相続土地国庫帰属制度の運用状況
遺言書を書く時に、確認すべき「老後の収入」
こんにちは、「遺言書作成・相続手続サポート」宮城県名取市まさる行政書士事務所 菅野勝(かんのまさる)です。
今回は、【遺言書の書き方講座 将来の状況変化編 vol.3】として、『遺言書を書く時に、確認すべき「老後の収入」』をご案内します。
遺言書を作成する皆様共通のメリット・理由は、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。
遺言を作成しようと思った時に知っておきたいチェックポイントを解説します。
年金収入の有無・内容
老後の収入の基礎は、国民年金、厚生年金、共済年金等の公的年金制度が整えられています。
しかしながら、老齢国民年金は基礎的生活経費をまかなうには到底不足しており、厚生年金・共済年金などの加入期間の如何により十分な額が支給せれるかどうか不明です。
また、受給開始期間の選択により、毎月の受給額が変わりますので、制度内容の誤解のないよに年金事務所等に正確な情報確認が必要になります。
その他の収入の有無・内容
賃貸アパートの賃料等の不動産所得等は、これまでの実績から将来の見込額を想定します。
しかし、アパートローンの返済などがある場合は、税務申告上必要経費にならないローン元金の返済分があるので、確定申告書等の「取得額」より実際の手取り額が下回ります。
また、不動産取得に取得税・住民税等が課税されますので、実際に使える額は更に少なくなります。
賃貸経営を続けていく中で、今後いつまで自分で取り仕切れるかを検討する必要もあります。
任意後見・家族信託など備えがないと運営が困難になることもあります。
上場株式の配当等は、企業業績で変化します。投資信託の毎月分配金は、多くの場合運用益以外に、元本の取崩し分が含まれていますので、受け取るお金は純然たる儲けではなく財産の取崩しであることを認識すべきです。
その他のチェックポイント
老後の生活での収入も、必要な経費も、逐次変動していきます。
これらの完全な予想は困難でしょうが、出来る限り慎重に考え、不足分は財産から取り崩していくことを想定しておくべきです。
なお、自宅不動産を資金化して生活費に充てるいわゆるリバースモーゲージなども徐々に活用されるようになってきました。
この場合は相続開始後は自宅不動産は原則として換価され、借入金の返済に充てられることになります。
不動産を相続させようとする場合、相続人が残債を引き継いで返済を継続できるように交渉することが必要となります。
(まとめ)
この様に、遺言書作成時から相続開始時まで将来の状況は変化していくことが予想できます。将来の状況変化を踏まえた遺言書を作成することが理想ではありますが、定期的に遺言書の見直しを行うことが必要です。
遺言書は一度書いたらお終いにせずに、定期メンテナンスを心掛けて遺言内容の実現に望んでいただきたく思います。
今回は、以上となります。