「実親以外に養親がいる方」のための遺言書の書き方
自筆証書遺言はデメリットが多いように思えますが、2020年の法改正による法務局での自筆証書遺言書保管制度の利用によって、これが大きく変わることになります。
自筆証書遺言書保管制度と公正証書遺言の保管方法の違いを比べて
新しくできた自筆証書遺言書の保管制度では、決まった管轄の法務局で遺言書の保管をしてもらうことになります。
保管してもらった遺言書は、保管の申請をした法務局(遺言書保管所)で紙の原本を保管しますが、データでも保管されるため、全国のどの遺言書保管所に行っても内容の閲覧をすることが可能です。
遺言者がまだ生きている内は相続人や受遺者は遺言書の内容をみることは出来ませんが、遺言者が無くなると、全国の遺言書保管所で遺言書の有無を確認し、モニターで内容の閲覧をすることが可能です。原本の請求をする場合は、保管の申請をしたところに請求をすることになります。
この点、公正証書遺言の場合はどうかというと、遺言者の死亡までは遺言書の内容を見れないのは同じです。しかし、全国のどの公証役場でも内容を確認できる訳ではなく、遺言書の有無を検索するにとどまります。
中身を見るには、実際に保管をしている公証役場で謄本請求をしないと確認できません。
ここでわずかな違いはあるものの保管自体はどちらも紙とデータでされていて、遺言書があるかどうかの確認は全国どこでもできることになります。
そこで、自筆証書遺言にするか公正証書遺言にするかで考える重要な要素に成るのが、次の点お話です。
自筆証書遺言は、法務局で保管ができるようになったとは言え、あくまで自筆証書遺言です。公正証書遺言のように、公証人に形式や内容について確認をしてもらい無効になりにくい遺言書を作ってもらえるわけではありません。そういった意味では、「紛失や改ざん等を防ぐ」という面では、両者ともに有効な手続きといえますが、内容の確実性といった側面で言うと、自筆証書遺言は公正証書遺言には遠く及びません。
しかし、一方の自筆証書遺言書の保管制度に必要な手数料は相続財産の価額に関係なく、1通につき3900円です。これは、法務局では遺言書の作成や内容にはノータッチだからです。
これらのことから、それぞれにメリット・デメリットがあるため、一概にどちらが良いとは言い切れませんが、自筆証書遺言の保管は法務局で行う、とした方がスピーディーに、低コストで遺言書を残すことが出来る場合もあります。