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第三者視点のホームインスペクションで住環境の状態確認と不具合の早期発見に取り組む

中立的な立場で住宅診断を行うホームインスペクションのプロ

町田雄飛

町田雄飛 まちだゆうひ

#chapter1

設計や現場監督、瑕疵保険法人で培った経験を住宅診断に生かす

 住宅のプロが第三者の立場で家屋の状態を調べるホームインスペクション。マイホーム購入前に劣化状況や不具合の有無を把握する手段として、近年注目が高まっています。

 長野県松本市の「松本インスペクション」代表・町田雄飛さんは、ホームインスペクターとして住宅診断を実施。20年以上にわたり住まいと向き合ってきた経験を生かし、住環境の状態確認や不具合の早期発見に取り組んでいます。

 「多くの人にとって住宅は大きな買い物です。購入後に想定外の不具合が見つかれば、金銭面だけでなく精神的な負担にもつながります。インスペクションによって事前に状態を把握することで、納得感を持って住まいを選んでいただければと思います」

 町田さんは地元建築会社で設計や現場監督を経験。その後、住宅の欠陥補修費用を補償する瑕疵保険法人に勤務し、検査業務のほか、検査員の指導や建築会社向けの施工勉強会の講師も務めてきました。

 「インスペクションは、診断者によって確認内容や視点に差が出る場合があります。当方は20年以上にわたり住まいに関わってきた経験をもとに、小さな不備にも配慮した検査に努めています」

 診断者によって確認内容や視点に差が生じることもある中、施工側と購入側の双方に配慮した説明を心掛け、中立的な立場で住宅診断を行う町田さん。また、設計や不動産事業との兼業ではなく、インスペクション専業として活動。特定の企業や組織に属さない立場を生かし、公平性に配慮した調査に取り組んでいます。

#chapter2

国内外の購入希望者や売り主から依頼を受ける中古住宅のインスペクション

 町田さんは、建築会社や瑕疵保険法人で培った経験や知識を、より多くの人に役立てたいと考え、2023年に松本インスペクションを立ち上げました。

 「形に残る建築の仕事に魅力を感じ、この業界に足を踏み入れました。瑕疵保険の調査業務にもやりがいを感じていましたが、住宅の購入者さまと直接向き合える仕事に携わりたいと考え、独立を決めました」

 町田さんへの依頼の中でもニーズが高いのが、中古住宅のインスペクションです。
 「築年数を重ねた住宅では、必ず何らかの経年劣化がみられます。外壁のひび割れや屋根塗装の剥がれなど、物件の状態を丁寧にお伝えし、購入時の判断材料として役立てていただいています」

 空き家の有効活用を促進するため、診断費用を補助する制度を設ける自治体もあり、活用する購入者は年々増加傾向にあります。また、信州への移住を希望する県外在住者からの問い合わせも多く、軽井沢や安曇野などの別荘地では、米国やドイツ、豪州といった海外から診断依頼が寄せられることも少なくありません。

 「中古物件を所有する売り主さまからの依頼も増えています。買い手との認識違いを防ぐだけでなく、不動産系のポータルサイトなどで『インスペクション済』と表記されることで、物件の状態を丁寧に開示しているというアピールにもつながります」

 気づきにくい不具合を見つけ、分かりやすく伝えることでやりがいを感じているという町田さん。顧客だけでなく、施工側から感謝の言葉を掛けられることもあるそうです。

 「施工業者と対立するのではなく、家づくりに関わる一員という意識でコミュニケーションを取っています。不備を共有する際も、お互いに状況を確認しながら進めています」

#chapter3

工程ごとの小まめな検査で不具合を発見し、施工側に修正を依頼

 新築の注文住宅の診断は、町田さん、住宅購入者、現場監督など施工側担当者の3者立ち会いのもとで実施。工程ごとに複数回に分けて確認を行うことが多いといいます。

 「通常は、建物の基礎にコンクリートを打つ前に、鉄筋が正しく配置されているかを確認します。その後、柱や梁、ボルトなどの構造検査、防水施工の確認、断熱材の施工状況の確認などを重ね、最後に完了検査を行います。工事が進むと施工箇所は見えなくなるため、施工中のこまめな診断が大切です」

 診断では、ボルトやナットの締め忘れ、筋交い金物の未施工、釘打ちの不備、基礎のひび割れなど、さまざまな不具合が確認されることも。そうした場合は、その場で施工側へ共有し、必要に応じて是正対応を求めています。

 「住宅会社側の社内検査後にご依頼いただくケースもありますが、そのような場合でも新たな不備が見つかることは少なくありませんね」

 建て売り住宅の場合も現地へ同行し、建物の内外を目視で確認。既に購入を決めている顧客も多いため、不具合箇所が見つかった際は、その場で施工側へ共有し、修正対応を求めながら、安心して住み始められる状態づくりにつなげています。

 インスペクションのさらなる普及に向け、質の高い検査を提供できるインスペクター を増やす必要があると話す町田さん。「私自身も後進の指導に携わり、診断技術の向上に貢献したい」と将来を見据えています。

(取材年月:2026年4月)

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ホームインスペクター

松本インスペクション

20年以上にわたり住宅と向き合ってきた経験をもとに、見落とされがちな不具合も細かく確認。特定の企業や組織に属さない立場で、公平性に配慮した住宅診断を行います。

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