帯川大輔プロのご紹介
手書きの型紙で仕立てるオーダースーツで、自分らしい一着を(2/3)
プロの仕立屋として妥協を許さず、顧客の魅力を引き出す一着を目指す
「紳士服業界には“納品上手”という言葉があるんです」と語る帯川さん。例えば、出来上がったスーツが少し小さめだった場合は「今は細身が主流です」、大きめなら「体格が大きくなっても大丈夫です」と言って、顧客の納得感を引き出す手法だとか。
「当店は、お客さまに似合うものしか完成品とは見なさないので、僕が『もう少しここを絞りましょう』とストップをかけて、修正を施すこともあります」
妥協を許さず、丁寧に仕上げる姿勢は目の肥えた愛好家の間でも評判となり、帯川さんの元には、数々のオファーが舞い込みます。スタンダードだけでなく、スタイリッシュにきめるスリムシルエットや、モードな雰囲気のオーバーサイズもあり、培ったノウハウで要望に応えています。
一方で「伝統に支えられた仕立屋の一人として、お客さまの言いなりにはならない」という厳しい矜持も。色や柄、サイジングが着用シーンから大きく外れるものや、顧客の魅力を引き出せていないと感じたときは、忌憚(きたん)ない意見を述べるそうです。
「お客さまの言った通りのものを作るのは簡単です。ですが『このスーツを着ることでお客さまは幸せになれるのか?』までを考え、責任を持ちたいですね。それに当店で服装マナーや服選びのヒントを持ち帰ってもらえれば、いずれはお客さまの人生でお役に立つはずです」
服飾に携わるプロとしての誇りを胸に、衣服が相手に与える印象などを伝える“服育(ふくいく)”にも意欲を見せます。
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