マンション管理に関する法律のプロ
折田泰宏
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マンション管理に関する法律のプロ
折田泰宏
#chapter1
「ベランダに物を置いてはいけない」「大きな生活音を出してはいけない」など、マンションには守るべき多くの生活規則があり、違反するとトラブルとなることがあります。京都市中京区の「けやき法律事務所」は、開設以来マンションの滞納管理費・積立金の回収、管理規約の改正問題、駐車場のトラブル、分譲業者との間の建築瑕疵問題、暴力団の立退きなどマンション管理に伴うあらゆる法律問題に取り組んできました。
マンションは、区分所有者(マンションを購入した住民)で維持管理する必要があります。しかし、管理組合の役員は、専門知識を持っていない場合がほとんど。そのため、自立した組合運営が難しく管理会社に組合運営を丸投げするケースも少なくありません。しかし、それにはリスクがあると所長の折田泰宏さんは指摘します。
「例えば、管理費の滞納があった場合、管理会社は取り立ててくれないので、管理組合が滞納者と話し合わねばなりません。滞納が続くようなら法的手続きが必要となります。また、管理会社による横領や職務怠慢があれば、管理会社の変更も検討しなくてはなりません。マンションの大規模修繕を管理会社任せにして、施工後に欠陥が見つかり解決が困難となったケースもあります」
リスクを避けるためにも、マンション管理の主導権は区分所有者が握ることが望ましいと折田さんはいいます。「組合が自主管理をあきらめ、管理を管理会社に委託するのは、管理組合サイドに立ってサポートする専門家が少ないからです。また、専門分野が分かれているため、管理組合の役員がどこに相談すればいいのか分かりづらいことも問題です」
このような問題を解決するべく折田さんは、一級建築士やマンション管理士、管理組合経験者、税理士、施工業者などと連携。専門家ネットワークを組織して、管理組合を支援しています。「ホームページとFAXで、悩みを抱える全国のマンション管理組合からの相談を受け付けています。専門外の相談があった場合は、問題に対応できる専門家をご紹介します」
#chapter2
折田さんは、1981年に「マンション問題研究会」を設立してマンションの実態を調査。「問題があるにも関わらず、区分所有者が相談できる場所がないことがわかりました」と当時を振り返ります。同年、管理組合の連合組織「京滋マンション対策協議会」を設立し事務局長に就任。その後「日本マンション学会」の会長となり、住み良いマンションづくりを目指して各管理組合団体と連携し、全国のマンション管理組合が抱える悩みに対応してきました。
また、マンション管理に関する著書も多数出版し、長年の経験に基づいた情報を公開している折田さん。中でも「マンション法律100章」では、マンション法律をわかりやすく紹介。同書を読みマンション問題に関心を持った若手弁護士も多いそうです。
1995年には、阪神大震災の被災マンション復旧支援活動に参加。倒壊したマンション建替えや補修にも関わりました。「建替えるか補修するのかは、民主的なプロセスを踏んで決定することが大切。住民間できちんと情報が公開・共有されたマンションは争いが起きませんでした」
#chapter3
けやき法律事務所は、折田さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、マンション問題の他にも、消費者問題、医療過誤問題、環境問題などに対応。また、市民の側から行政訴訟、住民訴訟するオンブズマン活動にも積極的に取り組んでいます。さらに、トラブルに巻き込まれない知恵を身に付けることができる「京都マンション塾」を事務所内で定期的に開催。マンション住民に専門知識を広めています。
「マンションの管理の主役は、購入者である区分所有者です」と折田さんは繰り返します。「住民がマンションを維持管理する管理組合は民主主義の原点。オンブズマンの問題と意識が共通している。日本の民主主義は、管理組合で育つのではないかと期待しています」。問題があれば区分所有者全員がそれを認識して賛否をとる。そして、その結果には従うという民主主義の原則を各管理組合が争いなく実践することが大切だと力を込めます。「トラブルは甘えから生ずるもの。人任せにせず、自分たちで考えて決定するという意識を持ってほしいです」
けやき法律事務所は、全国の管理組合の顧問に就任し日常的な管理組合運営をサポートしています。「理事会で解決できない問題がある」「管理会社を変えたい」などの悩みを抱えている管理組合は、折田さんに相談してみてはいかがでしょうか。
(取材年月:2017年3月)
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マンション管理に関する法律のプロ
折田泰宏プロ
弁護士
けやき法律事務所
各管理組合団体、マンション管理士、一級建築士等の専門家と連携し、困難なマンション管理問題について、京都だけでなく全国各地のマンション管理組合からの相談に応じている。
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