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3.11の記憶

五十嵐将志

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 私はその時仙台中心部の大町に学生さんの家財の買取りに出ておりました。社員2名がトラックに乗り、私は自分の車で現場に到着。マンションの8Fが現場でした。車を降りて社員と共にお客様の元へ向かおうとすると、私の車の停車位置が駐車場の出入り口に少し被っており少し移動してくれとマンションの方に頼まれました。社員二人にちょっと待ってくれと言って車に乗り込むその瞬間に今回の大震災がきました。
 揺れは大きくそして長く続きました。普通に立っていられる状態ではなくほとんどの人が道路にしゃがみ込んで踏ん張っている状態。方々のビルから泣き声や悲鳴を上げながら出てくる人々。目の前のビルの給水塔が倒れ、大量の水が空から降ってきた。
 とてつもない事が起こったと思ったと同時に、家族の安否が心配になりました。直ぐに携帯を手に取り嫁に連絡すると奇跡的繋がり、嫁と娘二人の無事を確認できました。次に会社へ連絡を取りましたがもう繋がりませんでした。
 社員の一人が「今から現場に上がりますか?」と呑気に聞いてきたが、ビル内に入るのは危険だから買い取りは中止して会社に戻るように伝えました。
 停電の為信号は止まり、パニック状態の人々はビルからの落下物を避けるべく道路の中央まではみ出し大渋滞となっておりました。幸い仕事柄裏道に精通していたのでなんとか会社に戻る事ができました。その頃から天候は荒れ猛吹雪になり、益々終末感が漂い皆不安な気持ちに陥っておりました。
 店舗の中は暗闇でほとんど見えませんでしたが、什器や商品が散乱して入る事もままならない状態である事は分かりました。すぐに社員に帰宅を促し、出社日は追って連絡する事を伝えました。

 あの日から一年会社も普段通りに戻り、依然と変わらぬ生活が出来ております。普通に生活を送れる事がどれだけ幸せな事なんだろうと日々噛みしめております。この思いを決して忘れる事なく、人生を歩んで行く事が、被災で亡くなった方へのせめてもの弔いの気持ちだと思っております。
 

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五十嵐将志(販売職)

事務機器、事務用品のリサイクルショップ 株式会社イガラシ

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