第25回 経営者コラム|広告費削減にちょっと待った!
時代にぴったりフィットしたEC市場を味方につけ自社製品のファン層を厚くするには?
もともと拡大傾向だったEC市場。
そこに拍車をかけたのが、不要不急の外出自粛にともなう長期のお篭り生活。
あらゆる年代の人々がECサイト(Web・オンラインショップ)を利用する現在。
実際にその手で確かめられない商品をいかにして見極めようとし、購入へと至るのか。
自社ECサイトをお持ちの事業者さまにも、これからサイト運営を始めようとお考えの事業者さまにも参考にしていただきたい、「中小企業や小規模事業の皆さま」の自社サイトについて『SNSのつながりとその運営』を軸に、「誘導の方策」「サイトスタイル」などを解説します。
「SNSの口コミ」を参考に、ECサイトで買い物するひとびと。
SNSをきっかけにECサイトで買い物する人は、どの様な流れで購入への道をたどるのでしょうか。
アライドアーキテクツによる調査によると、SNS (Facebook、Twitter、Instagram、LINE、YouTube)を
閲覧・使用するユーザーに対し、“初めて利用するECサイトでSNSの情報をきっかけ or 参考に商品を購入した経験があるか?”と尋ねた結果、いずれのSNSでも「過半数で購入経験アリ」と回答。
きっかけ or 参考にしたSNSはInstagramが60.7%と最も多く、次にTwitter 55.2%、Facebook 54.4%という結果に。
また、「ある」と回答した人の多くは、「企業アカウントのキャンペーンやクーポン」をきっかけにしたものでした。
さらに、回答者の約30%は「企業アカウントの広告」や「フォローしている友人、一般の口コミ投稿」をもとに購入したと答えました。
この様に、初めて訪れるECサイトで買い物に至るには、キャンペーンやクーポンなどのお得情報をきっかけに、自分の目線に近い「友人や一般ユーザーの意見を確認」することで、ある程度の安心感や確実性を持って商品を購入していることが分かります。
参考:アライドアーキテクツ SMM lab 2020.10.09掲載 2021.08.02更新
【2020年最新版】5大SNSユーザーによる「SNSをきっかけとした購買行動・口コミ行動調査結果」公開!(Twitter、Instagram、Facebook、LINE、YouTube) https://smmlab.jp/article/sns-research-2020/
SNSからECサイトへの誘導は?何をどうすればよいのか?
SNS上の口コミを参考にし、自社SNSを訪問してくださったお客さまをECサイトへと導くには?
その導線をどのように作れば良いのでしょうか。
3つの誘導例を見てみましょう。
事例1)
すぐできる「ECサイトのURL設置」
SNSアカウントのプロフィールにはECサイトのURL設置ができますので、ぜひ活用しましょう。
「おすすめ商品」ページへの誘導などもURLで行うことができ、まだSNSに慣れていない場合も活用が可能です。
事例2)
メリットいろいろ「SNSキャンペーンの実施」
キャンペーンとして実施しやすいのは、コンテスト入賞者にプレゼントを贈ることを前提に自社製品を写した写真のSNS投稿をお願いする「写真コンテスト」です。
これは、ユーザーに行動を起こさせるマーケティング施策の一つで、
以下のメリットもあります。
・自社製品を魅力的にアピールする写真がSNS上に増える
・自社製品やブランドの認知拡大・興味を示すユーザーの増加
・投稿された写真を自社アカウントで紹介可能
・写真の2次利用の応用ができる
事例3)
SNSに慣れたら「自社Instagramにショッピング機能を付加」
Instagramショッピング機能/※Shop Nowを使えば、
(※Shop Nowとは:ユーザー投稿に、商品名・価格が表示されたタグを付けられる機能)
Instagramで欲しい商品を見つけた際、直接ECサイトの商品ページとつながり購入することできます。(2022年7月現在)
この機能を使うことでECサイトへの導線がスムーズになり、欲しいと思った商品を探し回ることなく商品への関心を維持したままサイトへ移動できることから、購入へ至る可能性が増します。
ただし、Instagramショッピング機能を利用するには、審査が必要。
「フォロワー数が数百人を超えている」「Facebookと連動している」など、いくつかの利用要項を満たしていなければなりません。
まずはInstagramの運営に慣れ、フォロワー数が確保できた時点での検討をおすすめします。
「ECサイト」どんな運営スタイルがあるのか?
では、ECサイトの運営にはどのような手法があるのでしょうか。
サイトは、大きく【モール型】と【自社EC型】の2種に分けられます。
①【モール型】とは
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの様に多くの個別ECサイトが集まった「インターネット上のショッピングモール」を指します。
また、【モール型】はA.マーケットプレイス型 と B.テナント型の2つに分けられます。
①- A商品のみを出品する「【モール型】のマーケットプレイス型」
モール運営側が商品を管理する「Amazon」の様なスタイルです。
注文が入ると出品者に情報が送信され、発送を行うという運営方式で、商品を出品するだけでEC事業をスタートできることから、導入しやすいと言えるでしょう。
ただ、サイトデザインの変更はできず、自社らしさは表現できません。
①- Bテナント(出店)料を支払い出店する「【モール型】のテナント型」
現実のテナントと似た「楽天市場・Yahoo!ショッピング」の様な運営スタイルです。
モール運営側は、ショップスペースを提供するだけで、商品掲載や売上計上、受注管理などの業務は全て自社で行わなければなりません。
テナント型は、サイトデザインに一定の独自性を出すことはできますが、規定の範囲内のため自社サイトほどの自由度ではありません。
【モール型】は、大手運営により「知名度がありお客さまが安心しやすい」というメリットがある反面、「ロイヤリティの発生」「お客さま情報が集められない」「ブランディングしにくい」というデメリットがあります。
②【自社EC型】とは企業独自に運営できる単独のショッピングサイトを指します。
【自社EC型】のメリットは、
・初期費用、出店料、ロイヤリティなどがかからず「費用が抑えられる」
・サイトデザインの制約がなく「ブランディングがしやすい」
・顧客情報やアクセス解析で「リピーター確保がしやすい」「ファン育成しやすい」
などが挙げられます。
その一方、デメリットとして、「集客の難しさ」があり、安定した集客のためは、『SNSの活用』などに力を入れる必要があります。
どんなタイプのECサイト運営でも、SNSの口コミ情報などを参考に購入へとすすむ人々を自社のファンや顧客として呼び込むためには、「充実したSNSの活用」と「使いやすいECサイトの設置」が必要です。
せっかく、SNSから誘導できたお客さまも、動きがにぶいサイトや商品を見つけにくいサイトで身動きができなくさせてしまっては、逃してしまいます。
まとめ
自社ECサイトをお持ちの事業者さまも、これからサイトを始めようとお考えの事業者さまも、さらに拡大傾向が顕著なEC市場を味方につけるためには、運営するサイトの「動作の確認」や「使い勝手の確認」を行い、改善点が出てきた場合は、ただちに見直しを行いましょう。
さらに、SNS活用にもサイト運営にも共通して言えることは、誰に向かって情報発信しているのか?「ターゲットをはっきりさせる」こと。
特にSNSでは、ターゲットをしっかり絞ることで、何を発信すべきか?内容が明確になるでしょう。
そして、改めて考えるべきは、「自分たちはどんな会社なのか」「どんな価値を提供しているのか」。
ブランディングの根幹をしっかりと振り返ることで、自社が向かう方向性がはっきりするはずです。
『価値ある提供とターゲット』を社員に周知させ目指す方向への道筋を照らす。
それは、ファンと信頼感の両方を獲得し、EC市場を味方につけるための新たな一歩となるはずです。