「現金を相続させたい方」のための遺言書の書き方
「配偶者が再婚の方」のための遺言書の書き方
こんにちは、「遺言書作成・相続手続きサポート」宮城県名取市まさる行政書士事務所 菅野勝(かんのまさる)です。
今回は、【遺言書の書き方講座 家族編 vol.20】として、『「配偶者が再婚の方」のための遺言書の書き方』についてお伝えしたいと思います。
遺言書を作成する皆様共通のメリット・理由は、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。
遺言を作成しようと思った時に知っておきたいチェックポイントを解説します。
配偶者に連れ子がいる場合
配偶者が再婚の場合には、配偶者に連れ子がいる場合があります。
しかし、その配偶者の連れ子と「養子縁組」をしていない場合には、法律上の親子関係がありませんので、その連れ子には相続権がありません。
配偶者の連れ子と養子縁組をしていなく、その連れ子に財産を渡したいと考える場合、連れ子に財産を移転する方法としては、①「遺贈する」、②「死因贈与する」、③「生前に養子縁組をして推定相続人にしておく」という方法が考えられます。
しかし、②の「死因贈与契約」と③の「養子縁組」は遺言で行うことはできません。
そこで、①の「遺贈」を用い、下記のような条項を盛り込み遺言を作成します。
条項例
第○条 遺言者は、遺言者の所有する次の土地及び建物並びに預貯金、株式、動産その他の
一切の財産を、配偶者Aの子B(昭和○年○月○日生、住所:○○県○○市○○町)
に遺贈する。
1 土地の表示 (省略)
2 建物に表示 (省略)
配偶者との間にも子供がいる場合
再婚の配偶者との間に子供がいる場合には、その子供には相続権が認められます(民法887①)。
そのため、「配偶者との間の子供」と「配偶者の連れ子」とに、それぞれどの財産を残すのかについて明確にしておく必要があります。
「どちらの子供の相続分を多くするのか?」とその理由
「配偶者との間の子供」と「配偶者の連れ子」の相続分に差をつける場合もあります。
例えば、既に独立している連れ子よりも、まだお金がかかる配偶者との間の未成年の子供の方に多く相続させるなどの理由が考えられます。
その場合、遺言作成に当たって、遺言者がどうして各自の相続分に差をつけた遺言を残したのかについて、遺言者の考えを「付言事項」として記載しておくことも1つの方法です。
付言事項文例
隆は一部上場企業に就職できたので、今後の生活は特に心配がないと思います。しかし、太郎は、これから高校、大学に進学するので、学費等のお金が必要になります。そのため、私の財産のうち、隆には4分の1、太郎には4分の3を残すことにしました。父が隆と太郎に残す財産額に差をつけた理由を十分に理解して、これからも兄弟が仲良く暮らして欲しいです。