コミュニケーションを大切に、懐かしさあふれる曲での全国出張コンサートを提案（3/3）

心が震える思い出の側にある音楽を届けるために、全国各地の高齢者施設を訪問したい

　出張コンサートに限らず、演奏する曲にまつわるエピソードを紹介するなど、トークを盛り込みながらホームパーティーのような雰囲気で行うのが“たのシック流”。かしこまらずリラックスして楽しめるのが特長で、集まってくれた人たちと言葉を交わします。会話をすることで、より深く感情をくみ取ることができると言います。

　「音楽って、その人それぞれの記憶を呼び起こすきっかけになることがあるんです。すごくうれしそうに、青春時代にダンスホールでタンゴを踊ったことを話してくださる人もいます。時には、亡くされたパートナーのことをしのんで涙ぐむ方もいらっしゃいます。音楽は心が震える思い出の近くにある物なのだと感じます」

　楽器から発せられる空気の振動は、ステレオ等で聞く音楽とは違った特別な音として響き渡り、胸を打ちます。

　表情には出せなくても、歌を口ずさんだり体を動かしたり、一人一人、聞く人のコンディションは異なりますが、音楽の力で刺激を受ける高齢者の姿を目の当たりにしてきた、たのうちさん。今後は、全国各地の施設にも足を伸ばしたいと考えているそうです。

　「コンサートに行けない方たちに、生の音楽を届けるための取り組みなので、地域を限定することなく、たくさんの方と笑顔になれるひと時を分かち合っていきたいですね。音楽は一瞬で元気をくれたり、心をそっと癒やしてくれたり、かけがえのない存在ですから、私どもが目の前で演奏することでお役に立てることを願っています」

（取材年月：2023年3月）

■たのうち惠美プロのプロフィールを見る

⇒高齢者の心と記憶に刺激を与える出張コンサート