住宅購入の不安解決にはライフプランニング相談が欠かせない訳
生命保険に入っている人、入っていない人、対応は様々です。
でも、どちらの方々にも、そもそも入るべきか?実はいらないのでは?そんな不要論とでも言うべき疑問を持つ方は少なくないかもしれません。
生命保険に入っていない人はともかくとして、入っていながらも実のところ、
「毎月の保険料が高い」
「なんだかもったいない気がする」
そんな相談を夫婦で交わす事もあるのでは?
入るべきかどうかを考えて決めたはずなのに、時間が経過すると不要な支出にも思えてくる。
そもそも生命保険って払うばかりで使った経験は全く無しとなれば、いらないような気がするのも無理はありません。
「生命保険なんて掛けても無駄」
「余計なお金を掛けてまでいらない」
外部からのそんな不要論が耳に入れば尚更です。
それでは本当に生命保険の掛け金はもったいないだけのいらないものなのでしょうか?
それとも反対に、要不要を論じるまでも無く、入るべきかを迷うまでもなく、備えるメリットのあるものなのか?
生命保険ってわかりやすく解説されているはずのパンフレットを見てすら”ちんぷんかんぷん”。
かと言ってショッピングモールの生命保険ショップに相談してしつこくされてもイヤだし。
今回は1級ファイナンシャル・プランニング技能士の私が、よくあるそんな生命保険相談への答えをわかりやすく解説したいと思います。
◯ 生命保険不要論が起きる理由
私のコラム記事は住宅購入に関連したテーマを多く取り上げていますが、何しろ私もファイナンシャルプランを専門としている身。
当然ながら生命保険に関するご相談を承る機会も数多くございます。
そうしたご相談対応の場面で特に注意を払うのは、入るべきだとの結論有りきの話では無く、如何にわかりやすく、且つ生命保険の本質的な役割を解説するかにあります。
そもそも生命保険って多くの方にとってその役割や、仕組み、種類についての基礎知識を備えている方は極々マレ。
だからこそそうしたご相談には、努めてわかりやすく応じる必要が求められるのですが、皆が皆、充分な相談の機会を経て生命保険の要不要を判断している訳ではないはずです。
何かの繋がりで生命保険会社の保険屋さんから話を聞く機会が有り、勧められるままに、親からも「何か保険の一つくらい入るべき!」等と言われ、本当に入るべきかも充分に理解しないまま「何も入っていないよりは…」と加入したっきり‥‥
こんな経緯、皆さんは如何ですか?
こうなると、そもそもよくわからない生命保険です。
入ってからの時間が経過する毎に記憶も薄れく、その後の相談フォローの機会もない、かと言ってその保険を使う機会もない。
日々目にする訳でもない自らの生命保険。
ふと思い出した時に、
「何のためだっけ?いらないんじゃない」
「何だか毎月の掛け金もったいないのでは?」
”負担は負うが、使う機会が稀である生命保険に本当に入るべきか?”
「負担」は日々実感。
「効果」は未体験。
不要論が起きる背景はこの様な生命保険特有の性質があるのではないでしょうか。
要するに生命保険の加入に対する不要論は、負担と効果を比較した時の効果に勝る負担部分の実感を背景としているとも言えるでしょう
また、「掛け金はどうせ保険金で回収できないからもったいない。いらない。」
と言う考え方も同様です。
確かに年齢が30代付近までの方々にはわかりやすく響きそうな理屈です。
何しろ、まだ健康的にも概ね良好である方が多数派なのですから。
◯ 入るべきかの議論はメリットを知らねば
反対に生命保険に入るべきか否かの肯定的要素にもスポットを当てなければ冷静な議論は成り立ちません。
でも「生命保険はいらない!」と、きっぱり不要とまでは断定せず保険加入をし続けている方であっても、入るべき理由を明確に認識している方はどれ程でしょうか?
「何となく入っていた方が安心」
こんなスタンスだったりしませんか?
しっかりと生命保険を備えるメリットを知らねば、ふと「いらないかも?」と魔が差した瞬間に不要な保険料支払いの節約目的で解約手続きを進めてしまったり、そもそもメリットの理解不足という事は適正な備えか?何に役立つのか?保険の意義についても把握も充分とは言い切れないのかもしれません。
それでは生命保険を備えるメリットとは一体何なのでしょうか?
この話の前に生命保険について定義を確認しておきたいと思います。
通常保険は以下の三種に分類されます。
・第一分野:人の生死に対する保険
・第二分野:偶発的事故に関しての保険
・第三分野:医療保険、がん保険など
厳密に言えば生命保険とは第一分野、つまりは万が一の事態に対応するものをさしますが、一般的に殆どの生命保険会社は第一分野、第三分野双方を保険商品として取り扱い、皆さんも両者をまとめて生命保険として認識されている方が大勢でしょう。
そこで、ここからは第一分野、第三分野双方を注釈ない場合は「生命保険」として話をすすめます。
それではこの生命保険。
活躍するのはどんな時でしょうか?
万が一の事態、病気やケガで入院、がんになってしまった時、
予見不能な事態、いわゆる「リスク」が我が身や家族に降りかかった場面が頭に浮かんだのではないでしょうか?
それではそうしたリスクから、生命保険はどのようなメカニズムで皆さんを守るかを考えてみましょう。
まず、生命保険に入っていればリスクを回避する効果はあるでしょうか?
残念ながら、こうした機能(リスクコントロールとも言います)は生命保険には備わっていません。
入っていない、いるに関わらずリスクが起きる可能性は何も変わりはしませんね。
当たり前ですが保険に入るべきメリットはそこにはありません。
それではメリットはどこに有るのか?
その理解にはリスク発生の場面を考えてみるのがわかりやすいでしょう。
ここで言うリスクとは予見不能な不確実、且つ危機を及ぼす事態を差します。
また不確実とは、それが起きる「可能性」「時期」の両者を含みます。
そして、起きたリスクへの対処に要したコスト。
このコストが生命保険の要不要議論で重点を置くべきポイントです。
仮にこの対処コストの想定額が1000万円のケースで例えてみましょう。
まずは、もしもリスク発生時に1000万円の準備が無いならばどうなりますか?
この場合は危機への対処は出来ません。
準備不足分の被害、損害を被る事となってしまいます。
「自分は大丈夫!心配いらない」
と自らは思い込んでも、一定の確率でその可能性が見込まれるならば、それはただ無防備な状態です。
また、今は1000万円は準備出来ないけれど、20年後なら準備OKというケース。
この場合、20年後以降はリスク対処の目処が付いているので安心ですが、その間はどうでしょうか?
これもまた無防備な状態であるといえます。
この様に「時期は不明」では有るが「発生の可能性」「対処に掛かるコスト」
両者が無視出来ないレベルに懸念されるリスクに対して
「対処費用」を「勃発した時期」
に資金調達する為の手段。
これが保険の機能であり備えるメリット!
わかりやすく言い換えれば、「何時か分からない」が「こんな事」が起きたら「お金が準備出来ない」という不安に対し、保険を備える事で予めそのリスクに応じられる資金調達の目処が付けられると言う事です。
別な言い方をすると、想定するリスクの起きる可能性が「極めて低い」」、コストが「保有資金で対応可能」で有るならば、それを対象とした保険に入るべきかには議論の余地があります。
それならばわざわざ備えはいらないとの考え方も成り立ち、全てが全てのリスクに保険で備える事がメリットとは言えない点には注意が必要です。
◯ どんな生命保険に入るべきか?
よく生命保険に関する相談を承ると、
「この保険やめたらもったいないですよね?」
「なんだかこれいらない様な気がしてたんです」
といった意見を投げ掛けられる事があります。
その答えを出すには、その生命保険が、どの様な機能を持ち、どの様なリスクに対応できるかの整理が先決です。
先程の生命保険のメリットを更にわかりやすく理解する為に、多くの方が懸念するリスクに合わせて、どんな生命保険に入るべきかを考えてみましょう。
● 万が一の備え
もし、お父さんのお給料で生計を立てているご家庭でお父さんに万が一の事態が起きてしまったら‥‥
残されたご家族は深い悲しみは言うまでもありません。
それだけでは無く、その後の生計をどの様にして営んでいくかが大きな問題としてのし掛かります。
残された家族の収入の問題です。
生命保険に入るべきだと認識する方々の最大の理由はここにあるはずです。
これは全くその通りで、先に説明した第一分野の生命保険が正にその役割を果たします。
具体的には、残された家族の生活の糧として、お父さんのお給料に代わる生活資金としての役割が生命保険に求められる機能、と理解するとわかりやすいかもしれません。
但し、生命保険に入っていれば何でもかんでも安心という訳では有りません。
掛け金がもったいないから安く抑えようと不十分な保障額では、その役割を充分担えない不安も抱えますし、お父さんのお給料の代わりになるという事であれば、入るべき期間もそれに合わせなければなりません。
反対に過剰なまでの備えとなれば不要な支出がかさんでしまい、それこそもったいない話です。
また、皆さん自身で備える生命保険以外にも、公的年金の「遺族給付金」が万が一の事態が起きてしまった際、遺族の生計を支える社会保障の制度として備わっております。
これらを加味しながら適切な加入期間と保障額の答えを出し、どの様な内容の生命保険に入るべきかの検討をするのがベストでしょう。
● 病気・ケガの備え
万が一には至らずとも病気・ケガへの備えの機能として医療保険やがん保険は皆さんご存知のところと思います。
病気・ケガを被った際の医療費をこれら保険でカバーする事が主たる役割といえるでしょう。
医療費については健康保険制度から自己負担額の目安はある程度の見当はつけられます
これと釣り合いが取れる保障額を備えれば、手持ちの預貯金を切り崩す心配からも解放されるという事です。
特に老後の事を考えた場合に、この意味合いの重要性が増します。
老後の生活資金は老齢年金の給付と退職金や現役期に蓄えた資産の切り崩しが糧となる方が大勢でしょう。
特に蓄えた資産は時間の経過と共に徐々に目減りしますが、それに反比例して健康上のリスクは増加します。
つまり年齢が増すごとに、蓄えに手を付ける事なく医療費が用立てられる医療保険の大きなメリットがこの点にあります。
先程の万が一の備えと同様に、社会保障でカバーされる範囲と釣り合いの取れる、適切な加入期間と保障額を満たした保険に入るべきであると言えるでしょう。
◯ 入っていない場合はどうする?
さて、ここまで生命保険に入るべきか否かの是非について、不要であるとの立ち位置からのいらない理由や入るべきとする観点から備えるメリットを整理して参りました。
生命保険の役割が理解できると
「もったいないから掛け金を節約」
「何となく入っていた方が安心」
「何でもいいから入っておこう」
ついつい交わされがちなこんなワードで決着してしまうのでは無く、要るいらないを真剣に検討すべきテーマである事がご認識頂けたのではないでしょうか。
さて、最後に取り上げたいのが、入るべき事は認識しながらも今現在のところ全く、もしくは充分に適切な生命保険に入っていない場合どうするかについてのお話です。
と言うのも生命保険必要性は理解しながらも次の様な考え方もあるからです。
「若い内は大きな病気もしないだろうし、保険料がもったいないから当面はいらない」
健康に自信のある時期には不要だから、ある程度年齢を重ねてから入れば良い、もしくは取り敢えず安い保険で良いのでは?というロジックです。
確かに合理的考えにも聞こえます。
しかしながら、これには次の二点で注意が必要です。
第一に、一般的に生命保険はその加入に当たって健康状態の告知が求められます。
入るべきかを躊躇していた若い時点での健康状態が良好であったとしても、その後時間が経過する間に保険加入に差し障る何らかの健康上の理由が生じた場合、将来に向けた充分な保障を備える事が困難になる可能性の考慮も必要です。
第二に、多くの生命保険は加入時の年齢によって保険料が定まります。
勿論若くしての加入となれば保険料は負担額は低く抑えられるものの、その分負担する期間は長期間になる可能性もあり、前述の様に健康面に不安が少ない当面の期間分がもったいないからいらないという理屈ですが、年齢が増してからの加入はそもそもの額が大きくなる為、加入年齢によって負担感はグッと重く感じる事もあるでしょう。
その負担感がきっかけで今度は新たに要不要の議論が始まってしまうかもしれません。
以上の様に今現在充分な必要保障を備えていない場合の生命保険に入るべきタイミングは、これらの事情も含めながらご夫婦で相談してみてはいかがでしょうか。
果たして生命保険は不要なのか?備えるメリットは何なのか?その機能について理解して頂きましたか。
生命保険の備える対象はリスクです。
しかしながらリスクは姿が見えない事から、とかく感覚的に捉えられがち。
その様に姿の見えない対象だからこそ感覚任せで要不要を論じるのではなく、冷静な分析と入るべき保険の判断を下したいですね。
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