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【継続決定】みらいエコ住宅事業2026とは 子育てグリーン住宅から何がどう変わったのか

栁澤直樹

栁澤直樹

テーマ:断熱リフォーム

「みらいエコ住宅事業2026」は、住宅省エネキャンペーンの流れの中で位置づけられた制度で、これまで実施されてきた「子育てグリーン住宅支援事業」の考え方を受け継いでいます。

特徴的なのは、窓や壁・床・天井といった建物の躯体の他に、必須工事として住宅設備が追加された点です。
住宅全体の性能を底上げすることを前提とした制度設計である点に、これまでの支援策との違いが表れていると感じます。

子育てグリーン住宅事業からの「継続」

みらいエコ住宅事業2026は、突然始まった新制度ではありません。

これまでの国の住宅政策では、新築・リフォームを問わず「住宅全体の省エネ性能を底上げする」ことが一貫したテーマでした。

子育てグリーン住宅支援事業(2025年)では、世帯要件を設けながら高性能住宅の普及を進めてきましたが、みらいエコ住宅事業では、

  • 世帯要件に縛られすぎない
  • 既存住宅の性能向上により焦点を当てる

という方向性がより明確になっています。

つまり、これから長く住み続ける住宅の性能をどう高めるかという視点が強まった制度と言えます。

みらいエコ住宅事業2026の制度概要

制度の全体像を、シンプルに整理すると以下のようになります。(12/26時点の最新情報に基づいた全体像です。)

【事業名称】みらいエコ住宅2026事業(Me住宅)
【全体予算額】2,050億円(内リフォームは300億円)
【補助上限額】1戸あたり 最大100万円(リフォームの場合)
【対象期間】2025年11月28日以降に工事着手したもの
【申請期限】2026年12月31日まで(※予算上限に達し次第終了)
【申請できる住宅】平成4年基準を満たさない戸建て住宅・集合住宅
【下限補助額】合計補助額が5万円以上から申請可能
【主な対象工事】窓改修、躯体断熱の強化(天井・壁・床など)、エコ住宅設備の設置(エアコン、給湯器、換気設備など)


この制度の特徴は、「どこを工事したか」ではなく「結果として住宅性能がどこまで向上したか」が評価の軸になっている点です。

みらいエコ 概要

工事の組み合わせと補助額


対象工事の建築年実施するリフォーム工事の組み合わせ上限額
平成4年(1992年)基準を満たさないもの平成11年基準相当に引き上げるリフォーム50万円/戸
平成4年(1992年)基準を満たさないもの平成28年基準相当に引き上げるリフォーム100万円/戸
平成11年(1999年)基準を満たさないもの平成11年基準相当に引き上げるリフォーム40万円/戸
平成11年(1999年)基準を満たさないもの平成28年基準相当に引き上げるリフォーム80万円/戸

※平成4年以前に建築された住宅は、躯体(屋根・天井・床など)の工事が必須。

断熱の立場から見た重要ポイント

みらいエコ住宅事業では、単体工事よりも組み合わせによる性能向上が重視されます。

例えば、

  • 窓の断熱だけで終わらせない
  • 壁や天井、床など熱の逃げ道を意識する
  • 設備更新と断熱改修を連動させる

といった計画が求められます。

補助金の金額だけを見て工事を決めると、結果的に「思ったほど快適にならない」ケースも少なくありません。
制度の本来の目的は、住まいの体感温度・冷暖房効率を根本から改善することにあります。

子育てグリーン住宅事業からの主な変更点

みらいエコ住宅2026事業のリフォーム補助では、工事内容そのものよりも、改修後に住宅の性能がどこまで引き上げられたかが補助額を左右します。
窓の交換箇所数や断熱材の使用量といった作業量ではなく、住宅全体として省エネ基準をどの水準まで満たしているかが評価のポイントになります。
ここからは、前回の子育てグリーン住宅支援事業と比べて、どのような点が変わったのかを見ていきましょう。

  • 補助対象となる工事は、2025年11月28日以降に着手したものが対象です。
  • 対象住宅は、平成11年省エネ基準に達していない既存住宅に限られます。
  • 改修後に、平成28年基準相当または平成11年基準相当の省エネ性能に到達することが、補助要件として整理されました。
  • 開口部や躯体の断熱改修、エコ住宅設備の設置については、定められた工事の組み合わせで実施しなければ、補助の対象にはなりません。
  • エコ住宅設備の必須工事として、エアコンと換気設備が新たに追加されています。


これにより、
「どの工事を選ぶか」ではなく、
「どんな住まいにしたいか」から
計画を立てる必要性が高まっています。

補助金を活かすために大切な考え方

この制度を上手に活用するためには、まず現在の住宅性能を正しく把握することが欠かせません。
窓を改修するだけで良くなるケースもあれば、床や天井断熱の改修、住宅設備の見直しが必要なケースもあります。
補助金はあくまで後押しであり、主役は「住まいの性能そのもの」です。
断熱の専門家としては、制度ありきではなく、暮らしの質をどう高めるかを軸に計画を立てることをおすすめしています。

これからも健康で過ごすために


これからも健康に

断熱リフォームや補助制度というと、どうしても「金額」や「条件」に目が向きがちですが、本来大切なのは、その先にある暮らしの質だと考えています。

室内の温度差が大きい住まいでは、冬場のヒートショックや体への負担が起こりやすく、知らず知らずのうちに健康リスクを高めてしまうこともあります。
断熱性能を高めることは、単に寒さ暑さを和らげるだけでなく、日々の体調管理や将来の健康にも関わる重要な要素です。

みらいエコ住宅事業2026は、そうした背景を踏まえ、設備の入れ替えだけではなく、住まいの基本性能である躯体の断熱強化に目を向けた制度だといえます。

住宅全体の性能を底上げすることで、冷暖房に頼りすぎない環境が整い、結果として身体への負担も軽減されていきます。
それは、今の快適さだけでなく、これから先も安心して暮らし続けるための備えでもあります。

補助制度は、あくまでその後押しにすぎません。
大切なのは、「この住まいで、これからどう暮らしていきたいか」を考え、その答えとして断熱性能の向上を選ぶことだと思います。

これからも健康で、長く心地よく暮らしていくために。
住まいの性能を見直すことは、その第一歩になるはずです。

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栁澤直樹
専門家

栁澤直樹(断熱リフォーム)

株式会社テオリアランバーテック

建物の構造や温湿度データをもとに、断熱リフォーム・木製エクステリア・シロアリ防除適材適所で提案。診断からアフターケアまで自社で一貫対応し、「木を活かす技術」により快適で豊かな暮らしを支えます。

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