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長野市の屋上・ベランダに最適!シート防水の基礎知識と工事ポイント

高橋春彦

高橋春彦

テーマ:防水工事

突然のゲリラ豪雨で天井にシミが浮かび上がってきた!最近ではそんな雨漏りも少なくありません。
「修理してもすぐ別の所から水が回るんじゃ?」
「予算を掛けても、結局もたないんじゃ?」
雨漏りの不安の裏には、“どの防水工法を選べば一番ムダがないのか分からない” という戸惑いがあります。
そこで注目されるのが塩ビや合成ゴムの大判シートを貼るだけで、均一な厚みと高い耐久性を得られる「シート防水」です。
本記事では基礎知識から工法比較、寿命を延ばすメンテナンス術までを紹介、初めての方でも“自分で判断できる軸”を持てるように解説します。

シート防水の基本構造と3つのキーワード

シート防水は大判ロール状の防水材を現場で敷設・接着し“屋上全体を一枚の傘で覆う”ように水をシャットアウトする工法です。理解のポイントは「素材」「工法」「止水ディテール」の3つ。

素材・塩ビ・合成ゴム・アスファルト

種類 主成分/厚み 伸縮性 耐候性 特徴
--------- --------------- --- --- --------------------
塩ビシート防水 塩化ビニール 1.5-2.0㎜ 紫外線や飛び石に強い/下地追従性は中程度
ゴムシート防水 EPDM系 1.2-2.0㎜ 伸び率300%超で下地ムーブメントに強い
アスファルトシート 改質アスファルト 3-5㎜ 重量級で遮音性が高い/高温軟化に注意


工法・密着か機械固定かで性能が変わる

密着工法は接着剤で下地に貼り付ける方式。
凹凸の少ない新築や健全部位に向き、コストと工期が短いのが強み。
機械固定工法は専用金具でシートを点固定し、風圧やひずみを逃がす方式。
下地が荒れていても直に貼らず済むほか、躯体クラックがあっても膨れない安心感があります。

止水ディテール・端部と継ぎ目が命

シート同士の重ね巾は標準で100㎜。
熱風溶着や専用テープで強固に一体化させます。
さらに立ち上がり端部をアルミアングルとシーリングで押さえ、防水層の「ほつれ」を未然に封じる設計が必須です。

シート防水を選ぶ5つのメリット

■広い面を一気に仕上げ、工期を短縮
■工場成形のため品質が均一。
■30㎡の陸屋根なら3日~で敷設が完了し、雨仕舞いの“空白期間”をほとんど生みません。
■施工コストを抑えやすい
材料ロスが少なく、接着剤だけで仕上がる密着工法なら平米あたり4,000〜6,000円が相場。
ウレタンやFRPより人件費が低く、管理組合の大規模修繕でも選ばれる理由です。

下地を選ばず改修しやすい

古いアスファルトやモルタル下地の上からでも直貼り可能。
産業廃棄物が大幅に減り、廃材処分費と騒音トラブルを最小化できます。

美観と耐久性を両立

塩ビシートは表面に可塑剤と紫外線吸収剤を配合し、10年以上チョーキング(白化)しにくい設計。
明るいグレー色は輻射熱を抑え、夏の屋上温度を最大15℃下げた実測データもあります。

メンテナンスが容易

トップコート不要で、年1回の点検と清掃のみ。
破れはパッチ貼りなどで復旧でき、施設稼働を止めません。

シート防水のデメリットと対策

一点破損が漏水源になりやすい

ゴムボールや工具落下で穴が開くと、そのまま水路に。
定期点検+パッチ当てキット常備が再発防止策になります。

複雑形状・段差納まりは職人技次第

配管が林立する機械室では、シートを立体裁断し熱溶着する高度技術が必須。
複雑部はウレタン併用のハイブリッド工法を選ぶケースも増えています。

経年収縮による張力亀裂

可塑剤が抜ける20年超で収縮が起こり、端部に引張り応力が集中。
機械固定+伸び代スリットを設けるか、15年目で増張り改修を計画しておくと安心です.

寿命を伸ばすメンテナンス計画

1. 年1回の高圧洗浄とドレン清掃で堆積ゴミをゼロに
2. 5年目・10年目に専門業者の打診検査と赤外線カメラ調査を実施
3. ピンホールやつなぎ目浮きが見つかったらパッチ貼りで即日補修
4. 15年を目安に重ね張り(カバー)か全面貼り替えを検討
適切に維持すれば塩ビシートは耐用20〜25年、ゴムシートは15〜20年が期待できます。

費用シミュレーション:30㎡バルコニー改修

項目 密着塩ビシート 機械固定塩ビシート
下地洗浄・不陸調整 30,000円 30,000円
プライマー・接着剤 18,000円
塩ビシート本体・敷設 120,000円 135,000円
機械固定用ディスク・鋼板 20,000円
シーリング・端部金物 25,000円 25,000円
仮設足場(必要時) 90,000円 90,000円
**合計(税抜)** **283,000円** **300,000円**


ポイント

機械固定は初期費+2万円程度で膨れリスクを抑制。
足場は2階以上で必須。戸建てでも費用の15〜30%を占めるため、外壁塗装と同時施工がコスパ◎。

シート防水を成功させる施工チェックリスト

1.資格者在籍:シート防水1級技能士の人数を確認
2.熱風溶着の温度管理:現場で300-400℃を測定し記録するか
3.端部押え金物の材質:アルミ or ステンレスで電食対策済みか
4.保証書:材料メーカー+施工店のW保証10年が出るか

シート防水は「早くて強い」けれど、点検を怠らないこ


工場成形ゆえ品質が均一、広い屋根を短工期でカバー
塩ビは耐候、ゴムは伸縮、アスファルトは遮音と目的別に選定
端部と継ぎ目さえ守れば、20年以上の耐久が現実的
年1回の清掃や軽微補修で全体漏水のリスクを封じ込める

屋上やバルコニーの防水を検討する際は、「ウレタンがいいのかシートがいいのか」で迷うより先に
“下地の状態と将来のメンテ計画”を洗い出すことが第一歩。
シート防水は早く・安く・美しくを実現できる有力候補です。

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高橋春彦
専門家

高橋春彦

しろくまペイント(株式会社 霜鳥 塗装事業部)

塗る場所の状態や材質によって正しい塗料を選ばないと、後々問題が起きてしまいます。限られた予算の中で最も良い選択をするには、あらゆる塗料の性能や性質を知り尽くしているプロの目が必要不可欠なのです。

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