第25回経営者コラム｜広告費削減にちょっと待った！

2024年6月1日公開 / 2024年6月2日更新

コラムカテゴリ：ビジネス

マーケティングアプローチとして、「⼩さな幸せを届けられるかどうか？」が鍵なのかもしれません。

2024年の「世界の消費者トレンド」によると、
消費者は、“⽇々のストレスを忘れる⽅法”を探しており“⼀瞬の気晴らしを求めている”との⾒解が述べられています。
⼩さな驚きやちょっとした喜びをお客様に与えられるかどうかによってブランドの価値や印象を引き上げられるか否かが、その分かれ道になるのかもしれません。

また、もし広告費を完全に削ってしまったら・・・
⽇経の記事「広告をやめた場合の売り上げやシェアの影響」によると、近年の研究で“広告をやめた年を基準として、広告を1年しないと「売上」は平均してマイナス16％、2年広告を停⽌すると「マイナス25％」、3年広告を停⽌すると「マイナス36％減少」するとの考察を述べています（Hartnett et al., 2021）。
また、⼤⼿ブランドより⼩さな企業や商店などのほうが、下げ幅は⼤きくなると予想を⽴てています（Hartnett et al. , 2021; Phua et al. , 2023）。
出典: 芹澤連,⽇経クロストレンド,広告をやめると売上やシェアはどれだけ減る？急落と安定の条件,2023 年12 ⽉11 ⽇読了時間： 21 分,https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00801/00008/

広告費を削る前にチェック！
「広告トレンドを掴み、消費者(お客様)へ幸せを届ける！⽅策」とは？
広告の⼒を発揮できる場を探っていきます。

広告トレンドの⽅向性を知る

1.AI の進化の利⽤

AI技術の進化により、消費者それぞれに特化・パーソナライズされた広告や効果的なターゲティングが可能になっています。
消費者のデータを基にし、カスタマイズされた広告の展開が可能なAIを使った広告を利⽤してみる。

2.ショートムービーの利⽤

「TikTok」や「Instagramリール」などでの短い動画コンテンツが今年も引き続き⼈気を集めています。
広告として⼿軽に使⽤できるのも魅⼒ですので、ショートムービーを使⽤した店舗や商品紹介などを始めてみる。

3.サスティナビリティを重視した発信の利⽤

環境への配慮を訴える広告がさらに増加しています。
特に⽇本では⾃然や環境に対する意識が⾼いため、企業の持続可能な取り組みが強調されていますし、シンガポールなどのアジアでの広告展開にはサスティナブルを重視する傾向が⾒られます。
⾝近な例を挙げると、地元の⾃然素材を使⽤していることをしっかりと訴求するなども、サスティナビリティの考え⽅の⼀つです。

広告トレンドを具体的に深掘り。⼤⼿企業のうまい広告⼿法を真似しない⼿はない！

●AI の進化を利⽤した具体例
1. 楽天
AIを活⽤して顧客の購買⾏動を分析！
ユーザーごとにパーソナライズされた広告を提供しています。
個⼈の好みをしっかり捉え、広告を打ち出すことができるようになったことで、顧客満⾜度の向上と売上増加が⾒られます。

出典:楽天グループ株式会社,「楽天市場」 AI を活⽤した店舗運営の効率化や⽣産性向上を推進・⽀援, 2024 年4 ⽉30⽇,https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2024/0430_01.html

2. リクルート
仕事探しのプラットフォームでAIを使⽤！
ユーザーの過去の検索履歴・応募履歴から最適な求⼈を薦める広告を表⽰しています。
これにより、求職者にとって的確な情報を効率的に提供することが可能となり、求職者と企業のエンゲージメントやマッチングの向上が図られました。

出典: 株式会社リクルート,「求⼈配信プラットフォーム「Indeed PLUS」に1 ⽉30 ⽇（⽕）より、リクルートが参画・⽀援, 2024.01.30 TUE, https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2024/0130_13984.html

小規模事業者が「AI」を取り入れるなら！

⼩さな商店や中⼩企業でもAI技術を利⽤したパーソナライズ広告を展開することが可能です。
たとえば、お客様の購買履歴や訪問頻度をデータとして蓄積し、それに基づいたおすすめ商品や
おすすめ情報を提供したり、メールやSNSへの投稿を定期的に配信するなどの展開です。
これによりお客様⼀⼈ひとりに合った情報提供が可能となりエンゲージメントの向上が期待できるのです。

●ショートムービーを利⽤した広告具体例
1. ユニクロ
「TikTok」や「Instagramリール」を使い、商品の特徴や使⽤感を短時間で伝えるショートフォームビデオを積極的に活⽤！
これにより、若年層の消費者とのコミュニケーションを強化し、ブランドイメージを⾼めています。

出典: UNIQLO TickTok,2024.05.15 アクセス, https://www.tiktok.com/@uniqlo_jp

2. 資⽣堂
デジタルプラットフォームで短いビデオ広告を配信し、効果的なブランドメッセージを伝達！
これらの広告は視聴者に即座に理解されやすく、化粧品の使い⽅や効果を視覚的に訴求しています。

出典: 資⽣堂 Instagram,2024.05.15 アクセス, https://www.instagram.com/shiseido_corp/

⼩規模事業者が「ショートムービー」を取り⼊れるなら！

「TikTok」や「Instagram」などのプラットフォームを活⽤して、
商品の特⻑や使⽤例を短いビデオで紹介する⽅法が効果的です。
⼩さな商店ならではの⼈間味あふれるコンテンツ、例えば、店主が商品を紹介する様⼦や
商品がどのように使⽤されるかの実演など、親しみやすい内容を⼼がけると良いでしょう。

●サスティナビリティを重視した広告具体例
1. アサヒビール
持続可能な製造プロセスやリサイクル可能なパッケージなどを前⾯に出した広告キャンペーンを⾏っています。
これにより、環境意識の⾼い消費者からの⽀持を集め、ブランドの信頼性を⾼めています。

出典: Asahi,ニュースリリース, 『アサヒスーパードライエコパック』販路を拡⼤し1 都10 県で8 ⽉29 ⽇発売紙の使⽤⾯積を従来から最⼤約8 割※1削減した紙資材「エコパック」を使⽤, 2023,0723https://www.asahibeer.co.jp/news/2023/0727_1.html

⼩規模事業者が「サスティナビリティ」を取り⼊れるなら！

地域に根ざした⼩さな商店ならではの強みを⽣かし、持続可能な商品やエコな店舗運営への取り組み、
例えば、地元産の⾷材を使った商品や、リサイクル素材を使⽤した商品の販売など、
環境への配慮がお客様の購買意欲を⾼める⼀つのポイントとなるでしょう。

⼩さな商店や中⼩企業だからこそ地域密着のデジタル広告をうまく使う

地域密着で効果的に配信

販促をしたい店舗から離れた地域にいる⼈に広告を配信しても、来客が⾒込めない場合も多い！
そこで、YouTube広告を展開という⼿も⼀つの選択肢です。
携帯の位置情報をもとにし、配信エリアを絞りこんだ掲載では、店舗から近い⼈への配信が期待できます。

出典:株式会社A.E.リレーションズ,動画で訴求！YouTube 広告.20240513 アクセス0513,https://www.ae-r.co.jp/youtube/

多くの広告形態から、⾃社に合ったものを選択できる⽬を肥やさなければなりません。

まとめ

「⼩さな幸せをお客様に届けられるかどうか？」。

地域のイベントや地元ビジネスとの協⼒を通じて、共同プロモーションを⾏うことも⼀考です。
例を挙げるなら、地元のカフェと共同で特別なプロモーションをおこなう。
地域の祭りやイベントに参加して店舗の知名度を上げるなど。

地域密着型の取り組みは、お客様との信頼関係を築く上で⾮常に有効ですし、「⼩さな幸せを直接届けられる道」でもあります。
これらの戦略を、前述のAIの進化を利⽤し、ショートムービーで取り組みやイベントなどの情報・商品の説明などを発信する！
そうすることで、⼩さな商店や事業者であってもデジタル化の波に乗り、効果的な広告展開を⾏うことができるでしょう。

最後に。地域密着のYouTube広告の中で述べたように、現在は、デジタル上で様々な広告形態が登場しています。
地域に根ざした事業であっても、デジタルでより多くの地域と繋がることができる時代になったのです。
広告と⾔っても、昔ながらのチラシや新聞だけではなくなり、より多くの年代へアピールできるコンテンツがあるのです。
広告を切る捨てる前に、まずは、アナログやデジタルなど⾊々なコンテンツを⾒てみましょう。
⾃社にあった広告を⾒つけることで、より多くの⼈へのプロモーションができ、アピールする機会が得られることを、決して忘れてはなりません。