今後の日本経済の見通しは、曇りです。(4)
経済アナリストの森永卓郎さんの講演を聞きに行き、そこでの要点や感じたこと、私の考えを記載します。
昨年までの経済状況は最低!
2012年の11月までまでの景気動向指数は8か月連続で下落して、東日本大震災の直後の状況まで落ち込んだ。この原因は、急激な円高のために日本経済は機能マヒしていた。
今年に入り、経済が回復してきた。
今年に入り、一気に戻った。
・為替が1ドル79円から1ドル99円へ、
・日経平均株価が8600円から14500円へ、
・工業生産指数が8ヶ月連続で上がっている、
・失業率が3%台に、
・企業倒産件数がバブル期以来の低さ
急激な変化の原因は、金融政策
アベノミクスの1本目の矢の「大胆な金融緩和」により為替が正常な値(1ドル110円~120円)に近づき、景気が回復している。
そもそも、なぜ、為替が急激な円高になったかというと、5年前のリーマンショック後、各国が通貨を大量に発行したから。どれくらい通貨を発行したかというと現時点で、
・アメリカ 3倍
・欧州 2倍
・イギリス 5倍
さて、我が日本は1倍(去年11月)、つまり、まったく通貨を増やさなかった。その結果、通貨の需給関係が崩れて、円が急激に上がった。
金融政策の失敗で、一番割を食った日本
先進国の中で一番リーマンショックの被害が少なかったのは日本でした。(当時のCDO保有率:アメリカ70%、欧州25%、日本4%)しかし、日本だけが通貨量を増やさずに、日本だけが通貨高になり、日本経済が一番被害を受けました。
円高のために、家電メーカー、自動車メーカーすべて、数千億単位で空前の大赤字になった。「今、日本でどんな製品を作っても、輸出したらぜんぶ赤字だ。日本ではモノづくりは出来ない」と言ってどんどん海外に工場を移した。
客観的な数字でも、製造業生産指数がアメリカも欧州も緩やかに落ちて行ったが、日本だけが真っ逆さまに落ちていきました。
資金供給量を2倍は堅実
安倍総理が選んだ黒田日銀総裁が
「これから2年間かけて資金供給量を2倍にする」
と言ったときに多くのエコノミストは、なんて危険なことを!為替・国債の暴落、ハイパーインフレになるといっていたが、そんなことにはなりません。通貨量の発行の一番おとなしい欧州と同程度の2倍するだけなのです。石橋を叩いて渡るという金融政策なのです。
私の感じたこと: 思い込みや偏った考えが道を誤らせる。
今回、この講演を聞いて、私が実際に直面し、感じている経済状況と合致しているので納得してお話を伺うことが出来ました。
日本はバブル崩壊後、「全て市場経済に任せるのがよい」、「政府介入や規制は市場をゆがめるだけだ」という市場原理主義の方がマスコミの全面に出るようになりました。その結果、国会議員の方も経済は市場原理に任せておけばよいと考える方が多くなり、民主党政権下では一層その感じがしました。
世界は、デフレ経済にしないよう、なり振り構わず必死にことに当たっている。一方、日本は15年間デフレを放っておく。その結果が今回の経済危機。国会議員のかたは経済に対する政府の役割と責任の大きさを知ってほしいと思います。
(つづく)
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