通信販売の基礎を知ろう 通信販売の「売上の方程式」を理解する①
通信販売は先の売上を読める商売といわれています。
通信販売には売上の方程式といわれるものがあり、
売上金額 = 「アクセス数」 × 「転換率」 × 「客単価」
これに当てはめるとおおよその売り上げが予測できるようになります。
例: アクセス10,000 × 転換率10% × 客単価3,000円 = 3,000,000円
ちなみにこの売上の方程式を理解すれば、「どこを強化すれば店舗の売上を上げることができるのか」が的確にわかるようになります。
目次
「アクセス数」とは?
アクセス数は自店のサイトに入ってきた人数を表します。
トップページに入ってくる以外にも、直接商品ページに入ってくることもあります。
自社サイト型店舗では主に「キーワード検索」で入ってくることがほとんどで、
「店舗の名前」「商品名」「材料名」など店舗か商品に関するワードをGoogleなどの検索エンジンを使用し入ってきます。
またTwitterやInstagramなどで興味の持ってもらいやすいキーワードを「#」(ハッシュタグ)をつけて発信しておくことで、キーワード検索で発信内容を見た後に興味を持って入ってきます。
モール型の店舗では上記にプラスして「モール内の検索」で入ってくる場合と、NB商品(一般に販売している商品)では他店との価格比較などで入ってくる場合があります。
「転換率」とは?
転換率は自店にアクセスした人数から購入に至った人数を確率にしたものです。
店舗に入ってくる人のほとんどは「様子見」や、「情報収集」、または「思ったものと違った」などの理由で買わずに出ていきます。実店舗では出ていく前に営業活動を行うことも出来ますが、通信販売ではそれができません。ここが実店舗との大きな違いになります。
いかにページに興味を持ってもらうかがポイントになってきます。
画像などのきれいな商品ページの作成に目が行きがちですが、「情報の的確さ」や「適度な情報量」、「購入を決断できる価格」かどうか、「レビュー内容(=商品の信頼度)」「すぐに発送されるか(=店舗の信頼度)」などこれらのほうが大きなポイントになります。
ちなみに商品をすでに知っておられる場合は買うか買わないか、特に他店で売っている場合は「送料との合計価格」と「発送の速さ」が転換率に大きく寄与します。
「客単価」とは?
購入に至ったお客様の購買金額の平均です。商品価格帯や分野、店舗によってばらつきがありますが、高いに越したことはありません。
客単価の決まり方は店舗内で「何種類」を「何個」買ったかになります。
1種類1個買いでは客単価は一番低く、複数種類をたくさん買えば客単価は一気に上がります。
購入決定までにたくさんの商品を見てもらい、たくさん買いたくなるような工夫をする必要があります。具体的な内容は後日の関連コラムでまとめます。
通販の売上の方程式 まとめ
通販には分析を深めるといろいろな数値や指標が出てきますが、この「アクセス数」「転換率」「客単価」3点のみをまず抑えておけばまず間違いありません。
いろんな数値・指標を使った対策がたくさんありますが、最終的にはこの3点のうちどれかに作用します。(複数の場合もあります)
極端な例をだすと「アクセス数」か「転換率」が0であれば、0以外のものに対策をしても、売上は0のままです。
売上の方程式を正しく理解することで、的確な対策を行うことが出来、売り上げを伸ばしていくことができます。
アクセス数について
まず抑えたい!アクセス数を稼ぐ前に大事なこと
売上の方程式では「掛け算」で売上金額を算出するという特徴があります。
アクセス数を稼ぐには「労力」か、「お金」かどちらか(もしくは両方)をかける必要があり、特にお金は青天井で必要になる可能性があります。
転換率が「0」であれば「お金」を使ったアクセス稼ぎは無駄金になります。ここは大事なポイントです。そもそもお客様がいるのか、購入に至る状態なのか見極めが重要です。
筆者としてはまず「労力」でアクセスを稼ぎ、「転換率」が2~10%になってから「お金」をかけるのがよいかと思います。「転換率」については次回のコラムでまとめます。
アクセスを稼ぐ3つの力
筆者にとってアクセスを稼ぐ方法として大きく3つの力を使うと考えています。
「労力」 Twitter、Instagramなどの発信活動、ページ作成、営業活動による認知など
「金銭力」 ワード検索、広告の配布、宣伝活動など
「商品力」 商品が持つ集客力、ブランド力、購買意欲の湧く価格など
※先の項目の「お金」は、「金銭力」と「商品力」2つを指します。
お客様に「店」を、「商品」を「知る」→「興味を持つ」→「アクセス」の流れを3つの力をかけて行います。ではそれぞれの力にはどのような手段(=力のかけ方)があるかをまとめます。
「労力」について
発信活動
近年の傾向から、Twitter、Instagram、Youtube、Tiktok などでの発信活動の影響力は見過ごすことは出来ません。発信活動で得られたファンを誘導することで、安定したアクセス集客を見込めます。 ただし、ファンとしての興味と購入は別と考える層が多いことも理解が必要です。買いやすいリード商品と本命商品 使い分けが大事です。
ページ作成
ネット上から検索をしてアクセスをするときに大事なのが、ページの内容です。
ページに書かれている文字の一致率などで検索がかかるかどうかが決まります。
見やすさから画像に目を行きがちですが、アクセス面では画像の説明プラスで説明内容をすべて文字におこすことで検索にも引っ掛かりやすくなります。
営業活動の認知
ファンの獲得なら1人1人の確率が高いのはやはり営業活動です。(効率がとは言いません)
ブース出店や展示会出展など多くの人が来るところに商品を持って行って知っていただく活動にプラスしてネット店舗への誘導を行えばアフターフォローにもつながります。
「金銭力」について
ワード検索
キーワードを設定し、キーワードの単価を決めます。 キーワードで検索がかかると入札形式で表示がされ、クリックをされると課金されるという広告の一種です。検索結果連動型(クリック課金型)広告で検索すると色々出てきます。 人気のキーワードになると1クリック(購入関係なし)で100円超えるようなものもたくさんあります。
広告枠の購入
広告枠にもいろいろあります。目立つ枠から店舗・商品への誘導、セール枠を購入してセール商品に、など誘導方法はいろいろあります。 意図がはっきりしているものが多いので、アクセス効果が高いものが多いですが、費用が高いのも特徴です。転換率と客単価がしっかり機能していることを確認してから行いましょう。
宣伝活動
人が注目・集中する場所・ネット以外の媒体で宣伝活動を行うことで直接的・間接的に自店舗のサイトに誘導する方法です。場所では電車内・駅・店舗・繁華街・イベントなど、媒体で言えばテレビ・ラジオ・看板など 確実に誘導できる検索ワードを設定して宣伝すると効果が見込めます。
「商品力」について
商品ラインナップにはそれぞれ役割があります。
「リード」 店舗の入り口に置いておく人を引き付ける商品
「本命」 いわゆる店舗の名刺代わりの商品、価格帯・ブランド次第でリードにもなる。
「品揃え」 店内を回遊して興味を持ってもらう商品
どの商売でも同じですが、アクセス・集客に苦しむ一つの原因にリード商品がないことがよくあります。
お客様も最初の段階では入口に立つ(店や商品を外から見るだけ)まではあるものの、入る勇気がない、入りにくいということが多くあります。まず興味を引きとりあえずかごに入れられるもの、これがリード商品になります。
リード商品には「買いやすい」「興味をひきやすい」の2つ両立したものが求められます。
買いやすい → 本命より値段が1段下の物(印象面では「1桁(けた)」下が理想)
本命が1500円くらいなら400~800円ぐらいのもの
興味をひきやすい → 人気ワード・印象(かわいいなど)・ブランド物など
リード商品でまず店内に入る(アクセス)・かごに入れる(転換率)
→本命・品揃え商品を見せる(客単価)
この流れで商品を見せると売上の方程式にきれいに当てはめることが出来ます。
リード商品は「アクセス数」と「転換率」両方を上げる大事な要素となります。
「アクセス数」のまとめ
アクセス数を上げるには3つの力の作用を理解し、今現状の段階を理解して対策を打つことが大事になってきます。
初期では
「労力」「商品力」で「アクセス数」を増やして、「転換率」「客単価」を徐々に上げていく。
ある程度大きくなれば
「転換率」「客単価」が高く安定してきたら、「金銭力」で「アクセス数」上げていく。
この流れをつかむと無駄にお金を使わず店舗を成長させることが出来ます。
初期に一気にお金をかけるとたいてい失敗します。商品が持つ転換率に確信が持てないからです。
お金をかけるタイミングさえ間違えなければ大損することはありません。焦らずスロースタートでもいいので、まず確実に転換率を上げてから行いましょう。
転換率について
転換率とは?
お客様が店舗のページに「アクセス」をし、その中から「商品をかごに入れる」を行い、「決済」をすることで「購入」に至ります。転換率は購入した回数をお客様の「アクセス」数で割った数値になります。
転換率を上げる基本について
転換率を上げるということは購入回数を増やすということになります。
「アクセス」から「購入」に至るまでには2段階踏んでいます。
先述したことを繰り返すことになりますが、「商品をかごに入れる」「決済」の2つです。
この2段階を深く知ることで転換率を上げることが出来ます。
〇アクセスから商品をかごに入れてもらうには
「アクセス」をしてきたほとんどの人が見るものは「トップページ」か「商品ページ」です。
トップページではいきなり商品をかごに入れることは出来ません(出来ても稀です)。
各商品ページにいかに進むかが問題になってきます。
トップページで取り組むこととして、オススメは以下の2つになります。
☆買いやすいリード商品を見せる
→アクセス数を稼げる商品ページへ誘導する。ことで離脱を防ぐ
☆ショップの代名詞になりうる「本命」の商品を見せる
→会社・ショップの理解度を深めて興味を持ってもらう。
トップページにアクセスしてきても、離脱をしてしまうとかごに入れてもらえません。
店舗内をできるだけ回遊してもらうことで、購買、理解につながるようにしましょう。
商品紹介ページで大事なこと
商品ページに誘導できれば、次は商品紹介に移ります。
ここで大事なのはきれいな画像もいいですが、いかに「商品内容を正確に理解してもらい」、「興味を引き」、「いる・いらないの判断を」してもらうかです。
〇分かりやすい商品パッケージ画像
1枚目の商品画像で一番大事なことは、商品パッケージがわかりやすく表示できているかどうかです。1枚目の画像は他商品との一覧にしたときに、お客様が選ぶときに参照する画像にもなります。 縮小して表示されても商品がわかるようにしておく必要があります。
〇商品を理解してもらう説明文章と画像
ここでの大事なこととしては商品を正しく理解してもらうことになります。
お客様が一通り画像・説明を見て次の方に説明できるような紹介がベストです。
TOP商品画像
導入 → 画像1枚で商品の特徴をつかめるもの、もしくは商品の特徴を読んでもらうために誘導できる問いかけなど
商品の特徴 → 3~4つに特徴をまとめ、1つの特徴に画像1~2枚がベスト。
長くなりすぎてもダメ
商品のまとめ → 使い方・成分・商品の注意点など
商品価格・送料
お得情報など → 複数購入割引や他の商品とのセット購入など お得感が沸くもの
画像は最低6枚 多くても10枚までには抑えましょう。多すぎると読んでもらえなかったり、伝えたい大事な部分がぼけてしまいます。
また商品説明文は、画像の内容を文章化するとよいでしょう。500~1000文字ほどを目安に記載するとよいでしょう。 商品説明をしっかり記載するとキーワード検索に引っかかりやすくなり、「アクセス」の伸びも期待できます。
〇商品理解の後に価格+送料を見せる
購入に至るまでに必ず通るのが「価格」です。お客様が商品をどのように理解しているかで「価格」が安いと思うか、高いと思うかの違いが出てきます。購入=転換率UPは「いかに安く感じていただくか」ここがとにかく大きなポイントになります。
☆オリジナル商品の場合
同等品・類似品の価格帯をしっかりと把握することがとにかく大事です。
売れない原因で一番多いのが、自社の都合で価格を決めていることです。
どれだけ優れた商品でもお客様が高いと感じれば商品は売れません。
同等品と比べてどれくらいの特徴差があるのか、特徴差を把握したうえで説明を行い、それでつけた価格が安く感じるのかどうかが大事になってきます。
☆オリジナル・もしくは他社でも同じ商品の取り扱いがある場合
購入するにあたって、必ず他社と比べることが出てきます。価格はもちろん勝負になりますが、他の要素としては
期間限定価格・セール 限定感
クーポン・ポイントによる お得感
送料の値段(無料も含む) お得感
発送・到着までの速さ 安心感・取得感
店舗の評判・商品の評判(店舗での) 安心感
様々な特別感を持ってもらうことで、お得に・安く感じていただくことが出来るようになります。
かご入れから決済をするには
かごに商品を入れるとお客様は商品を買う・・・というわけではありません。
支払という最後の関門がお客様を待っています。ここでお客様が購入せずに出ていく「かご落ち」と言われることが起こる理由としては「決断がつかない」「後で買う予定がある」「決済方法がない」などがあります。
〇「決断がつかない」「後で買う予定がある」への対策
今すぐ購入に至る理由が必要な場合です。
期間限定の価格・ポイントがあるとよい意味での焦燥感が生まれ、購買に結び付きやすくなります。 また対象限定のクーポンなど店独自の特別感が生まれるようなものがあると他と比べられにくくなります。
〇「決済方法がない」への対策
「かご落ち」の理由で一番もったいないパターンです。買うつもりがあるのに決済方法がないので買えないというのは今までの苦労をすべて無駄にするようなものです。
大型モールでは設定次第ですがあまり心配はないでしょう。問題は独自のECサイトの場合です。
決済方法はカードや携帯キャリア決済、IC系の支払い方法は80~90%の利用者(重複を含む)にも上り、次いでコンビニ決済もまだ数多く残っています。代引き・銀行決済はありますが、利用者がかなり減っています。
完全自社サイトの場合は豊富な決済方法が購入転換率に大きく寄与します。かご落ち(かごに入れるまで進んでいるのに、購入を断念すること)はかなりもったいないです。
決済手数料はおおよそ3~7%ですが、業者選定の際にクレジット不正利用時の対応については十分に調べる必要があります。 薄利多売に陥りがちのこの業界で、商品を発送した不正利用者分の支払いが取消されてしまった場合、数か月単位の利益が吹き飛ぶこともあるからです。慎重に決済代行業者を選びましょう。
転換率について まとめ
転換率を上げるにはいかに商品を見やすく・わかりやすく・買いやすい状況を作るかにかかっています。どれが欠けても購入になかなかつながらないのでそれぞれ大変な作業をする必要があるのですが、あえて注意点を上げるとすれば自社・自店の都合で設定しないことです。
いかにお客様が求める情報であるか、他の店舗ではどのような状況かなど、周りの情報をしっかりと集めてから自社の強みを比較して出すことを徹底すれば売れやすいページがつくれるかと思います。
客単価について
客単価とは?
一人のお客様が1回にお店にいくら使ったかを表します。アクセスや転換率と違い購入していることが前提になっているので0はありません。ただしここの金額が低ければアクセスや転換率をあげても売り上げが上がりにくく、投資の効果が得られないことが想定されます。 客単価に関してはページの設定がとにかく重要になります。自分でできることがほとんどなので仕組みをしっかりと理解しましょう。
客単価を上げるためには?
客単価を上げるためには複数個の購入・もしくはほかの商品との同時購入が大事になってきます。ちなみに複数購入するには買いたくなるような理由が必要です。
買いたくなるような型には3つあり、それぞれ
「目標型」「必要型」「セット型」 があります。
一例をあげると
1.一定金額以上でプレゼントがつく。→「目標型」
2.いくつか買ったら送料無料になる。→「目標型」
3.2つ目以降が魅力的な価格になる。→「目標型」
4.セットで必要なパーツ・商品が他にある。→「必要型」
5.色違いや種類などがある。→「必要型」
6.お得なセット価格がある。→「セット型」
7.他の商品とセットでお得になる。→「セット型」
目標型の使い方
〇送料無料ラインを決める
自社ショップやYahooショッピングなどは統一送料無料ラインがないので、自店舗で定めることが出来ます。自店の商品販売単価をきちんと勘案し設定するとよいでしょう。
オススメラインは 2000円以下が多ければ5000円、2000円以上であれば商品単価×2~3倍がベストでしょう。
〇一定数量・金額以上でおまけを入れる
おまけやプレゼントに条件を付けるのも効果的です。こちらも魅力的な(利益を圧迫しない程度の)ものをつけることで複数買いを誘導できるでしょう。
目標型は少し頑張れば届きそうな目標を設定することが大事になります。高すぎる目標だとあきらめてしまい効果が得られません。
複数の段階を設定すると目標の目線を上げやすくなり効果が高くなります。
必要型の使い方
〇関連商品の有料オプションを設定する
メインの商品にプラス必要なものであれば追加で購入し客単価を上げることにつながります。送料無料で転換率が上がっているので積極的に商品を見せていきましょう。
〇リード商品・関連商品を紐づける
ほかのよく売れている商品や商品の関連する商品を見せる方法です。各モールなどにある関連商品の設定やおすすめセットの設定などを利用して使用します。
「必要型」に共通して言えることは、いかに関連商品を使うイメージを膨らませられるかがポイントになります。必要性が伝わるような説明画像があれば関連商品を売りやすくなります。
セット型の使い方
〇同一商品・色違いなどを複数個セットする
客単価を上げるときに一番見受けられる内容で、設定した複数個商品が売れるので客単価を上げやすくなります。 ただしSKUシステム(AMAZONで導入されている同一店同商品在庫共有システム)がないモール・販売システムの場合、1個売りとセット売りが別商品扱いされるので、商品検索への分散影響が出てきます。
〇オプションで2つ目以降のお得価格を設定する。
オプション設定ができる場合に有効な手立てです。2個目以降をお得価格設定することで複数買いを誘導し、客単価を上げることができます。先述のセット売りと違い、同じ商品ページで客単価を上げることができるので販売の分散を防ぐことができます。
売り上げの方程式 客単価の上げ方について まとめ
客単価を上げる際にまずのおススメは「目標型」の目標(送料無料や一定金額のおまけ)を複数設定するのがおススメです。複数の目標があると2段階・3段階と目線を上げることが出来ますので大口のお客様がつきやすく、客単価を伸ばすことが出来ます。これにセット型や必要型の商品設定を店舗のあちこちに散りばめることで効果が重複し客単価を上積みしていくことができます。
客単価を上げる方法をいろいろと挙げましたが、商品ページの作り方というより設定のほうが大事になってきますので、ポイントをしっかりと抑えると十分効果が出てくると思います。通信販売以外でも応用できるポイントなので工夫してやってみましょう。