最低賃金の引上げと企業対応
独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「職場におけるAI技術の活用と従業員への影響」という調査があります。
この調査では、AI技術の活用が、従業員のタスク、スキル、雇用、賃金、労使関係のあり方などにもたらしている影響を、日本とOECD加盟国との比較で指摘しており、これからの労務管理を考えるうえで参考になります。
◆日本の特殊性
AI技術が従業員に対してもたらす影響は、調査対象の多くの国で共通する部分もありますが、日本と他国との差異も指摘されています。
AI技術が特定のタスクを完全もしくは部分的に自動化する場合、従業員に低スキルのタスクが配分されることにより、他国の事例ではスキルの低下がみられたが、日本の事例ではスキルの低下はみられなかったとのことです。
また、他国の事例では、従業員が担うタスクや必要とされるスキルの向上による賃金の増加、あるいはスキルが低下したことによって、一部の事例で賃金の低下が生じているが、日本の事例では賃金の増加・低下はみられないという差異もあったとのことです。
これらの差異には、日本のいわゆるメンバーシップ雇用が大きく影響しているようです。
◆AI技術の影響を抜きにしては語れない時代へ
いずれにしても、これからの社会ではAIに対応するためのスキルが重要であることに変わりはないようです。従業員に求められるスキルが変化すれば、業務の再編成も必要となってくるでしょう。
これからの多様な働き方への対応と処遇の見直しを検討するうえでは、AI技術による影響を抜きにしては考えられない時代となっているようです。
【(独)労働政策研究・研修機構「職場におけるAI技術の活用と従業員への影響―OECDとの国際比較研究に基づく日本の位置づけ―」】
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2024/0228.html
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