分析と英語を得意とするビジネス戦略のプロ味水隆廣

分析と英語を得意とするビジネス戦略のプロ

味水隆廣

商品開発や新規事業に役立つ「財務予測モデル分析ツール」を開発

　経営の意思決定に際して、将来見込める売り上げや利益をつかむことは重要です。財務分析と事業戦略を得意とする「漸コンサルティング」代表の味水隆廣さんは、独自の財務予測モデルテンプレートを構築。2022年5月中旬から、中小企業や個人事業主、ビジネスパーソン向けに学習用Excelツールとしてオンラインで販売しています。

　財務予測モデルは、ネット上で商品・サービスの取引を行うeコマース(電子商取引)を想定。ネット販売用の商品開発を前提とした「Eコマースベーシック財務予測モデル」、同一カテゴリーで複数商品の新規事業を仮定した「Eコマースシングル財務予測モデル」、異なるカテゴリーを含む複合的な事業を分析する「Eコマースマルチ財務予測モデル」など大きく3種あり、汎用性もあります。自分で数値を入力すると、売り上げや利益、資本構成などをシミュレーション。損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書の自動作成や、グラフ・チャートの出力も可能です。

　特徴は、推定される需要と供給に基づいた分析ができる点。市場ニーズから予測を導くトップダウン分析、供給量の上限から見積もるボトムアップ分析、両方を合わせた統合分析などがあり、需要と供給の関係性によって分析の優先度を変えて使用します。

　「数値計算と経営判断を融合させ、お客さまのビジネス価値を高めます。“財務分析に費用をかけられない”“機密情報を外部委託先と共有するのは不安”などの声に応え、導入しやすい価格に抑えました。事業の立ち上げや起業、補助金申請などに役立ててほしいですね」

　英語表記のツールを使いながら財務分析法が学べるため、ビジネス数字に不慣れな初心者や海外展開を考える人のスキルアップにも。個別に使い方をガイドする、オプションのメールサポートもあります。

仙台・石巻エリアで展開する、経営戦略コンサルティングも

　味水さんは、経営戦略コンサルティングサービスも用意しています。起業にあたり、アメリカの戦略コンサルタント養成会社「FIRMSconsulting」で学び直し、専門知識を身につけました。

　「世界的ファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーの元パートナー（役員）の指導の下に、ビジネス戦略の手法を固めました。オリジナルの財務予測モデルも組み合わせながら、オーダーメードで進めます」

　コンサルティングは、仙台市や石巻市に拠点を置く事業者が対象。ビジネスコーチングも提供し、個人からの相談にも応じます。「お客さまとのコミュニケーションを大切に、込み入った課題を効率よく解決に導くことをモットーにしています」

　味水さんのコンサルティング論は、会員として所属する「FIRMSconsulting」で高く評価され、同社が2022年4月に出版した洋書『NINE LEADERS IN ACTION』では、執筆者9人のうちの1人に選ばれています。

　共著の中で、主題であるリーダーシップに関する自身の考えとともに、コンサルティングのケーススタディーを展開。果物販売・卸売り・観光農園の予約をECサイトで行うという複合的な事業を例に、財務予測モデルをまとめたことが、テンプレート販売のきっかけになったそう。「財務予測モデルの作成ノウハウを公開していいのかという声もありましたが、出し惜しみせず製品化につなげ、国際ビジネスでの競争力向上に貢献したいと考えました」

補助金申請やECサイト構築など多様なプロジェクト経験が強み

　20代をオーストラリアで過ごし、クイーンズランド工科大学を卒業した味水さん。帰国後、東北で農産物の生産・加工業や観光業を行う企業に入社し、さまざまなプロジェクトに携わった経験が、今につながっています。

　中でも実務を多く手掛けたのが、商品開発と新規事業に伴う国・県の補助金申請です。「申請に必須の事業計画書では、単に必要経費をまとめるだけでは不十分です。根拠となる数値と仮定値を基に売り上げや利益を見通し、説得力のあるストーリーを組み立てます。担当した案件はいずれも採択されました」

　ほかに、立ち上げから数年で月最大1万5000人までユニークユーザー数を増やしたECサイトの構築・運用や、漢方薬の原料となる生薬の試験栽培、環境制御システムの管理サポート、新人社員研修など、経験業務は多岐にわたります。味水さんの働きぶりを知る勤務先の社長から「コンサルタントに向いている」と言われたことを機に、自社の経営企画などに関わるように。財務分析など専門知識を深め、2021年に「漸コンサルティング」を設立しました。

　「もともと聞く力と洞察力には自信があります。コンサルタントとして大事にしているのは、現場の課題を自分事に捉える共感力と、誰かの助けになりたいという思いです」。社名の「漸」は、順序立てて悟りを開くことを意味する仏教用語の「漸悟（ぜんご）」から付けたとか。
　「一つ一つ学びを積み重ね、サービスの付加価値を高めてきました。全力でビジネス発展のお手伝いをします」と熱意を語ります。

（取材年月：2022年4月）

財務戦略からビジネスの未来を予測し、より良い経営判断を

商品開発や新規事業に役立つ「財務予測モデル分析ツール」を開発

仙台・石巻エリアで展開する、経営戦略コンサルティングも

補助金申請やECサイト構築など多様なプロジェクト経験が強み

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