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天然素材の魅力に伝統技術とモダンさを加味、石造品全般を提案

想いをカタチに、石造物をデザイン・施工するプロ

山田俊行

想いを形にする石造品プロデュースのプロ 山田俊行さん
国内恵比寿さん

#chapter1

寺社仏閣、地域、団体、個人のコダワリに応える企画・設計

 店舗エントランスには「宮内庁御用達」の文字。店内壁一面には美しい石のサンプルが飾られ、荘厳な雰囲気を醸し出しています。山田俊行さんは享保年間に創業した老舗、芳村石材店の代表取締役であり、制作の先頭に立つ石造品のプロデューサーです。文化財も数多く含む寺社仏閣の建物、鳥居、狛犬なども手がけて伝統の技術を今に伝えつつ、今の時代に合ったオリジナルデザインを提案。地域や個人のニーズにも幅広く応えています。

 オリジナルデザインの石造品は、さまざまな名所で目にすることができます。2017年1月、大阪・北新地の繁華街にある曾根崎恵美寿社に、ふくよかな笑顔をたたえ、徳利と鯛を抱えた石造りの「えびすさん」がおめみえ。続いて4月には、京都・川端三条と西京極競技場内に「駅伝発祥100年記念」の石碑を建立。「顔出し穴をあけ、観光客や観戦客の方々が記念写真を撮っていただけるようにしました」と楽しそうに笑います。

 「京都を訪れる外国人の中にも石造品ファンが多く、フランスから狛犬の製作をご依頼くださった方もいます。また日本のご家庭からは稲荷社や観音さまのご注文がありました。石鳥居や玉垣でも、石のお困りごとは何でもご相談いただきたいですね」と山田さん。「天然素材の中でも石は経年変化しにくく、美しさと価値を百年単位で持ち続けます。その絶対的な存在感と安心感が、人気の理由なのではないでしょうか」

#chapter2

石のプロとして、石の素材感を大切にし、プラスアルファの提案を

 山田さんは生まれも育ちも東京。デザイナー、コピーライターの経験が、今の仕事の土台となっています。「お打ち合わせの場ですぐにラフスケッチを描き、施主さまとともにデザインイメージをふくらませます。図面、素材見本、イメージパース、大きさがわかりやすい原寸大の立体図面を作成したり、オリジナルの彫刻品は、自分で紙粘土模型を作ることもあります」。また、石造品の制作だけでなく、許可申請や施工も担います。

 「大切なのは、施主さまの想いを形にすることです。たとえば記念碑や、町内の石仏、お寺の永代供養墓など、施主さまのイメージや目的、使い勝手、ご予算などをお伺いし、価値や意義を共有します。そのうえで、石独自のプレミアム感があるデザインを提案。石の表情は小叩き、ビシャン、水磨きなど加工方法の違いで驚くほど変化します。それだけに、国内外の石材産出地や加工技術者、石工の選出も大切な要素だと言えます」

 石の造形物を考える時は必ず、現場に行きます。「環境を調べ、完成イメージを持つことはとても重要。遠方では写真を送ってもらうこともありますが、やはりその場所の空気感や景観との調和があって、立体的なイメージが浮かびます。また、搬入路や地盤の強度など、施工上の問題を知ることも、予算設定に欠かせません」。そいう過程を踏むからこそ、「想いが形になって、良かった」という感想が多々聞かれるのだそうです。

長岡天満宮

#chapter3

文化財ドックの活動などを通じ、日本の石文化の伝統を残したい

 芳村石材店は享保年間の創業以来、宮内庁や大本山級の寺社から依頼されて鳥居、玉垣、五輪塔、多宝塔、永代供養墓といった伝統的な石造品を手がけ、代々、京石工「芳村茂右衛門(もえもん)」を襲名。「茂右衛門の狛犬」といえば、北野天満宮をはじめ数多く建造され、専門家からも高い評価を受けてきました。6代目は現会長の芳村茂右衛門さん。義理の息子にあたる山田俊行さんが襲名すれば7代目となります。

 「私たちが手がける石造品や石建築は、代々残るものばかりです。でも時代の変化によって日本の石文化を継承すべき石工や石材産地の数が激減しています」と山田さん。「京都、岡崎、庵治を始め、各地に石製品の伝統工芸士や一級技能士がいます。私はその方たちの力を借りつつ、新しいデザイン性や機能性を加味することで、石の創作品の素晴らしさと可能性を広げ、また、施主さまには、ホンマモンの石作りの素晴らしさがお伝えできるように、微力ながらいろいろ企画し、提案をしています」

 また、文化財ドックの活動では、瓦、檜皮葺き、畳、飾り金具、彩色、表装、造園などの匠とともに、日本の文化財を護り続けることの大切を伝えるイベントを、年に3回のペースで開催。10回記念には規模を広げ、有楽町マリオンで実施しました。「私は京都の石屋としてできる限り、日本の石文化の伝統を残せればと考えています」

(取材年月:2017年3月)

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専門家プロフィール

山田俊行

想いをカタチに、石造物をデザイン・施工するプロ

山田俊行プロ

石職人

株式会社芳村石材店

文化財も数多く含む寺社仏閣の建物、鳥居、狛犬などを手がけて伝統の技術を今に伝えつつ、デザインとプロデュースの力をいかして地域のモニュメント、記念碑など現代的なオリジナルデザインを提案しています。

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