外壁塗装で高圧洗浄を省くとどうなる?長野市で戸建てを守る重要な工程
「ああ、また今朝も一面の銀世界――きれいだけど、うちの外壁は大丈夫かな?」
そんな不安が頭をかすめた経験はありませんか。長野市は全国有数の寒冷地。
しんしんと降る雪や厳しい凍結・融解のサイクルは、見た目以上に住宅の外壁、とりわけサイディングに大きな負荷をかけています。
雪害で一度ひびが入ると、融けた水が内部に染み込み、夜間に凍って体積が膨張し、さらに割れが広がる。
いわゆる“凍害スパイラル”へ突入します。ここまで進むと張り替えやカバー工法など高額工事が避けられません。
この記事ではサイディングが雪から受ける典型的なダメージと、長野市で現実的なメンテナンス方法を、解説します。読み終える頃には「今年の冬が来る前に、わが家は何をすればいいか」を具体的にイメージできるようになります。
サイディングを襲う“雪害三重苦”
雪の圧力が生む変形と剥離
寒波が連日続くと、屋根から滑り落ちた雪庇が外壁に寄りかかるように積み上がります。
乾燥して軽い新雪でも、水分を含んで凍結を繰り返すと比重は大幅に増し、1立方メートルあたり300〜500kgに達することも珍しくありません。
この荷重が古いサイディングの固定ビスを徐々に緩め、板材の反りや浮きを誘発します。
反りが3ミリを超えると表面塗膜が引っ張られて微細な亀裂が出始め、そこが次の凍害の入口になります。
凍害サイクルが塗膜の下で進行する
昼間に解けた雪解け水が目地やクラックから内部に浸入し、気温が氷点下へ下がる夜間、内部で凍結して体積が約1.1倍に膨張します。
この膨張圧は想像以上に強く、連続する夜間凍結が一冬で板材を押し割るケースも確認されています。
凍結し融解して再凍結のサイクルは、一度始まれば毎晩繰り返されるため、早期の止水処置が肝心です。
長期間の積雪が呼ぶ藻・カビ汚染
長野市の北向き外壁は、冬期はほとんど日が差さないうえ、溶けかけの雪が常に接している状態になります。
湿度が90%を超える環境が数週間続くと、塗膜表面に付着していた微量の胞子が発芽し、緑藻や黒カビが根を張るように増殖します。
蓄積した藻・カビは塗膜の有機成分を栄養源にして微細な穴を開けるため、結果として防水性能も奪われてしまいます。
長野市仕様:雪害リスクを数値で把握する現実的チェックリスト
| リスク項目 | 早期兆候 | 観察ポイント | 危険判定の目安 |
| 変形荷重 | ビス浮き音・外壁中央の影 | 午後の斜光で波打ちを確認 | 反り幅3mm以上は要補強 |
| 凍害進行 | 塗膜の線状クラック | 0.3mm以上の割れが反復 | 一冬で割れが倍増なら早期補修 |
| 藻カビ繁殖 | 北面の緑色被膜 | 指で触るとぬるぬる | 施工5年以内でも発生で要バイオ洗浄 |
※危険判定に該当した場合、冬を迎える前に専門点検を推奨。
雪害を防ぐ!長野市だから選びたい対策
目地シーリングの高耐候化
固化・収縮が進んだシーリングは、雪解け水に対してもっとも脆弱です。
硬化度合いをチェックし、指で押しても戻らないほど硬い場合は打ち替えを検討。
これだけで凍害リスクを抑えられます。
弾性下地材+シリコン以上の高耐候塗料
凍害を伴うクラックには、弾性ウレタン下塗り材で微細な動きに追従させ、その上にラジカル制御型シリコン以上のトップコートで紫外線由来の劣化を抑えます。
弾性+ラジカルの組み合わせはコストパフォーマンスと耐候年数のバランスが高く、15〜18年寿命が視野に入ります。
水切り金物と雪庇ガード
屋根と外壁の取り合い部にアルミZ型水切りを追加し、落雪が直接サイディングに当たらない設計に変更すると、変形荷重をほぼゼロに近づけられます。
併せて雪庇ガードを軒先に取り付け、外壁から20センチ以上離すことで、積雪と外壁の長時間の接触を防げます。
外壁材選び:凍害に強いサイディング比較
| 材質 | 特徴 | 凍害耐性 | メリット | デメリット |
| 金属サイディング(ガルバリウム) | 0.4mm鋼板+断熱材充填 | ◎ | 軽量で雪荷重を軽減/凍結膨張なし | 雨音・へこみへの配慮が必要 |
| 樹脂系サイディング | PVC一体成形 | ◎ | 吸水ゼロで凍害無縁/ヒートブリッジ減 | カラーバリエーションが少ない |
| 高密度窯業サイディング | セメント+無機質高圧成形 | ○ | デザイン多彩/コスト中庸 | 吸水は低減だがゼロではない |
| 木質サイディング | 乾燥処理木材 | △ | 断熱性◎/意匠性高 | 水分で膨張・凍害が起こりやすい |
新築やリフォームで張り替える場合、金属または樹脂系は吸水率が極端に低いため凍害リスクを減らします。
窯業系はコーティングを高耐候フッ素にすることで、長野の冬でも20年級の持ちを実現可能です。
長野市独自の火災保険事情と雪害申請の可否
火災保険は「突発事故」としての雪害(落雪による外壁破損や雪庇圧壊)に適用されますが、凍結・融解を経年で繰り返して生じた凍害は経年劣化と判断され、対象外になるケースが一般的です。
申請ラインを明確にするため、被害発生が突発的であることを示す積雪状況の写真・気象データ・業者見積書をセットで提出すると、認定率が高まります。
雪国サイディングに“攻めのメンテ”を
1. 雪の圧力・凍害・汚染という三重苦を数値と写真で把握する
2. 目地シールを高耐候仕様にし水の入口を塞ぐ
3. 弾性下地+高耐候塗膜でクラック再発を15年以上抑制
4. 金属・樹脂サイディングなら吸水しにくく凍害リスクを減らせる
長野の厳しい冬を迎える前に、外壁の状態をセルフチェックし、必要であれば専門業者による詳細診断を受けましょう。雪害対策は今やるか、数年後に高額修繕かの二択です。
早い段階で手を打てば、家計にも建物価値にも優しい結果が待っています。



