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長野市でトタン屋根塗装DIY、やる前に知っておきたい費用・危険・仕上がり差

高橋春彦

高橋春彦

テーマ:外壁塗装

「業者に頼むと高いし、自分で塗れないかな?」と悩む人は多い
築15年を過ぎたあたりから、トタン屋根の赤錆や色あせが目立ち始めます。
見積もりを取ると「足場込みで60万円」と言われ、「これなら DIY でサビ止めを塗れば半額以下で済むのでは?」と思うのは自然な流れ。
しかし実際に行動に移そうとすると、高所作業の転落リスク、正しい下地処理のやり方、塗料選びなど、抜け道のないチェックポイントが次々に立ちはだかります。
本記事では、トタン屋根塗装を DIYでやる場合とプロに任せる場合を「費用・危険性・長期コスト」の3視点から比較し、自分がどちらに向いているかを判断できるようにまとめました。

DIY の魅力は「費用」と「達成感」

費用メリットは“塗料と工具”に見えても、隠れたコストがある


下地処理に必要なディスクグラインダーやワイヤーブラシは買い切り?レンタル?
トタン屋根塗装で最も時間を取られるのが下地処理は特にサビ落としです。
錆転換剤という選択肢もありますが、赤錆を機械ケレンで一次除去してから塗るほうが密着性は段違い。
DIY ではディスクグラインダー本体1.5万円、耐摩耗カップブラシ3,000円、ポリシート養生一式5,000円と、下地だけで意外に費用がかさみます。
「サビ落とし不要タイプの塗料なら」と考えがちですが、転換剤は1缶2万円前後と高単価。結局、目に見えづらい工具・消耗品に2〜3万円の隠れコストが乗る点を想定しておかないと、DIY の想定メリットが薄れる恐れがあります。

転落リスクは“2階軒高でも死亡事故”の現実

素人が脚立と梯子で施工する危険度は、労災統計が物語る

厚労省の労災統計によれば、住宅リフォーム関連の墜落・転落事故の3割以上が高さ3m未満で発生しています。
トタン屋根は滑りやすい上、錆が進行した箇所は歩行荷重で局部座屈することも。
DIY 記事では「ロープで体を縛れば OK」などと簡単に書かれがちですが、実務の屋根屋が使う親綱アンカーは梁に打ち込み静荷重15kNを想定した金物です。
素人が軒天にロープを通しても、衝撃荷重で簡単に抜け落ちます。
命綱のアンカーが取れない環境での DIY は実質“命綱なし”での高所作業と同義という点を重く受け止める必要があります。

艶と耐久年数は下地処理8割で決まる

ケレン不足で数カ月後に剥がれる事例は後を絶たない

トタン塗装の失敗で多いのが「半年でベロンと剥がれた」ケース。
なぜ起こるのかは、赤錆と白錆を取り切れておらず、塗料が酸化皮膜に乗っているだけの状態がほとんどです。
プロは2種ケレン(電動工具+ワイヤーブラシ)で金属光沢が出るまで削り、防錆プライマーを塗布。
そのうえでシリコンかフッ素を2回塗り重ねます。
DIY では手工具ケレンに留まりがちで膜厚も薄く、艶ムラを隠そうとして塗り重ねると刷毛目で逆に水はけが悪化。結果として耐候年数は3〜4年でチョーキングが始まり、8年持つはずの塗料が半分で寿命を迎えることになります。

プロ施工との比較表

比較項目 DIY プロ業者
初期費用(20㎡) 工具+塗料計6〜10万円 足場込み25〜35万円
事故リスク 高(転落・切創) 保険+安全装備
工期 3〜4日(休日作業) 2日
耐久年数 3〜5年 8〜12年
保証 なし 5年保証が一般的
緊急補修時の手間 自力 アフターサービス


自分でDIYするなら守りたいこと

足場は必ず組むかローリングタワーを設置

“軒先に脚立を縛る”方法は作業効率以前に危険が大きすぎます。
DIY 向けに1日 8,000円前後でアルミ製ローリングタワーをレンタルできるサービスがあり、昇降ハッチと手すり付きで安全性が大幅向上。
費用を惜しんで救急車を呼ぶ羽目になれば本末転倒です。

下塗りはエポキシ系2液を選び、可使時間内に塗り切る

1液型サビ止めは乾燥が早い反面、硬質化が甘くチョーキングが早期に出やすい傾向。
2液エポキシは混合後4時間程度で硬化が始まるため、午前中に混ぜて昼までに塗り切る段取りが重要。
可使時間を過ぎてドロッとした塗料を延ばすと膜厚ムラが致命的になります。

中・上塗りにはシリコン以上を選び、希釈率を厳守

トタンは熱伸縮が激しいため、硬いウレタンだと追従ひび割れが起こりやすい。
伸び率と耐候性を両立する弱溶剤シリコン、予算が許せばフッ素が推奨。
硬化剤比率やシンナー希釈率を守らないと、硬化不良でベタつきが残ります。
メーカーの技術資料を読み込み、気温5℃未満では塗装しないなど条件を守りましょう。

季節は春か秋、降雨・結露の少ない3日間を確保

塗装直後の降雨は流れムラ、夜露は艶ボケの原因。
防錆プライマーが完全硬化するまで最低6時間、上塗りは24時間乾燥が理想です。
梅雨と真冬は避け、昼夜温度差が小さい4〜5月、10〜11月にスケジュールを取ることで仕上がり品質が大きく向上します。

失敗しづらいおすすめ DIY 塗料3選

商品名 特徴 価格 耐久目安 塗装回数
日本ペイント「パーフェクトトップ強化シリコン」 ラジカル制御で退色に強い 1.6万円/15kg 8年 2回
関西ペイント「アレスクール2液SI」 遮熱+シリコン 1.9万円/15kg 8〜10年 2回
エスケー化研「クールタイトF」 遮熱+フッ素 2.6万円/15kg 12年 2回

別途、2液エポキシ防錆プライマー(7,000円/4kg)が必須。希釈用シンナーはメーカー指定を選択。

プロ依頼が向いているのはこんなケース

1.勾配5寸以上で滑落リスクが高い
2.築20年以上でサビ穴が多くカバー工法検討中
3.外壁塗装を同時に行い足場を共用したい
4.10年以上持たせたいのでフッ素や無機を塗りたい
5.火災保険・自治体補助金を活用したい(書類対応が必要)

DIYかプロかを決める軸は「安全」「長期コスト」「時間」

安全:足場と保険を自前でクリアできるか
長期コスト:失敗時の再塗装費や漏水補修費も視野に入れる
時間:休日を丸々使って3日間、高所で作業しきれるか
この3軸をクリアし、「工具込みで10~20万円で3〜5年で塗り直す覚悟」ならDIYが有効。
一方、「最初から10年保証でメンテ周期を伸ばし、事故リスクをゼロにしたい」ならプロ依頼が結果的に安上がり。ご自宅の状況とライフスタイルに合わせて最適な選択をしてください。

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高橋春彦
専門家

高橋春彦

しろくまペイント(株式会社 霜鳥 塗装事業部)

塗る場所の状態や材質によって正しい塗料を選ばないと、後々問題が起きてしまいます。限られた予算の中で最も良い選択をするには、あらゆる塗料の性能や性質を知り尽くしているプロの目が必要不可欠なのです。

高橋春彦プロは信濃毎日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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