断熱調査ってどんなことをするの？
「断熱」は暮らしを守る“見えないバリア”
「断熱」と聞くと、専門的で難しそうに感じる方も多いかもしれません。
ですが、実は私たちの毎日の暮らしと、とても深く関わっています。
冬になると家の中が寒くて暖房が効きにくい、
夏になると冷房を入れてもなかなか涼しくならない。
そんな経験はありませんか？
この「寒さ」「暑さ」を左右している最大のポイントが、実は断熱なんです。
「断熱」はどんな役割をしているの？
断熱とは、一言でいえば「外の温度を、家の中に伝えにくくする仕組み」のこと。
熱の出入りを防ぎ、室温を快適に保つための“見えない壁”のような存在です。
たとえば冬。
家の中が暖かくても、外が氷点下だったら、放っておけば熱はどんどん逃げていきます。
逆に夏は、外の猛烈な暑さが家の中に伝わってきて、蒸し風呂のように感じることも。
断熱がしっかりしていれば、室内の快適な温度を保ちやすくなり、冷暖房の効きもよくなります。
断熱のメリットは、温度だけじゃない
断熱があることで得られるメリットは、温度管理だけではありません。
実は、日々の生活をより豊かにする、さまざまな効果があるんです。
① 光熱費の節約につながる
エアコンやストーブの効きが良くなれば、
当然、使用時間や出力を抑えることができます。
結果として、冷暖房にかかる電気代・灯油代が大幅に削減されるのです。
長い目で見れば、断熱リフォームの費用も十分に回収できます。
② 結露・カビの発生を防ぐ
寒い冬の朝、窓ガラスがびっしょり濡れていた経験はありませんか？
これが「結露」です。
結露は、温かい室内の空気が、冷えたガラスや壁に触れて水滴になる現象。
放っておくとカビやダニの原因となり、健康被害を引き起こすことも。
断熱をしっかり行えば、壁や窓が冷えにくくなり、結露の発生も大幅に減らせます。
③ ヒートショックの予防
暖かいリビングから寒いトイレや脱衣所に移動したとき、
ゾクッと寒さを感じることはありませんか？
この温度差が、血圧の急変動を引き起こし、
**心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める「ヒートショック」**の原因となります。
高齢者だけでなく、家族全員にとってのリスク。
家全体の断熱性を高めれば、こうした事故を未然に防ぐことにもつながります。
④ 家の寿命を延ばす
温度差や湿気は、家の構造材にもダメージを与えます。
とくに木造住宅では、壁の中に湿気がこもると、
柱や土台が腐食し、シロアリの被害を受けやすくなります。
断熱材と同時に「気密」もしっかり行えば、
湿気や熱の通り道をコントロールでき、家そのものを長持ちさせることができるのです。
どこから熱が出入りしているの？
一般的な住宅では、冬に逃げる熱の割合は以下のように言われています：
- 窓・ドア（開口部）…約58%
- 壁…約15%
- 換気…約15%
- 床…約7%
- 天井・屋根…約5%
なんと、半分以上の熱が窓やドアから逃げているというのです。
つまり、「家が寒い」「エアコンが効かない」と感じたら、
まずは窓まわりの断熱から見直すことが重要です。
現代の断熱は、昔とは比べものにならないほど進化
築30年以上の住宅では、断熱材が入っていないか、入っていても極端に薄いケースがほとんどです。
また、かつて主流だったアルミサッシの単板ガラス（1枚ガラス）は、
外気の影響をもろに受けてしまいます。
現代の断熱材や断熱サッシは、性能も施工方法も格段に進化しています。
窓ガラスは「複層ガラス」や「Low-Eガラス」など、断熱性に優れた製品が主流に。
壁の中に吹き込む「セルロースファイバー」などの自然素材も注目。
特別な工事不要で内窓を設置するだけの簡易リフォームも登場。
これらを上手に活用することで、
住みながら快適な断熱改修を実現することができます。
地球にも、未来にもやさしい断熱
断熱によって冷暖房効率が上がれば、エネルギーの使用量が減ります。
つまり、CO₂の排出量も抑えられるということ。
近年注目されている「脱炭素」や「ゼロエネルギー住宅（ZEH）」にも、
断熱は欠かせないキーワードです。
住む人の快適さを守りながら、地球環境にも貢献できる。
それが断熱の魅力です。
家の快適さは、「断熱」で決まる
断熱は、「寒さ・暑さを防ぐ」ためだけのものではありません。
- 健康を守り
- 家計を助け
- 家を長持ちさせ
- 環境にもやさしい
これほど多くのメリットをもたらしてくれるのに、
普段の暮らしではなかなか注目されにくい存在でもあります。
もし、今のお住まいで「なんとなく寒い」「冷暖房費が高い」と感じているなら、
それは「断熱を見直すサイン」かもしれません。
長野県のような寒暖差の激しい地域では、
住宅の「断熱性能」が快適な暮らしを大きく左右します。
特に1980年代以前の戸建て住宅には、断熱材が入っていない“無断熱”や、
機能が不十分な“低断熱”のままの住まいも多く、
寒さ・暑さ・光熱費・健康面で大きなリスクがあります。
断熱性を高めることで、冷暖房効率が上がり、結露やヒートショックも予防可能。
今や「断熱」は、健康・快適・省エネを支える住まいの基本です。
