駅を歩いていると、すれ違う人に「見ましたよ。おもしろかったです」と声を掛けられたそうです。

　「私たちは納品後もよくお客さまに連絡するため『コミュニケーションを大切にする会社』と評価されますね。お客さまの売り上げがあってこそ弊社もビジネスを続けられるので、一心同体の気持ちでいます」

　今後は生成AI（人工知能）を利用することも検討。動画制作の一部を任せて人間による作業を減らせば、全体のコストを削減できるだろうと考えています。

　「予算が無いからと、動画マーケティングをあきらめてしまうのはもったいないので、テクノロジーの力を借り、お金の課題解決に挑むつもりです。実現すれば作品のパターンも料金体系もより多彩になるでしょう」

（取材年月：2024年5月）

アピール動画を作らない、作っても見られないのはもったいない。だから活用方法まで関わりたい

映像や音楽で引きつける動画は採用や集客の後押しに。肩ひじ張らない企画も得意分野の一つ

県警時代に購入したカメラがターニングポイントに。イベント業の幼なじみと意気投合して起業

動画再生数が80万回を数えた顧客も。AIの活用で制作コストを抑えることも視野に

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