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【信濃町版】外壁塗装は築年数だけで判断しない!自宅の適正時期を見極めるガイド

高橋春彦

高橋春彦

テーマ:外壁塗装

「そろそろ10年経ったけど、ほんとに今塗り替えるべき?」
新築のときはピカピカだった外壁も、気がつけば何となく色が抜け、指で触れると白い粉がつく。
「でも築10年って聞くし、まだ大丈夫かな」「ご近所は15年でやったらしいし」
こんなふうに築年数だけを手がかりに迷ってる声を、私たち塗装店は毎日のように耳にします。
実は外壁塗装のベストタイミングは年数 × 塗料 × 外壁材 × 環境 × 劣化サインが絡み合って決まるため、「10年」「15年」といった数字だけでは判断できません。
この記事では、だれでも今日から自宅をチェックできる具体的なポイントを、専門用語をできるかぎり省きながら解説していきます。

築10~15年説はなぜ広まったのか?

日本の住宅業界を席巻した“10年神話”の正体

日本の戸建ては1980年代以降、「10年保証=10年で塗り替え」という図式が定着しました。
これは新築時に多く採用されたウレタン・アクリル系塗料の耐久年数が7~10年だったこと、そして住宅メーカーの無償点検が10年で終わることが重なった偶然の産物です。
実際には塗膜を長持ちさせるシリコン系・フッ素系が増えた現在、同じ10年でも“まだ半分も性能が残っている”家と“すでに防水力がゼロに近い”家が混在しています。
そのズレが、リフォーム時期の判断を難しくしている最大の要因といえるでしょう。

塗装サイクルを左右する4つのポイント

塗料グレードで変わる「守り」の寿命
塗料は大きくアクリル、ウレタン、シリコン、ラジカル制御シリコン、フッ素、無機ハイブリッドの順に耐久性が延びます。たとえばアクリルが5~8年で色あせるのに対し、無機ハイブリッドは20年以上“塗りたて”の色を保つことも珍しくありません。下表は代表グレードの比較です。

| 塗料グレード | 期待耐用年数 | 平均コスト(30坪・足場込) | 色あせ耐性 | 防水性 | こんな家におすすめ

アクリル 5~8年 60万~80万円 将来建て替え予定の人
シリコン 10~15年 90万~120万円 一般的な戸建てに最多
ラジカル制御シリコン 12~16年 100万~130万円 紫外線が強い地域
フッ素 15~20年 130万~160万円 ◎◎ 高層・塩害地域
無機ハイブリッド 18~22年 150万~200万円 ◎◎ ◎◎ 次世代まで塗り替え回数を減らしたい

外壁材と下地でサイディングは早く、モルタルは遅い理由

窯業系サイディングは工場仕上げの塗膜が薄く、水を吸うと凍害や反りを起こしやすいため、防水切れが早いのが弱点。一方、モルタル壁は厚みがあり吸水を内部で緩衝できるため、ひび割れさえ補修すれば長持ちする傾向があります。この差が、同じ築年数でも塗装の緊急度が変わる一因です。

気候ストレス・紫外線・塩害・凍結融解のダメージ

南向きの壁は年間の日射量が北面の2倍近くになることもあります。
紫外線は塗膜樹脂を分解させ、色あせや粉化(チョーキング)を加速。
海沿いでは塩分が結晶化して塗膜を押し広げ、寒冷地では水が凍って体積膨張し細かなクラックを生む……。
住所が違えば、同じ塗料でも寿命は大きく変わる**のです。

劣化サインを読む、チョーキングとヘアクラックの見分け方

指でこすって粉が付くチョーキングは塗膜が“日傘”の役目を果たせなくなったSOS。
0.3mm未満のヘアクラックは雨水を吸い込む前兆で、0.5mmを超えると下地ごと補修が必要。
見逃すと雨水が内部の木材や断熱材を腐らせ、塗装費より高い大工工事に発展します。

築年数と劣化サインで判断する

■5年目点検で“剥がれが無いか確認
新築サイディングは5年目で**継ぎ目シーリングが硬化収縮し始めます。
ここで目地や窓周りに微細な隙間がないかチェックし、早めに打ち替えておくと外壁からの吸水をブロックでき、塗装サイクルを2~3年延ばすことが可能です。
■ 7~10年目は「防水切れ」危険域
粉ふきや色ムラが出始めたら塗膜の撥水力はほぼゼロ。
吸った水は数時間で乾くように見えても、実際は内部に残り下地をじわじわ傷めています。
このタイミングで塗り替えれば、下地補修が軽微で済み総額を抑えられます。
■15年以降は下地補修セットで考える理由
15年を超えると、サイディングの反り戻しやモルタルの深層クラックが進行しているケースが多く、塗装前に大規模な下地補修が必要になりがちです。
費用差は同じ30坪でも20万~40万円。放置コストが跳ね上がる前に行動するのが賢い選択です。

コストと耐用年数の損益分岐点を数字でつかむ

「安い塗料を短期で何度も」は本当に得か?

仮にアクリル(60万円・耐用8年)とシリコン(100万円・耐用13年)を30年間で比較すると、
アクリル:60万円×4回=240万円
シリコン:100万円×2回+10年目の洗浄10万円=210万円
長期ではむしろシリコンの方が30万円安く、足場を組む回数も半分に。初期費用”より“生涯費用”を基準に選ぶと、意外な逆転劇が見えてきます。
事例:信濃町・築12年サイディング住宅を守った“早め塗替え
雪国特有の凍結融解
長野県信濃町じゃ、冬はマイナス10℃に達する地域。築12年で外壁の継ぎ目が開き、サイディング裏に霜柱ができていました。
早期にラジカル制御シリコンで再塗装+目地打ち替えを行った結果、4年経った現在も色あせしていません。
施主様は「暖房効率が上がり光熱費も下がった」と体感的なメリットを語っています。

メンテナンスと点検を“暮らしの習慣”にするコツ

外壁が“言葉”を発する前に聞こえてくるサイン

雨の日に10分だけ家の周囲を歩いてみてください。
壁を伝う雨水が筋状に黒い・ツーっと一点集中で流れる・目地から泡が出る。
これらは塗膜の撥水切れを示しています。
半年に一度の“雨の日点検”を家族のルーティンにするだけで、修繕費を十万円単位で抑えられます。

築年数は“目安の物差し”最終判断は“わが家の声”で

外壁塗装は築年数という数字だけでは決められない多変数のメンテナンスです。
1.塗料グレードで寿命が倍以上変わる。
2.外壁材と気候が劣化スピードを左右する。
3.劣化サインを見つけたら年数にかかわらず即検討。
これらを踏まえ、自宅の状態を「見て・触って・感じて」判断すれば、塗装は“無駄な出費”から“未来の資産を守る投資”へと変わります。
次の休日、ぜひ外壁を撫でながらわが家の声に耳を澄ませてみてください。色が少しでも褪せ、指に粉がつくなら、その瞬間が最良の塗り替えタイミングです。

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高橋春彦
専門家

高橋春彦

しろくまペイント(株式会社 霜鳥 塗装事業部)

塗る場所の状態や材質によって正しい塗料を選ばないと、後々問題が起きてしまいます。限られた予算の中で最も良い選択をするには、あらゆる塗料の性能や性質を知り尽くしているプロの目が必要不可欠なのです。

高橋春彦プロは信濃毎日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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