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Mybestpro Interview

介護サービスとエンターテインメントを融合させて地域を活性化する「佐渡モデル」を作りたい

介護サービスを通じて地域の活性化を目指すプロ

本間和幸

本間社長
プレゼン

#chapter1

自宅に赴き生活支援やフレイル予防を行う訪問型サービスAを提供

 「佐渡市は65歳以上の高齢者人口が約4割にものぼり、コミュニティーの連携が急務です」と話すのは、「山本組 ラクリア」の代表・本間和幸さん。

 利用者の自宅に赴く、訪問型基準緩和サービス(訪問型サービスA)を展開。要支援2以下という介護度の低い人を対象に生活支援を行うほか、加齢によって心身機能が低下するのを防ぐ“フレイル予防”の独自メニューを作り、実施しています。

 「訪問型サービスAは、介護福祉士などの資格がない人でも研修を受ければ従事できます。弊社は人材派遣業務で培ったノウハウで、自社研修を実施できるのも強みです。家事代行など有資格者でなくてもできるサポートを、必要としているお年寄りは少なくありません。また、資格の有無に関係なく誰もが関わることができなければ、高齢化社会の問題は解決しないのではないでしょうか」

 佐渡ヶ島の過疎地域は中心地から1時間以上かかるなど、スタッフが駆け付けるには難しい場所もあります。そこで、地域住民に研修を行って「高齢者とはこういうもの」という理解を深め、誰でも頼まれたらすぐに援助を届けられるようにする「見守りの宅配化」にも取り組んでいます。

 「急速に高齢化が進み、日本の未来図とも言える佐渡市が現在抱えている問題を解決できれば、将来の日本を救うヒントになるはず」と本間さん。
 住み慣れたわが家で過ごせる仕組みづくりに加え、「健康寿命を延ばして、一生自分の力で働いて自立できる社会を実現したい」と自社の定年制度を撤廃。70代スタッフが生き生きと活躍中だとか。

#chapter2

より良い社会を目指し、先代が築いた建設会社を旺盛なチャレンジ精神で多角経営化

 佐渡市で生まれ育った本間さん。父が公共事業に携わる建設会社を営んでいたこともあり、大学は工学部に進学します。
 東京の大手企業に就職後は、老朽化したダムや橋梁などを修繕するエンジニアとして全国を飛び回る毎日を送っていましたが、2012年に帰郷します。
 「赴任した経験もある岩手県の大槌町が東日本大震災で被災し、惨状を目の当たりにしました。万が一のことが起きて両親を亡くしたら、後悔してもしきれないと、佐渡に戻ることにしました」

 2017年に2代目に就任。念願の子宝にも恵まれ、「子どもたちがやりたいことをやれる、お年寄りが長生きしてよかったと思える世の中にしたい」という気持ちを強くします。より良い社会を目指して、建設業にとどまらず、人材派遣業、芸能マネジメント業などの多角経営に乗り出します。
 「大学時代にアメリカへ留学した時、『日本人はなぜチャレンジしないのか?』と聞かれ『恥ずかしいから』と答えたら『恥ずかしがるな!』と。失敗を恥と思わず、挑戦し続けるのは大事ですね」

 今後は、手掛けている業務を介護サービスに集約したいと考えています。芸能事務所に所属しているタレントやアーティストが、高齢者施設などでエンターテインメントを提供。プロモーションの場としても活用していくのが、その一例です。
 「介護サービスをいろいろな事業とつなげて地域を活性化したい。『佐渡モデル』という成功事例を作って、過疎や高齢化が進んでいる他のエリアでも参考にしてもらえたら」と語ります。

ロゴマーク

#chapter3

高齢者と子どもが交流できる通所型の施設を開き、佐渡の歴史を伝えたい

 本間さんは、通所型の施設開設にも着手。増え続ける空き家を有効利用して、高齢者から子どもまで、さまざまな年齢の人が集う場所を作ることが目標です。
 「離れて暮らすお子さんやお孫さんは年に一度くらいしか帰省せず、寂しい思いをしている一人暮らしの方も多いでしょう。でも、交流の場所があって近所に『地域の孫』ができれば、いつでも会えますよね」

 通所施設では、エビデンスに基づいた介護予防を実践するために複数の先進機器を導入。嚥下筋を測定して、誤嚥を防ぐためのトレーニングに反映していく予定です。他にも、体に装着するウエアラブル装置を使って歩く姿勢などをチェック。データを解析して改善点を導き出し、転倒防止の歩行法を指導していきたいと言います。
 「お年寄りのみなさんには、いつまでも元気でいてほしい。そして、子どもたちに佐渡の歴史を伝えてもらいたいのです」

 佐渡金山が稼働していた1980年代半ばまで、年間130万人もの観光客が訪れたという佐渡ヶ島。そのにぎわいを、子どもだった本間さんもわずかに覚えています。
 「子どもたちが人生の先輩方のお話を聞くことで、故郷に誇りを持ち、佐渡人としてのアイデンティティーを自覚してもらえたらいいなと。そして、どこへ行っても胸を張って生きていけるようになってほしい。ラクリアに込めた、すべての人が『楽』で『クリア』でありますようにという願いを、先行き不透明な時代の中でも追求していきたいと思っています」

(取材年月:2022年12月)

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専門家プロフィール

本間和幸

介護サービスを通じて地域の活性化を目指すプロ

本間和幸プロ

介護サービス

有限会社山本組 ラクリア

家事がメインとなる訪問型サービスAを提供していますが、スタッフ必修の事業者研修を自社で行うノウハウも持っています。人材派遣、芸能事務所なども経営し、新しいタイプの介護サービスを準備中です。

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