顧客目線を貫く引っ越しのプロ高橋誠

顧客目線を貫く引っ越しのプロ

高橋誠

運送業者として「こんなことできない？」といったさまざまな要望に対応

　2021年4月に創業した「赤帽ひなた運送」は、宮崎を拠点に家具一点の運搬から引っ越しまで手がける運送会社。代表の高橋誠さんには、「『こんなことはできないの？』というみなさまの声にできるだけ応えたい」という信条があります。

　「小物は自分たちで運ぶけれども、冷蔵庫や洗濯機といった大型家電だけお願いしたといったご要望も、喜んでお受けします。もちろん、家財道具すべて当社にお任せいただくことも可能です」

　きめ細かいサービスとリーズナブルな価格が評判を呼び、高橋さんのもとには毎月20件以上もの案件が舞い込みます。時には、扱いが難しいガラス戸棚もあるとか。

　「細心の注意を払って無事に搬入したことを評価していただけたのか、後日、その方の息子さん二人から立て続けにお引っ越しのご依頼をいただきました」

　高橋さんは、いわく引っ越しは人生の転機。「進学や就職で地元を離れたり、マイホームを建てて居を移したり、老後を見すえて住み替えるなど、ご本人やご家族にとって大事なイベントなので、お客さまの気持ちに寄り添いたいですね。『こういう人に担当してほしい』と思ってもらうにはどうしたらよいか、日々考えています」と力強く語ります。

　日頃から大切にしているのは、常に身だしなみを整え清潔にしておくこと、一つ一つの電話やメールに自分の言葉で丁寧に対応すること、何にどれだけの費用が発生するのかを明確にして伝えることです。「実に当たり前のことですが、その当たり前をおざなりにしてはいけません」と表情を引き締めます。

運送業を営む父と母の背中から学んだことを胸に独立

　相手を思いやることを忘れず、常に実直でありたいと願う高橋さん。仕事に対するこうした考え方は、両親が営む「赤帽一心運送」で下積みをする中で培われたものだと話します。

　学生時代から、春休みや夏休みといった休暇中に実家を手伝い業務にも親しんでいましたが、大学卒業後は宮崎県内の企業に就職します。「5年間、肉体労働とは無縁の世界に身を置くことになりますが、ある日、久しぶりに力仕事をする機会があり、それが非常に心地よかったことを覚えています。多分、自分の体を動かして人に喜んでもらうことが性に合っているというか、好きなんでしょうね」

　その後、別の会社に転職しますが、最終的に選んだのは家業です。高橋さんは、主に引っ越しの作業員をしながら、両親の経営姿勢を間近で学ぶことになります。12年間にわたり経験を積んだ高橋さんは、意を決して独立を果たします。

　「両親と一緒に働いていた時は、いつか二人を超えてやるとか、自分だったらこうするのにとか、生意気なことばかり頭の中にありました。いざ独り立ちしてみると、自分で事業を運営する大変さが身に染みましたね。不安や苦労もありましたが、それでも何とか乗り越え、ここまでやってこられたのは、両親の下で修行してきたからに他なりません。多くのお客さまにご用命いただき、『ありがとう』『助かったよ』と言ってもらえるのは、父や母から教わってきたことを実践しているからです。今では感謝しかありません」

オンラインツールを活用するなど使い勝手のよい存在を目指して

　「私が会社を立ち上げてからは、両親の『赤帽一心運送』はよきライバルであり、頼れる協力業者でもあります。励みになりますし、心強い限りです。二人に習ったことを基礎とし、そこに自分の色を加えて大きく成長していきたいですね」

　開業から順調に実績を挙げてきた高橋さんですが、コロナ禍ゆえの難しさもありました。引っ越し前の見積もりで、顧客の自宅を訪れることが簡単ではなくなっているのです。高橋さんは、何をどれだけ運搬しなければならないかを正確に把握するために、ビデオ通話ができるアプリケーションを活用。

　当日になって顧客自身が把握していなかった荷物が出てくることはあるものの、メールでソファと記載されていた荷物が、ビデオ通話のアプリケーションで座椅子だと分かるなど、適正な価格での引っ越しを提供するために一役買っています。その他、ホームページの問い合わせフォームを組み替えたり、メールで確認すべき事項をリスト化したり、高橋さんは試行錯誤を重ねてきました。

　「お客さまに、ご迷惑やご不便をおかけしないための努力は惜しみません。今後は、業界で通念となっている繁忙期と閑散期の価格差をなくし、みなさまにとって使い勝手のよい存在を目指します」と意気込みます。

　「人任せにして自分の目が届かなくなることは避けたい一方で、より安価に利用していただくためには、規模を拡大しなければなりません。私一人ではできることに限界があることも事実ですから、私と思いを同じくする人と力を合わせてやっていきたいですね」

（取材年月：2022年1月）

人生の転機である引っ越しを丁寧な作業と思いやりの心でサポートする

運送業者として「こんなことできない？」といったさまざまな要望に対応

運送業を営む父と母の背中から学んだことを胸に独立

オンラインツールを活用するなど使い勝手のよい存在を目指して

専門家プロフィール

Other Interview