放置すると被害拡大!長野市の工場折半屋根の雨漏り事例をもとに解説!

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私たちの雨漏り調査と修理について
「スレートは軽いしコスパもいいから安心」と思っていたのに雨染みが出てきた。
それ、いちばん危ないサインです。
屋根裏や天井クロスにうっすら茶色い輪染みができはじめても、「まあ風向きが悪かったのかな」「たまたま豪雨だったから」と見て見ぬふりをしてしまう。
しかしスレート屋根の場合、その小さな染みは“雨漏り末期”の合図かもしれません。
なぜなら、スレート屋根は表面の割れや塗膜の劣化より先に下葺きの防水シート(ルーフィング)や釘穴、縁切り不足が原因で内部から傷むケースも多いからです。
本記事では、スレート屋根特有の雨漏りメカニズム、DIYで気付ける劣化サイン、工法別の修理費用、そして再発を防ぐメンテナンス計画までを体系化しました。
読み終えるころには、今やるべき最適な対策が明確になり、無駄な出費を回避できるようになります。
スレート屋根で雨漏りが起こるメカニズム
塗装時の縁切り不足──排水路を塞いだ“見えない隙間”
カラーベストやコロニアルを再塗装する際、重なり目の隙間に塗料が溜まると本来あるべき水路が消失し、屋根内部に回った雨水を排出できなくなります。
縁切りタスペーサーを入れずに上塗り2回で仕上げた現場は要注意。
毛細管現象で吸い上げられた水が躯体方向へ逆流し、ルーフィングを超えて野地板に達すると、わずか3年で雨漏りに発展するケースも。
釘穴・ビス穴からの浸水──小さな点孔が野地板へ
屋根リフォームや太陽光パネル設置時にスレートを貫通して固定ビスを打つと、熱伸縮でビスがわずかに動き、周囲の穴径が楕円化します。
そこへ降雨時の風圧が加わると雨水がストローのように吸い込まれ、ルーフィングをバイパスして野地板へ直撃。
築浅でも高確率で起こるため、後付け設備の多い住宅は必ず点検が必要です。
雨漏り発生時の修理メニューと費用感
一見無傷に見えるスレートでも、拡大鏡で観察するとヘアライン状のクラックが走っていることがあります。
そこに凍結融解や砂埃が入り込み、クラック幅が 0.3 mm を超えると雨水が毛細管で浸入。
乾燥時に表面塗膜が剥離し、割れて欠けて雨漏りへ一直線。
表面塗装だけでは内部クラックは塞げないため、割れ枚数が多い場合は部分交換が必須です。
ルーフング(防水シート)の経年劣化
スレート自体は一次防水、実質的に雨漏りを防いでいるのは二次防水であるルーフィング。
改質アスファルトルーフィングでも耐用は 20~25 年。
折り返し部の針葉樹脂分が抜け、弾性がなくなると微細なピンホールが生じます。
上部からの浸水量がわずかでもルーフィングが破れた瞬間に雨漏りが顕在化。
築 25 年を越えるスレート屋根で雨漏りが始まった場合、ルーフィング寿命を疑うのが鉄則です。
| 原因 | 推奨工事 | 範囲 | 参考費用 | 保証 |
| 縁切り不足 | 再縁切り+クリア仕上げ | 全面 | 10~15万円 | 3~5年 |
| 釘穴浸水 | 釘穴シール+タッカー増し固定 | 部分 | 3~6万円 | 2~3年 |
| スレート割れ | 割れ枚交換+部分塗装 | 10~30枚 | 8~12万円 | 5年 |
| ルーフィング劣化 | カバー工法(金属) | 全面 | 80~120万円 | 10~15年 |
| 〃 | 葺き替え(スレート→金属) | 全面 | 110~160万円 | 20年 |
30 坪総二階・屋根面積 100 ㎡、足場・諸経費込み税込概算
軽量金属カバー工法がスレート雨漏りの再発防止に
既存スレートを残したまま、0.35~0.5 mm厚ガルバリウム鋼板を重ね葺きするカバー工法なら、廃材処分と構造合板交換が不要。
工期は 4~5 日、耐用 25~30 年とコスパも良好。
唯一のデメリットは総重量増ですが、スレート+金属 6 kg/㎡ 程度で瓦より軽く、耐震性を損なうケースは稀です。
塗り替え2回分の費用で半永久的に雨漏りリスクを潰せるため、築 20 年超なら最有力選択肢になります。
DIYで試せる“応急処置”と危険ラインの見極め
コーキング充填は「応急」以上にならない
少量の雨染みならブチルテープや変成シリコンで埋めたくなりますが、スレートは熱伸縮が大きく2~3カ月でシールがちぎれがち。
あくまで止水の時間稼ぎと割り切り、必ず早期に専門業者へバトンタッチを。
濡れた天井裏の白カビの匂いは“即プロへの依頼”のサイン
点検口を開けて甘酸っぱい匂いがしたら、野地板含水率30%超の可能性大。
木材腐朽菌が発生し始めると2~3年で梁まで劣化する危険ラインなので躊躇なくプロに相談を。
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雨漏り修理はDIYで行える?
雨漏りゼロを維持する長期メンテナンス計画
10 年目:高圧洗浄+遮熱フッ素塗装+縁切りタスペーサー
塗り替えは必ずタスペーサーを挿入し縁切りを確実に。赤外線反射顔料入りフッ素なら次回塗装サイクルを 5 年延ばせます。費用は 70~90 万円(足場込)。
15 年目:部分打診&ドローン点検
費用 3~5 万円。割れ枚数が 100 枚以上なら部分交換よりカバー工法の方が経済的という判断基準に。
20 年目:金属カバー or 葺き
屋根の資産価値と売却計画、太陽光パネル有無で決める。
発電パネルがある場合は架台再設置費 20~30 万円を追加計上。
火災保険・リフォーム減税・自治体補助金をフル活用
台風・雹被害は保険適用、過失ゼロで自己負担 0
台風でスレートが割れた、雹で貫通した場合は「風災」扱いで免責 0~20 万円を除き保険金が下りるケースが多数。写真+見積書+被害報告書で申請し、10~30 万円支給実績も。
長期優良住宅化リフォーム補助を屋根耐震化に適用
自治体によっては耐震性能向上リフォーム(軽量屋根化)に 10~50 万円補助が出る制度あり。
金属カバー工法が対象になる地域もあるため、市区町村窓口に確認を。
スレート屋根の雨漏りは「縁切り・釘穴・ルーフィング」
1. 縁切り不足・釘穴楕円化・ルーフィング寿命の3点がスレート雨漏りの主要因
2. 雨染みを見たら 部分補修 3~15 万円、築 20 年超は カバー工法 80 万円~が目安
3. DIY止水は応急まで、白カビ臭=即プロ依頼ライン
4. 10 年目塗装でタスペーサー必須、20 年で屋根全体刷新が長期コスパ最良
5. 火災保険・自治体補助・ドローン点検を活用し、実質負担を最小化
今日できる第一歩は、雨の日に天井裏をライトで照らし、濡れ跡と匂いをチェックすること。小さな兆候を逃さず、スレート屋根を雨漏りゼロで使い続けましょう。



