システムは道具(ツール)の一つ
もう八年以上前のお仕事のお話です。
突然私の業務用の携帯電話が鳴り
「タクシーの日報管理の制作をお願いしたいのですが」
『お仕事のご依頼、誠にありがとうございます。所在地を教えて下さい』
「新潟の魚沼です」
『に、新潟ですか!?!』
新潟の小出タクシー様
https://koidetaxi.com
(リンクの登録処理が上手く出来ませんでした)
当初、丁重にお断りいたしました。
1)打ち合わせの何度か現地に出向く必要が有り当然旅費(何度になるか不明)が必要になる
2)運用が始まるとサポートが必要になり、迅速な対応が出来ない。
しかし、お客様の担当者様からどうしてもお願いしたいとの意向です。
Google検索で、弊社のサイトの情報で「EXCELを使ったタクシーの日報管理システム」の開発実績を発見して頂いたのです。
担当者様は、幸い、非常にパソコンには詳しい方でした。
タクシーの日報管理等は、様々なソフトハウスがパッケージとして持っており勿論新潟にも対応可能な会社は沢山有ります。
1)パッケージの価格がかなり高価である
2)データベースシステムを使った仕掛けとなりトラブル発生時は、多額のサポート料を要求される
3) 専用のファイルサーバーやデータベースサーバーも購入する必要がありハードだけでも高価
「EXCELだけ動かせるシステムが理想である」
「専用サーバーが必要無く、トラブル時はバックアップEXCELを戻せば回復できる」
是非!
と押し切られて、お仕事をお請け致しました。
A)打ち合わせは、メールのやり取りで十分では?
まず、お客様からシステム化希望の内容と帳票のレイアウトや運用イメージ等の資料を作成して頂きメールで送って頂きました。
EXCELを使って、質問(Q)を発生都度一覧表管理します。回答(A)をその一覧表で完了か、未完かをチェックしていきます。
それを元に私が大分で実際の画面や帳票等の設計書を作成しメールでお送りします。
私には、竹田市と三重町のタクシー運行のお客様が3例有りましたので、業務的な内容はかなり熟知しておりご依頼された内容もそう問題無く理解できたのです。
お客様との実際のシステムイメージを資料だけでお互い合わせる事が出来た段階で、製作のGOを頂きました。
約4か月程かけて大分(竹田市)で制作を行い、テストを繰り返し、納品の準備が出来たのは2月半ばでした。
B) 納品だけは現地作業が必要でしょう
熊本空港経由で成田に降り上野一泊後新幹線で新潟へ
新潟の魚沼は豪雪地帯です。九州は大分の山の中では見る事に無い雪の中の世界。
社会の教科書で見た道路に雪の壁が続くのです。
この時期に来れて良かったです。
売掛残高の移行を行い、日報の入力テストも無事に動作しました。
日々の運用に耐え得る事を確認して新潟を後に致しました。
当初、数件の不具合が発生しましたが、EXCELのデータを送って頂き、パッチ等を実施して、現地に戻して頂くというようなやり取りで解決しました。
日報管理システムはこうして無事に稼働し始めました。
話は更なる展開を致します。
小出タクシー様は「公共乗合事業」を魚沼市役所より請け負っておられます。
担当者様から、この事業の予約から日々の運航実績の集計処理をやりたい、との事。
しかも、日報管理システムがEXCELだけで動作したので、この仕掛けもEXCELだけで実現したいとのご要望でした。
EXCELファイルは、一つのファイルとして完結するので、複数のパソコンからのデータ共有が致命的です。
予約を行うパソコンと実績を入力するパソコンは操作者が異なるので複数パソコンからのデータ共有の仕掛けが必須でした。
この部分を解決すべくEXCELで実際にサンプルを作成し試行錯誤の結果、何とか使用に耐え得る仕掛けを実現しました。
開発手順は、前回のやり方を踏襲しました。
全ての打ち合わせはメールのやり取りでドキュメント化しました。
1)市役所との取り決めで多数の運航ルートをマスタ化します。これを共有のEXCELのシートに置きます。
2)予約を受けると担当者はルート、利用者、乗車場所、降車場所等の情報を入力します。
3)運航前日には予約情報からルート毎に利用者、乗車場所、降車場所等振り分けて
運転手様が手元に持ったタブレットに指示情報が表示されます。
4)運航実績が運転手から上がって来ると専用のパソコンで人数や利用料金、車の稼働実績を入力します。
5)月間、年間で運行実績を集計して市役所への報告書(請求)を作成します。
納品はまた2月半ばとなりました。
その時は、お客様の担当者の方にタクシーを使って、豪雪地帯を案内して頂きました。
持参した一眼デジカメでしっかり。
遠隔地開発の実績と、タクシー運行業務の開発事例について書いてみました。
以上



