「気をつけなければいけないのは、日本国債の格付けだ」・・神田財務官

長島武

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テーマ:投資

見出しの言葉は、今月末、財務長官を退任される神田財務長官のコメントを紹介したブルンバーグの記事です。世界の代表的な格付け機関は、スタンダードプアーズ、ムーディーズ、フィッチ3つあります。国債にも格付けがついています。格付けは上からAAA~AA~A~BBB~BB~B・・・となり、BBB以上が投資適格債、BB以下がジャンク債と呼ばれていますね。
日本は、現在A+です。国債の格付けが下がると、何が起こるでしょうか。
 その国の企業は、国債より上の格付けを得る事は、殆どありません。国債の格付けが下がると、企業の格付けも下がり、担保として入れていた国債の価値も下がり、邦銀の外貨調達が困難になることが予想されますね。又、債券を発行する時も格付けが下がると、クーポンは高くなり、企業の負担も増えますね。

円を占う国債減額
 
 7月 9日~7月10日・・・・債券市場参加者会合
 7月30日~7月31日・・・・日銀の金融政策決定会合
 
  国債の減額幅は、
  当然、金利にも為替にも  そして国債の格付けにも影響あります。
            。

債券は、国内債券も外国債券も同じです。
債券の買い⇒債券単価上昇⇨金利下がる 逆に金利引き下げ⇒債券単価上昇  
債券の売り⇒債券単価下落⇒金利上がる 逆に金利引き上げ⇒債券単価下落
 
 下の記事は、1年半前の日経新聞の記事です。フィッチ(格付け機関)の担当者の方が、日本経済新聞社の取材に「日銀の国債購入は、格付けを支える要因のひとつ」と話しています。
国債の格下げリスク
  日銀の国債の買いが無くなれば、どうなるでしょうか?
 S&P(格付け機関)の担当者は、「日本の国債格下げ、当面ない」6月16日の日経新聞で話してます。「格付けに影響を及ぼすとすれば、金融調節が経済や金融に対して重大な影響を及ばすような場合に限る」と述べてます。
逆から見ると、経済や金融が重大な影響受けているときは、国債の格付け下げると言っているのと同じだと思いますね。

国債格下げ当面ない

 マイナス金利の解除の時、テレビ、新聞で大騒ぎしていましたが、実際の金利の変動はわずかで、影響は、少なかったと思います。国債の減額幅は、元日銀理事の山本氏は毎月3兆円の減額で正常化に13年かかると言っています。米国資産運用会社バンカード社のアナリストは、月間の買い入れ額が5.5兆円や5兆円規模への減額にとどまった場合、市場は170円に向けて再度動き出す と述べています。又、国内アナリストの一人は、数年かけて減らしていくと減額幅を示さないのではと見ている人もいます。
 日銀が国債の買い入れをかなりの規模で減らせば、債券相場が急落、減らさなければ円が急落、アベノミクス、異次元緩和の副作用で、出口、が見えない状況です。
 いずれの場合も金利が上がり、仮に、一旦は円高になっても、その後の影響を考えると怖いですね。 いずれにしても7月下旬の日銀の金融政策決定会合、来週の債券市場参加者会合、為替と金利だけでなくて、国債の格付けにも影響があり、注目ですね。
 私たちが、今、出来ることは、早急にリスクヘッジをすること、外貨資産の比率を上げて、資産を分散することですね。日経平均が40000円を超えても安心している場合ではないと思っています。

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長島武
専門家

長島武(ファイナンシャル・プランナー)

長島FP事務所

ブラックマンデー、リーマン・ショックなど経験して資産運用の怖さも十分に熟知。お客さまに合う商品を案内できる金融機関に属さない独立系FPとして、資産運用のアドバイスや退職金や年金分野を得意としてます。

長島武プロは熊本朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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