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意匠性と機能性を両立。細部まで丁寧に仕上げた住まいを提供

災害に強く新潟の気候に合わせたデザイン住宅のプロ

安達敏郎

安達敏郎 あだちとしろう

#chapter1

注文住宅やリフォームを手掛け、外観や内観、空間などをコンセプトに基づいて提案

 新潟県長岡市を拠点に、注文住宅やリフォームなどを請け負う「くれよん建築工房」。外観や内観、動線、空間などを一つのコンセプトで作り上げる、デザイン性の高い住宅を提案しています。

 「暮らしの形に二つと同じものはありませんから、家もそれぞれ異なります。住む人のライフスタイルに合わせ、意匠性と機能性を持ち合わせた住まいを、限られた予算の中でかなえたいと思っています」

 こう話すのは、代表の安達敏郎さん。大工歴40年余りの職人として家づくりに取り組んでいます。

 「完成時にきれいなのは当たり前。年数を重ねるごとに違いが出るのが住宅ですから、お客さまから見えないところにもこだわります。特別なことをやるというよりは、住んでいて違和感がないように。きめ細かな配慮と丁寧な仕事で、お客さまが不便なく、心地よく過ごせる住まいを目指します」

 大きな窓から光と風を取り込んだり、吹き抜けで開放感を出したり、スタイリッシュなモダンテイストや山小屋風、和のしつらえなど施工実績は多彩。「住宅展示場を見学してもピンとこない」「どこのハウスメーカーも同じように感じる」とあちこちを回った末、同社にたどり着く施主も多いそう。

 「和室は部材の接合の仕方で変わります。例えば壁面を囲む長押(なげし)。床柱を立ててからはめ込むので、柱の形状に合わせぴったりと納めるのが職人の腕の見せどころです。開業して約20年になりますが、長い付き合いのお客さまから『安達さんが作るのは何年たっても隙間ができない』と言われると、うれしいですね」

#chapter2

日本の伝統建築と、世界を視野に入れた妥協なき家づくりを学んで独立

 東京都内の進学校へと進んだ安達さん。大学受験で挫折を味わったことが人生の分岐点となりました。高校卒業後、父のすすめで大工見習に。同郷の親方は日本の伝統建築の名人で、高級料亭や茶室などを手掛けていました。

 「簡素なたたずまいでありながら、使い勝手と美を兼ね備えた茶室の手法を取り入れた数寄屋造りは、高度な技術が求められます。ふすまや障子といった建具の技巧に至るまで、覚えることは山ほどありました。裏千家本家のお抱え大工として年始めの茶事をお手伝いする機会もあり、歴史や文化に触れることができたのも貴重な経験でした」

 厳しい修行を経て住宅の新築を任されるようになっていた安達さんに、新たな出会いが訪れました。ある日、居酒屋で意気投合した建設会社の社長に誘われて転職。国内外の富裕層を主な顧客に持つ会社の中で、営業職に就きます。

 「イタリアの建築様式になぞらえて建物を建てたいとなったら、現地から職人を招いて壁を塗ってもらう。タイル1枚からこだわり、世界中から探して取り寄せる。スケールの大きな住宅づくりを目の当たりにしました。お客さまの理想を具現化するために妥協を許さない姿勢や、海外と日本の色彩感覚や美意識の違いなど、多くのことを学びました」

 西洋と日本の建築に携わった安達さん。実務を通じて培った知見を生かし、新潟の人々に、性能もデザインも価格も満足できる家を提供したいとの思いで、2003年に独立しました。

#chapter3

新しい技術を活用し、雪国の気候に合わせた快適な住まいをかなえたい

 近年、国は温室効果ガスの削減などを目的に、太陽光発電や高断熱仕様によりエネルギー収支をゼロにする住宅「ZEH(ゼッチ/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」を推進。今後、住宅における省エネ基準は段階的な引き上げが予定されています。

 「断熱性を強化すると、熱の出入りが少なく冷暖房の使用料が抑えられる一方、空調や換気を効率化していくことが重要になります。国の基準を満たすだけでなく、夏は高温多湿、冬は雪が多く日照量が少ない中越地方の気候を加味した家づくりに努めたいですね」

 雪の重みにも耐えられる柱なら「鉄骨が丈夫」と安達さん。「だけど、錆びるしねえ」木材は、鉄やコンクリートと比べて熱伝導率が低く、吸湿性に優れているため室温と湿度が保ちやすいのが特長。大工としての目利きで木の特性を見極め、内装など適材適所に用いていけるのも、強みだと言います。

 「また、テクノロジーの進化は各業界に変化を及ぼしており、家づくりも例外ではありません。当方には30代の職人がそろいますから、若い世代の力を借りて、AI(人工知能)など新しいツールも積極的に活用していきたいですね」

 さらには、東京のかつての仕事仲間のもとを訪ねては刺激を受けるとか。
 「上京した際は建物も見ますが、一番見ているのは人。さまざまな装いの中に多様な生き方が表れている気がして、いつも発見があります。熟練の技と柔軟な精神を併せ持ち、これからも新潟の地で、快適な住まいをお届けしていくことが目標です」

(取材年月:2023年9月)

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専門家プロフィール

安達敏郎

災害に強く新潟の気候に合わせたデザイン住宅のプロ

安達敏郎プロ

建築業

株式会社くれよん建築工房

大工歴40年以上、伝統の日本建築から外国人向けデザイナーズ住宅まで手懸けた職人が意匠性と機能性を両立した住宅を施工。住む人のライフスタイルに沿った住まいを、予算や雪国の気候に合わせて仕上げます。

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