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土地選びの決め手は?新築土地購入で失敗しない為の注意点はココ!

2022年6月12日

テーマ:土地探し

コラムカテゴリ:住宅・建物

新築一戸建てのマイホームに憧れ購入を決意しても土地の準備が無ければ、住まいだけでなく土地購入も併せて考えていかねばならず、希望する物件の土地探しに苦労している方もいるでしょう。
でも、候補になる土地情報を発見して終わりではありません。
自らの新築計画に相応しい土地か否かを見極めねばなりませんね。
新築建売住宅の様に土地建物がセットになっていれば、現物が見たままの状態ですので土地選びの見極めも容易ですが、新築注文住宅での家づくりとなればそうはいきません。
建売住宅と違い、単体での土地購入はまだ建物の建たない更地状態での土地選びとなるからです。
どこを見れば良いのか、建物が建築されればどの様な状態になるのか想像も出来ない中、土地選びの決め手が分からず迷ってしまう方が多いのではないでしょうか。
注意すべきポイントも分からず決め手を欠いたまま金額とエリアだけで土地選びを済ませてしまい、土地購入後に、
「この土地じゃ狭すぎて希望の間取りで新築できない」
「日当たりが良くない土地で後悔している」
こんな失敗は避けたいものです。
それでは土地選びの見極め方はどうすれば良いのか?何を決め手として判断すれば良いのか?
新築に向けた土地購入で失敗しない為の注意点を見ていきましょう。


●土地選びの手順と注意点は何?


土地購入に失敗は許されません。
気軽に交換や買い替えなどはできないからです。
だからこそ土地選びをする際の手順や注意点が分からないまま手探りで進めるのは不安が付きまといます。
土地のどこを見るのか?どの様に判断すべきか?の決め手となる知識を備えて土地購入に臨みたいものです。
まずはその流れを整理してみましょう。

 

土地の条件を整理しよう

新築に向けた土地購入を意識しだすと、多くの方が最初に着手するのがネットでの土地探しではないでしょうか。
どこでも気軽に土地探しが出来るのがネット探索のメリットです。
そんな中で目を引く土地情報を発見した時、もしくは現地の案内を受けた時、どこに注目しますか?
「金額」「場所」「面積」「南道路かどうか?」
え〜と・・後はなんだろう?「日当たり」かな?
自ら土地選びの注意点を見つけ出し見極めるとなると中々難しく思えるのではないでしょうか。
勿論金額や土地の場所は欠かせない情報ですが、残念ながらこの情報だけで決め手とするには材料が不足しており、そうした判断のみでは失敗につながるのではないかと不安になってしまいます。
何が不足しているのでしょうか?
一口で言うならば「この土地がどんな土地か?」に関する情報です。
例えば面積が分かっていても土地の形状次第では使い方が変わってきます。
四角形なのか?台形なのか?三角形なのか?
四角形でも正方形なのか?長方形なのか?各辺の長さは?歪みはないのか?
いくら自由度のある新築注文住宅であっても敷地をはみ出した間取りで建築は出来ません。
はみ出さずともギリギリ一杯では日当たりも心配です。
つまりこれらの条件次第では希望する間取りへの影響も考えられるでしょう。
道路についても、確かに土地の南面に道路が接続していれば日当たりの確保には有利です。
しかしその道路の幅員はどの位でしょうか?
原則4Mの道路幅員があれば住宅建築は可能です。
しかし、日常の車の通行には4Mという幅員はかなりタイトに感じるかもしれません。
これが5M、6Mと広がればこの懸念は解消されますが、更に広がった道路は幹線道路のケースが多く、車庫入れの不便さや、通行量の多さが居住環境を脅かすことも考えられます。
また、日当たりの良い土地を求める気持ちは多くの方に共通してますが、日当たりの良い土地の要件とは何でしょうか?
土地選びの段階では気付かなかったけど新築した住まいに入居してみたら日当たりが想像と違っていた等という失敗談は残念ながらありがちな話です。
そうした失敗に陥らない為には「どんな土地か?」の条件を整理するところから土地選びを始めねばなりません。

  

失敗しない土地選びのポイントは「隣接地」

それでは失敗しない土地選びのポイントは何でしょうか?何を決め手とすれば良いのでしょうか?条件整理とは何を揃えれば良いのでしょうか?
その答えは検討している土地物件の「隣接地」にあるのです・・・。

皆さん土地探しで候補となる土地を見つけ出せば、いくらネット情報で写真が添付されているとはいえ、不動産会社の案内を受けるなどして現地に足を運び、自ら現物を確認をなさるでしょう。
その時、その売地をどの様に見学しますか?
よく見る光景が道路からその売地に向かい土地をまじまじと観察している様子です。
でも、土地選びで見極めなければならないのは、その土地そのものの状態にも劣らず隣接地の状態です。
四方の隣接地がそれぞれどんな使われ方をしているか?どんな建物がどの位置に建っているか?隣地との間に高低差はあるか?
先程例に挙げた道路の状況も含めつぶさに観察する事が欠かせません。
何故ならどの土地も隣接地と影響を分け合っているからであり、ここでの影響というのはマイナスの影響ばかりでは無く、プラスの効果も含めます。
マイナスの影響を受けそうである事を事前に察知出来れば、その影響がどんなものか?どうすれば解決可能か?といったものを見極める余地が生まれます。
こうした短所の発見と対処の可能性だけで無く、例えば隣地に過分に確保されている空間が自らの土地に対してゆとりの効果を生むのであれば、こうしたプラス効果は長所として土地の評価に加える事で適正な見極めに繋がるはずです。
そうした隣地観察の中から土地選びの重要な決め手となるポイントが発見されるものなのです。
反対に物件土地の観察ばかりに集中してしまい、隣接地の状態を見落としてしまっては、その土地の適正な評価を欠くことになってしまい、失敗につながる懸念も拭えなくなってしまうという事になります。

●土地見極めの決め手は間取り図作成

設計
さて、土地選びには土地条件の整理に加え、隣接地の観察が失敗回避に欠かせない要件である事は分かりました。
そうした観察で土地のどの点が長所であり短所と言えるのかが見極められたはずです。
しかしまだこれで終わりではありません。
どうすれば短所を補えるか?どうすれば長所を享受出来るか?の答えを出しておく必要があります。
短所となる要素を少しでも解消する策が見込めるのであれば土地選びの判断にプラス方向に作用しますし、反対に長所を上手に使い切れずメリットが生かせないならばプラスに評価した意味を成しません。
その判断にはどうすれば良いのか?
その決め手となるものが間取り図作成です。

 

決め手が間取り図作成な訳

検討対象の土地物件をどの様に使うのが有効か?どこまで希望を反映出来る余地があるのか?
そこが明確になっていれば、「実はこんな土地だったなんて…」という失敗談は避けられるでしょう。
その決め手になる検討作業がその土地に合わせて間取り図を作成してみることなのです。
何故間取り図作成か?
間取り図を作成するという事は、その土地の状況を充分に把握していなければ立案のしようがないからです。
つまり、前項で掲げた土地選びに必要な手順を欠いては完成度の高い間取り案は望めず、その観察を経て得た情報をまとめたものが間取り図であるとも言えるのです。
しかしながらどの様にして整理すれば良いのかとなると、ちょっと難しさを感じるかもしれません。
土地の観察方法を例を挙げて簡単にシミュレーションしてみましょう。
 
 

土地をどの様に使うべきか? 

土地選び1
検討対象は図の様な土地であったとしましょう。
そして今現場見学の為に面前の道路から土地を眺めているシチュエーションです。
土地の広さは60坪、道路は敷地北面つまり北道路で緩やかに勾配があり、周囲に建物が建っています。
敷地の寸法、隣地との高低差も把握し土地の基礎情報は整理出来ている状態です。
次に何を考えるか?
把握した情報を元に、この土地をどの様に活用するのが最適かをまとめるのです。
この場合のコツは必須要件から優先的に条件設定していく事。
必須要件とは他に選択肢が無い、もしくは合理的に考えられないものを指します。
この土地の最優先の必須要件としてどんなものが見えますか?
答えはカーポートの位置です。
どういう事かを下の図で説明しましょう。
土地選び 見極め
色分けしたA~D4つのゾーンの内カーポートの位置はどこが相応しいでしょうか?
まずAとBは道路と接して無いので除外されますね。
次にCとDですがどちらも道路に接しています。
この場合どちらが優位な状況にあるでしょうか?それともC、DどちらでもOKでしょうか?
答えはDのゾーンが最適です。
ヒントは道路の勾配にあります。
CとDを比較した場合、Dの方が道路と宅地の地盤面の高低差が緩やかな事が読み取れますね。
この場合、Cにカーポートスペースを配置してしまえば余分な土留め工事の費用が発生すると共に、駐車位置から宅地面までの間に高低差がある事から玄関までの間に階段を経なければならず不便です。
これに対しDはこれらの懸念は全く無く、何か特別な要件が加わらない限りDの方が圧倒的に合理的位置と言えるでしょう。
次に効用の重要度が高く土地との位置関係を重視すべきものとして考えるべきはリビングの位置です。
これは建物南面に配置し、日当たりの確保が必須課題となるのでA、Bのゾーンが合理的であると考えられます。
この様な手順で敷地に対しての必須要件の高いものを順次位置どりしていくのです。

 

建築法規

さて、敷地の最適な活用の方向性が見えてきたら次に考えるのは具体的な間取りを考えます。
それには各部の寸法を伴わせる必要があります。
隣地との間にどの位の空間を取るか?リビング前にはどの位の庭を確保すれば日当たりが確保出来るか?
といった実数値を念頭に置かねばなりません。
但し、現況のみで判断しきれないケースもあるはずです。
例えば隣地が空き地であった場合や隣地建物が老朽化していた場合、新築や建て替えが成された場合に現況とは環境が変化してしまう事も起こり得ます。
しかしながら、そうした場合、隣地建物がどの様な状態で建築されるかに関し関与する事は出来ません。
とは言うものの果たして平屋建てになるのか?3階建てなのか?2階建でも接近するのか離れて建つのか?で受ける影響が変わってくるでしょう。
こうした不安に対する決め手となるのが建築法規です。
多くの方が土地購入の候補に挙げるであろう都市周辺部は概ね「用途地域」と呼ばれるものに該当している場合が多数です。
この用途地域とは予め都市計画区域の中に指定された区域であり、各地域の望ましい土地利用用途による分類で住居系、商業系、工業系の計13地域に区分し、各地域内の建築法規を規制する事でお互いの権益を守り、周辺を同様の目的を持った用途の地域とする事で利害の衝突を最小に抑える目的で設定されます。
主な規制要件としては「建物の種類」「建ぺい率・容積率」「高さ制限」「斜線制限」「日影規制」「壁面後退」といったものがあり、この条件を超えた建築物は許可されません。
一般的に規制内容は住居系の地域は厳しく商業系は緩やかとなっており、自らが建築する場合は厳しい方が制約を受けますが隣地に建つ建物も同様である事から、規制範囲内の建物を想定しておけばそれ以上のものは建たず、反対に規制が緩やかになればその想定はしづらいものとなるでしょう。
こうした建築法規を手掛かりに隣地建物の影響を読み取り、且つ法規に則った上で自らの建物の敷地に対する想定ラインを引きます。
土地選び 間取り準備
後はこのラインの中で希望を反映した間取り図がどこまで実現可能かを作図してみれば、その土地が自らの土地選びに相応しいものであるか否かの見極めが具体的に出来るはずですし、土地購入後に見込違いからの失敗談の回避にもつながるでしょう。

●土地選びの決め手が分かればこんな効果も

新築に向けた土地購入の見極め方の注意点について話してきましたが、そもそも土地探しで良い候補物件が見つからずに苦労している方も多いのではないでしょうか。
そうした皆さんにも今回の土地選びの手順は一役買う事もあるはずです。
多くの方が土地探しの第一条件にエリアの選定を挙げられている事でしょう。
近隣環境や利便性、通勤通学環境を考慮しての事だと思います。
しかしながら、そのエリアでタイムリーに売地の情報が見つからなければ土地探しを進める事は叶いませんし時には焦りも感じてしまうものです。
そうした中、目に留まる物件情報が登場した時にどうするか?
エリア内で金額さえ合えば即土地購入とはいきません。
正に今回のお話通りに、その土地を選んで良いのかどうかを見極めねばなりませんね。
その結果「日当たりが悪そう」「希望の間取りが無理」と失敗につながりそうな要素を見極めたならば、再度次の物件登場を待つより他にありません。
土地選びの決め手はエリアの要件だけでは無く、土地そのものの条件を見極める必要があるという事です。
それならば反対に土地探しの探索エリアにそれまで触れていなかったエリアを含めてみたらどうでしょう?
その結果エリアの希望は少々譲りながらも住まいの環境が素晴らしい土地を発見できたなら。
住む場所は想定とは変わったものの、この土地ならではの環境を活かした想像していなかった様な素敵な暮らしが実現できるなら、新たな土地探しの選択肢を得る事につながったと言えるのではないでしょうか。
そうした土地選びに、今回ご紹介した手順が試して頂けるはずです。

この記事を書いたプロ

栗山琢磨

満足が続く家づくりと家計設計相談のプロ

栗山琢磨(パートナーズライフプランニング)

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