個人事業主のための生成AI活用法!明日から真似できる3つの事例とプロンプト

室川武範

室川武範

テーマ:生成AI

予定は埋まるのに、売上も時間も増えない――そんな焦りに、ひとりで耐えていませんか?

本記事は、無料ツールだけで今日から再現できる事例を三つに絞り、そのまま利用できる手順とプロンプトを示します。初回の準備は十五分、難しい設定は不要です。まず一つの作業をAIに任せ、明日の負担を確実に軽くするための“最短ルート”を用意しました。安全な始め方と費用対効果の測り方も併載しているので、迷う時間を極限まで減らします。

読み終えたら、あなたは事例1から手を動かすだけです。

【監修者情報】
この記事は、自身の事業でAIをフル活用し、業務の効率化(8時間要した作業が2時間以下に短縮:75%削減 など)を実現した実績を持つ「個人事業主や小規模企業経営者を生成AI活用で支援する専門家:室川(むろかわ)」が執筆・監修しました。私自身もかつては時間不足/人手不足に悩み続けた過去があります。同じような悩みを抱えるあなたのために、机上の空論ではなく、私が実際に効果を実感した具体的な方法だけを厳選してお届けします。

なぜ、時間がない個人事業主・フリーランスこそ生成AIを使うべきなのか?


この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 生成AIが解決する!日々の業務で無駄な時間を生む3つの要因
  • 労力をかけずに、売上アップと自由な時間を手に入れる方法

時間は有限なのに、制作・発信・事務といった作業は容赦なく積み重なりますよね。

生成AIを活用すれば、①白紙からの着手、②反復や定型の作業、③品質のばらつきによる手戻り(例:例:クライアントからの修正依頼が続く、自分で何度も見直す手間が発生 など)、という無駄の代表例をまとめて減らすことができます。まずは小さな範囲を生成AIへ任せ、あなたは価値の高い仕事に集中していくのです。

ここを理解すれば、このあと示す手順の意味がはっきりします。

では、具体を確認していきましょう。

生成AIが解決する!日々の業務で無駄な時間を生む3つの要因

第一に「白紙からの着手」。何もない状態は思考負荷が高く、作業開始が遅れがちです。生成AIでアウトラインやたたき台を作れば、あなたは加筆・判断に集中できますね。これによって、着手までの摩擦が下がり、作業スピードを上げられます。

第二に「反復・定型作業」。メールの雛形、要約、データの分類や転記などは、プロンプト一つで一括処理が可能です。些細な作業でも積み重なると大きな時間になります。AIに定型業務を任せることで、より多くの時間を生み出せますよ。

第三に「品質のばらつきによる手戻り」。構成や語調に統一感がないと、無駄な修正が発生します。目的・対象・トーン・禁止事項などを明記したプロンプトを固定することで、品質を安定させることが可能です。これにより、修正作業を減らし、成果物完成までの道のりを短縮できます。

労力をかけずに、売上アップと自由な時間を手に入れる方法

たとえ忙しさに追われる日でも、やることは「極力増やさない」、この思考がまず大切。そして、やることを増やさないための鍵、それは〈任せる→集中する→測る〉の三段ステップです。

まず、下調べ・要約・定型文づくりなど“時間はかかるが価値は低め”の工程は迷わず生成AIに渡します。つぎに、生成AIの活用で空いた時間を「売上に直結する行動」へ割り当て直しましょう(例:見積依頼への即レス、提案の磨き込み、既存顧客のフォロー など)。最後に、削減できた時間と結果を簡単に記録し、AIへのプロンプトを少しずつ整えます。

小さく回して洗練させるほど疲労は減り、収益活動の手数が増えていきますよ。

では、次章で具体的な手順とプロンプトを示します。

【再現性100%】今日から真似できる生成AI活用事例3選と具体的な手順


この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 事例1:ライティング業務を高速化!企画〜執筆までをAIと分業する方法
  • 事例2:SNS運用を自動化!ネタ出し・投稿文作成のプロンプトとツール
  • 事例3:デザイン業務を効率化!アイデア出しや素材作成での活用法

ここでは、無料ツール中心で明日から再現できる手順とプロンプトを提示します。初回準備は十五〜三十分、わずかな時間で大きな変化を実感できるでしょう。

まず“負担の大きい一作業”をAIに任せ、あなたは価値の高い業務に集中できます。安全な始め方とつまずき対策も添え、迷わず進める設計です。では、各事例の具体手順へ進みましょう。

事例1:ライティング業務を高速化!企画〜執筆までをAIと分業

この事例における手順は三つです。

  1. ブリーフ作成
  2. 骨子作成
  3. 本文生成

1.指示メモの作成:「読者の属性」・「閲覧目的」・「目指すべきゴール」といった内容を「読者情報」としてまとめましょう。記事執筆に要する重要情報として生成AIへ渡し、見出し構成案を出します。

2.骨子作成:概要案を基に見出しごとに要点を三つずつ出し、情報に対する根拠や事例も一緒に出力させます。

3.本文生成:各見出しにつき500字程度を目安に草案を作らせ、最後に"あなたが"事実確認と追記を行います。

■お試し最小プロンプト(コピペOK):

あなたは○○の分野に長けた編集者です。対象は{読者情報}とし、{目指すべきゴール}を目的として生成・執筆を行います。今回生成するものは{テーマ}に対する企画資料です。あなたは、渡した情報を基に、「読者の目的に沿った『企画に載せるべき見出し』の生成」、「各見出しの要点を三つずつ出力」、そして最後に「各見出しの内容に沿った本文を500文字目安で出力」してください。なお、情報に対する根拠や事例は、備考として併せて出力をお願いします。

上記のプロンプトは、ChatGPTの無料版で十分に動かせます。

コツとしては、「生成AIに任せる範囲」をしっかり決めることです。例えば今回の例だと、「用語の統一」や「一次情報のリンク挿入」、「情報の事実確認」といった作業が該当するでしょう。ここを明確にするほど、初回から時短効果が期待できますよ。

事例2:SNS運用を自動化!ネタ出し・投稿文作成のプロンプト

この例のポイントは、「考える→書く→整える」をひと流れにし、さらに「各種公式の予約機能(例:各SNSの予約投稿)」も活用して、毎日の投稿を止めないことです。なお、今回も無料ツールだけで回せる最小プロンプトをセットにしておきます。

この事例における手順は、以下の三つ(所要時間:15〜30分)です。

  1. ネタ出し
  2. 投稿文生成
  3. 整形と予約

1.ネタ出し:業種・読者・目的を渡し、重複を避けて30件の投稿案を作成。週3本×10週の計画にします。

2.投稿文生成:各ネタごとに、プラットフォーム別の文字数・口調・ハッシュタグ個数を指定して本文を作らせます。

3.整形と予約:文末表現や表記をそろえ文章を完成させましょう。完成した文章は公式の予約機能(例:各SNSの予約投稿)に登録し、配信まで自動化してしまいます。なお、画像は次の「事例3」で補います。

■お試し最小プロンプト(コピペOK)

あなたは{対象SNS}の投稿編集ディレクターです。私の業種は{業種}、読者は{読者像}、投稿の目的は{目的例:問い合わせ増/認知拡大}です。読者の悩みに刺さる投稿テーマを30件、重複なしで提案してください(週3本×10週分で想定)。うち、上位5件について、{対象SNS}向けに、それぞれ本文を作成してください。制約として、文字数上限:{文字数}、トーン・口調:{やさしい/専門的 など}、末尾に{#主要タグ}を3個付与。なお、文字数上限にはハッシュタグの文字数も含みますので注意してください。

推奨ツールは「ChatGPT(無料)+スプレッドシート(管理)+各SNSの予約機能(配信までをツール化するなら)」。ここでの注意点は「顧客名や金額などの個人情報は入れないこと」、「公開前に事実関係を人が最終確認すること」です。

事例3:デザイン業務を効率化!アイデア出しや素材作成での活用

ここでの狙いは、アイデア出しと初稿づくりの時間を一気に短縮することです。ここも無料ツールで十分に始められますよ。

この事例における手順は、以下の三つ(所要時間:15〜30分)。

  1. アイデア出し:
  2. ラフ→バリエーション:
  3. 素材生成/調整:

1.アイデア出し:用途・サイズ・雰囲気・基調色・避けたい表現といった要素を情報として生成AIに渡し、成果物の方向性案を複数と配色パレットを提案させます。

2.ラフ→バリエーション:複数の方向性案から1案を選び、余白・文字量・レイアウト違いで3パターンを作成。

3.素材生成/調整:AIから受けた指示をそのまま生成AIに渡して生成。背景を透過PNGで書き出し→配置。ここで大切なことですが、"必ず、あなた自身で"商用可・クレジット要否を必ず確認しましょう。

■お試し最小プロンプト(コピペOK)
- プロンプト1(アイデア出し)

あなたはプロのデザインディレクターです。{用途}といった用途で使用する画像を生成してください。画像サイズは{サイズ}、画像の雰囲気は{例:やわらかい/信頼感 など}、基調色は{色}で生成をお願いします。なお、{避けたい表現}のような表現は禁止事項とします。この条件でビジュアルの方向性を10案、各案の配色(3色)と主要レイアウト要素を、あなたから見た優先度順で提案してください。

-プロンプト2(レイアウトバリエーション出し)

では、以下について、文字量{例:多/中/少 など}でレイアウト指示を3パターン示してください。{ここに選択したアイデアを貼り付け}

- プロンプト3(レイアウト作成)

次の指示に従い、画像を生成してください。なお、生成画像は背景を透過でお願いします。指示:{ここに選択したレイアウトバリエーションを貼り付け}


本手順の推奨ツールは「ChatGPT(無料)で完結(微修正を行うために、デザインツール無料版(例:Canva/Adobe Express)も活用するとより良い)」です。

注意点としては「顧客に関わる情報などはAIに渡さないこと」、「生成された画像の商用可否および条件をしっかり"あなた自身が"最終確認すること」です。

なお、ちょっとしたコツとして「AI生成画像は透過背景を書き出す」と汎用性が上がりオススメですよ。

超初心者向け!今すぐ始めるための3ステップと無料ツールの選び方


この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • STEP1:まずは無料ツールで試す!AIに「任せる仕事」を見つける方法
  • STEP2:真似するだけでOK!プロンプトの基本と使い方
  • STEP3:自動化の仕組みを作り、業務を徹底的に効率化する

最初の一歩で迷わないよう、無料だけで今日から始める手順を三段で示します。

STEP1では日常業務から“任せても安全な作業”を特定。STEP2では配布プロンプトを使い、出力の精度を底上げします。STEP3ではミスが起きにくい小さな自動化を組み込み、定着を狙います。無料ツールは①日本語対応②無料枠の上限③データ保存の扱い④導入の手軽さを基準に選定。

失敗しにくい最短ルートを、この後の各見出しで具体化します。

STEP1:まずは無料ツールで試す!AIに「任せる仕事」を見

最初によくあるつまずきは「どの作業からAIに任せれば安全で効果が大きいかが分からない / 悩んで結局手が動かない」です。そこで、本章では「“勘”ではなく、AIに判断」させる方法をご紹介します。

  1. 一覧用のExcelを用意
  2. Excelにタスク一覧を書き出す
  3. AIがタスク一覧を採点&優先度判定
  4. AI活用対象を「あなたが」最終決定

の流れとなるので、あなたはタスクを書き出して添付するだけでOK。A判定(今すぐ委任)から始めれば効果の期待も高く、かつ失敗も起きにくくなるでしょう。

1.一覧用のExcelを用意(5分)

次の列名をそのまま使います。意味が分かる語に統一しているので、迷いにくいはずです。

  • A列1行目:タスク名
  • B列1行目:週回数
  • C列1行目:1回あたりの時間(分) ※大体の数字でOK
  • D列1行目:手順の決まり具合(高/中/低) ※作業手順は毎回ほぼ同じかどうか
  • E列1行目:機密度(公開/社内/機密) ※扱う情報の機密レベル
  • F列1行目:やり直しやすさ(高/中/低) ※作業失敗の際、やり直しやすいかどうか
  • G列1行目:仕上がりの自由度(低/中/高) ※作業結果の決まり / 定めが多いかどうか
  • H列1行目:テンプレの有無(あり/なし) ※作業雛形や過去の事例が情報として存在するか
  • I列1行目:匿名化できる(できる/できない) ※顧客名などの情報を匿名で渡せるか
  • J列1行目:売上との関係(直接/間接/なし) ※作業と売上との関係性

2.Excelにタスク一覧を書き出す(5〜10分)

Excelの2行目〜にタスク情報をどんどん書き込みます。直近1週間の仕事を思い出し、思い当たるものをすべて挙げるつもりで書くといいでしょう(例:見積メール作成、SNS投稿案づくり、請求書の文面調整、ブログ見出し案、議事録の要約 など)。

3.AIがタスク一覧を採点

下記プロンプトをコピペして実行。すると、AIが各タスクを(AIに任せられるかどうか)100点満点で採点し、A/B/Cに分類。Aは「今すぐ委任」、Bは「部分委任(人が最終確認)」、Cは「委任しない」です。

■診断プロンプト(Excel添付版/コピペOK)

あなたは業務効率化コーチ兼データアナリストです。添付のExcel(シート1)から下記列名の表を読み取り、各タスクの**生成AI委任適性スコア(100点)**を算出してください。
列名:タスク名/週回数/1回あたりの時間(分)/手順の決まり具合(高/中/低)/機密度(公開/社内/機密)/やり直しやすさ(高/中/低)/仕上がりの自由度(低/中/高)/テンプレの有無(あり/なし)/匿名化できる(できる/できない)/売上との関係(直接/間接/なし)
採点:週回数0–20、時間0–20(長いほど加点)、手順の決まり具合=高+15/中+8/低0、機密度=公開0/社内−10/機密−30、やり直しやすさ=高+10/中+5/低−15、自由度=低+10/中0/高−10、テンプレ=あり+5/なし0、匿名化=できない−20(できる0)。
出力1:評価表「タスク名|合計点|ランク(A/B/C)|一言理由|注意点〈匿名化/最終確認〉」。

4.AI活用対象を「あなたが」最終決定

出力結果を確認し、最終的には「あなたの判断で」どの業務をAI活用していくかを選びましょう。A判定は早く効果が出て、かつ事故リスクが低いと判断されたタスクなので、もちろん『まずA判定から選ぶ』のがオススメです。

※2025年8月時点で「ChatGPTは公式にExcel(.xlsx)添付での解析をサポート」していますが、利用モデルや設定などで挙動差や制限、精度に問題が出る可能性があります。あらかじめご了承ください。

STEP2:真似するだけでOK!プロンプトの基本と使い方

プロンプトとは、簡単にいうとAIに「何を・どのように・どこまで」してほしいかを伝える指示書です。初心者が迷わず上手に使うコツは、基本要素の中から「何を使うかを選択」して書いていくこと。

プロンプトは非常に奥が深く、学ぼうとすれば終わりなくどこまでも続きます...が、まずは基礎だけで十分。難しい工夫は不要です、まずは基本でしっかりと効果を体験しましょう。

主な基本要素(必要なものを選んで使えばOK)

  • 目的:何を達成したいか。
  • 対象:誰向け/どのデータに対して行うか。
  • 背景・前提:業界や状況、NG情報。
  • 入力素材:要点・テキスト・CSV・過去事例など。
  • 出力形式:表/箇条書き/JSON/チェックリスト など。
  • 制約:口調・件数・列名・重複禁止・締切・文字数。
  • 品質確認:最後にチェックすべき3項目。
  • 安全配慮:匿名化や一次情報リンクの指示。

選び方ガイド(作業タイプ別によく使われる要素)

  • タイプ:作る(下書き・画像指示・返信案):目的/対象/入力素材/出力形式/制約/品質確認。
  • タイプ:整理する(要約・抽出・分類):対象/入力素材/出力形式/制約/品質確認。
  • タイプ:変換する(書式変更・敬語化・CSV→表):入力素材/出力形式(変換後の形)/制約。
  • タイプ:決める(優先度付け・手順設計):対象/評価基準(配点や判断軸)/出力形式/制約/品質確認。

STEP2のプロンプト例(短く確実に動く型|コピペで使えます)

- 例①「整理する」:メール文から“納期・金額”を抽出
下に、簡単なプロンプト例を提示します。

あなたは業務アシスタントです。対象は以下のメール本文、目的は「納期と金額の抽出」。出力形式は表(列=件名/納期/金額/備考)。制約:重複除外・不明は空欄・機密情報は書かない。品質確認:1) 抽出根拠の一文 2) 件数 3) 不明項目の内訳。
——本文ここから——
(メールのテキストを貼り付け)
——本文ここまで——

- 例②「決める」:タスクの優先度をA/B/Cで分類
先ほどのSTEP1のプロンプトもこちらに該当します。先ほどのものは「Excelを添付」する形でしたが、評価 / 判断する情報をそのままプロンプトに貼り付けてももちろん動作可能です。下に、簡単なプロンプト例を提示します。

あなたは業務効率化コーチです。対象は次のタスク一覧、目的は優先度決定。評価基準:頻度×時間が大きい/手順が決まっている/匿名化できる/やり直しやすい。出力形式:表(タスク|点数100|ランクA/B/C|注意点)。Aのみ**最初の一手(40字)**を付けてください。
————タスク一覧————
(ここにタスク一覧を貼り付け)
——タスク一覧ここまで——

繰り返しになりますが、プロンプトは非常に奥が深く、学ぶことも多く、そして学べば学ぶほど複雑で高精度の指令を出すことができるようになります。

ですが、最初から究極を考えて動いても当然結果は出ず、むしろ手が動かなくなる原因となるだけです。まずは「基本」から手を動かし、徐々に学んでいくスタイルがオススメです。

  1. (上の要素リストから)指令に必要なものだけ選ぶ
  2. 素材(テキストやCSV、要点)とともに生成AIに渡す
  3. 出力形式と品質確認を先に指定して実行
  4. 「最後に人が目視チェック」する

この「4」があれば、基本を忠実に踏襲するだけで十分に効果を出すことができます。ぜひ、色々と動かしてみて、基本の動きを体験してみてください。

STEP3:自動化の仕組みを作り、業務を徹底的に効率化する

基本的に生成AIは単体では“文章や要約を作る”ところまでが中心で、業務の自動化=「いつ・何を・どこへ・どう実行するか」には、他のツール利用や新機能の利用、連携といった高めのハードルが存在します。

そして、自動化を強くすればするほど「人間が確認できるタイミング」も減っていくため、総合的に難易度が跳ね上がっていきます...。

そこで、私のオススメは「生成AIで対応する部分」と「人が対応する部分」を分ける"半自動化"スタイルです。これなら、最後に人の手が入ることで品質の確認やリスクの軽減も可能です。

では、タスクのうち、どの部分を生成AIに任せ、どの部分をあなたが対応するのが最適なのか...というお話になりますよね。

そこで以下のプロンプトをご紹介します。あなたの代わりに「どこを生成AIに任せるべきなのか」を判断し出力してくれますよ。今回は、渡す値のサンプルと、その結果も載せておきます。

■コピペで使えるプロンプト:半自動化の“分担”をAIが設計(期待出力はAIが推定)

あなたは業務効率化コーチです。以下のタスク情報を読み取り、最適な出力物の種類と形式をあなたが推定したうえで、半自動化の分担案を作ってください。
【出力形式指示】
- 出力1(推定):タスクのタイプ〔作る/整理する/変換する/決める〕、推定される最適な出力物(例:返信草案/表/チェックリスト/要約)と理由を各40字以内。
- 出力2(分担表|Markdown表):「工程|AIが担当する範囲|人が担当する範囲|注意点(匿名化・最終確認)」。工程は3〜6行で。
- 出力3(実行手順):1〜5の番号で、私が押す操作も含めて短く記述。
- 出力4(確認チェック):最終確認のチェック3項目(数値・固有名詞・機密)。
- 出力5(失敗時の戻し方):ロールバック手順を3行で。
- 出力6(今日の一歩):15分以内でできる最初の作業を1つ。
制約:顧客名や金額などの機微情報は表示しない。推測で空欄を埋めない。
——ここから貼り付け——
——貼り付けここまで——

サンプルによる実施例&実施結果

■生成AIに渡すタスク情報(例)

  • 【タスク名】:見積依頼メールへの一次返信
  • 【入力素材】:件名「見積依頼」/本文「A社より◯◯の概算を…納期の目安は…」 【出力先(任意)】:メール下書き
  • 【禁止事項】:金額を勝手に断定しない/社外秘は記載しない

上記を貼り付けてプロンプトを実行します。以下が、実際に動かしてみたプロンプトの実行結果例です。

■出力1
タイプ=作る/推定出力=返信草案+対応ログ(依頼要点が明確で、即返答が必要なため)

■出力2(分担表)

工程AIが担当する範囲人が担当する範囲注意点
要点抽出依頼本文から件名・納期・条件を要約抽出内容の真偽を目視確認会社名は仮名化
返信草案定型トーンで下書き生成数値・敬語・署名の整合を修正金額は確定表現を避ける
件名・タグ件名候補と対応ログを作成採用件名を選択し保存社内タグの命名規則に合わせる
送信前確認チェックリストを提示最終チェック→送信誤送信防止の二重確認

■出力3(実行手順)

  • メール本文を貼り付け→プロンプト実行
  • AIの要点抽出を確認し、抜けがあれば追記
  • 返信草案の数値と敬語を整える
  • 下書き保存→対応ログを記録→送信

■出力4(確認チェック)
- 数値一致/固有名詞の表記統一/機密情報の削除

■出力5(戻し方)
- 最新版の下書きに巻き戻す→社内テンプレで再生成→上長レビュー依頼

■出力6(今日の一歩)
過去の見積返信から良い一通を選び、語調・署名をテンプレ化。これをAIへの材料として登録しておきましょう。

ぜひ、あなたのタスク例で試してみてくださいね(※生成AIは、都度分析・推論を行なって結果を返すため、常に同じ回答を返すとは限りません。あらかじめご認識のうえ利用をお願いいたします)。

失敗しないための秘訣:安全な始め方と費用対効果の測り方


この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • データは絶対に匿名化!情報漏洩を防ぐための3つのルール
  • 成果を見える化!費用対効果を測るためのチェックリスト

不安が残ると手が止まります。まずは個人情報を特定できないように徹底し、万一の事故を防ぐ意識。次に、時間削減や反応率などのKPIを数値で追い、効果をはっきり可視化します。

小さく始めて確実に積み上げるための“守りと測定”を、この章でそろえましょう。

データは絶対に匿名化!情報漏洩を防ぐための3つのルール

なぜ、データを匿名化すべきなのか?その理由は「データが外部に流れる可能性が増すから」です。

基本的に生成AIに渡したデータは、その内容を外部に渡し処理しています。もちろんサービスは安全対策を講じていますが、

  • 送受信や一時保存の過程でログや履歴に残る可能性
  • 設定や契約によっては品質向上のための利用可否が分かれる
  • 拡張機能や外部連携を使うと第三者に情報が渡る経路が増える
  • 出力結果に機微情報が混入して再共有される

など、さまざまな情報漏洩リスクがあります。ですから、最初から個人や重要内容を特定できる情報は入れないことを基本としましょう。

では、そのために意識して欲しい三つのルール:三大原則です。(固有情報は)「入れない/残さない/広げない」。この三原則で事故は大きく減らせます。

三代原則の1.入れない:実名・社名・住所・連絡先・金額・契約ID・位置情報・画像のEXIFなど、特定や機密につながる情報は伏せる(例:株式会社A/○○さん/¥xx,xxx/ID****)。

三代原則の2.残さない:履歴・一時ファイル・画像のメタデータを整理/削除。共有範囲は最小に。

三代原則の3.広げない:出力の再配布前に、再識別の恐れと誤情報を確認。外部連携は必要最小限、承認フローを必ず挟む。

以下は、情報を「そのまま渡しているプロンプト例」と「匿名化を意識したプロンプト例」です。こちらで、なんとなくイメージが掴めるでしょう

[匿名化なし]

あなたは業務アシスタントです。以下の情報から「返信草案」を作成してください。
【受診メール情報】
——受診メール内容貼り付け——
——メール貼り付けここまで——
【出力依頼フォーマット】
宛先:ABC商事の田中太郎様
自社表記:「PowerCharge合同会社 室川」
メール本文:

※本文は敬体で200〜250字、最後に確認事項を3点添える

[匿名化あり]
※メール本文を先にチェックし、個人情報や重要情報をあらかじめ除外・伏せ字に変えておく

あなたは業務アシスタントです。以下の情報から「返信草案」を作成してください。なお、メール本文を分析・利用する際には、「個人特定に関わる情報(氏名/電話/メール など)が含まれていた場合は無視」し、メモリにも残してはいけません。
【受診メール情報】
——受診メール内容貼り付け——
——メール貼り付けここまで——
【出力依頼フォーマット】
宛先:ブランク(後で手入力)
自社表記:「PowerCharge合同会社 室川」
メール本文:

まず「入れない(渡さない)」、「残さない(残させない)」、視点でプロンプトを用意し、「広げない(出力結果確認)」認識で最終チェックを行うことで、漏洩事故発生を大きく減らせますよ(そのため、自動化は「完全自動化でなく半自動化をオススメしています」)。

成果を見える化する!費用対効果を測るためのチェックリスト

では、せっかくなので、生成AI活用で生まれた時間と成果も、感覚に頼るのではなく"数字"で管理しましょう。時間と結果を、毎週同じ指標で記録します。数字が見えれば実施・継続のためのモチベーションにもつながりますよ。

まず導入前の1週間を基準に取り、以後は週次で同じ方法で比べましょう。

■チェックリスト(週次で記録)

  • 基準値:回数/1回の時間(分)/修正回数を導入前に計測。
  • 時間削減:〈前−後〉×週回数。

例: 1回12分/週10回 の作業が、生成AI活用導入により1回7分に短縮された。

■かんたん計算式

  • 時間削減(週)=(導入前の平均−導入後の平均)×週回数。
  • 金額換算(週)=時間削減(週)×時給目安。例:時給3,000円 → 1分=50円。

■サンプル(仮データでの出力例)
- 対象タスク:見積返信の一次草案づくり(週10回)

指標導入前導入後計算・結果
1回の時間(分)125時間削減/回 = 7分
週回数(回)1010
時間削減(週)7分 × 10回 = 70分/週
修正回数(平均)1.50.7−0.8回(品質↑)
完成数(週)1010変化なし
コストメリット(週)70分 × 50円 = 3,500円/週

■解釈のポイント:
まず、70分/週の可処分時間が戻る=週に1時間以上を別案件対応や休息に回せる、ということですね。しかも、このパターンだと「週に3,500円、月間平均で14,000円前後の費用メリット」が生まれています。こうして「しっかりと数字に落として確認する」と、想像よりも大きいのではないでしょうか。

【よくある質問】個人事業主がAI活用でつまずくポイント


では、ここで「よくある質問」とその回答を掲載しておきます。あなたのつまずきポイントが解消されるかもしれませんので、ぜひご活用ください。

Q1. AI活用って難しそうで、勉強する時間もありません。私にもできますか?

A. 生成AIの基本利用には、専門知識は一切不要です。今回ご紹介する活用法は、誰でも簡単に真似できる「型」としてまとめました。まずは1日15分、この記事で紹介するプロンプトを試すことから始めてみましょう。

Q2. お金をかけたくないのですが、無料ツールだけでも活用できますか?

A. はい、可能です。ChatGPTを始め、無料で使える高性能な生成AIツールは多数あります。むしろ、まずは無料ツールを使い倒し、効果を実感してから有料ツールの導入を検討することをおすすめします。

Q3. 自分の仕事にどう活用すれば良いか、具体的にイメージできません。

A.この記事にて「ご自身のタスクのうち、どのタスクを生成AIに任せるとよいかを判断してくれる事例」を載せています。まずはそちらを試してみてはいかがでしょうか。

Q4. AIに頼りすぎると、自分のスキルが落ちそうで怖いです。

A. 生成AIは「万能なアシスタント」であり、あなたの仕事をすべて代行する/できるわけではありません。アイデア出しや下書き作成など、あくまでもサポート役として活用することで、あなたはより創造的な仕事や、顧客とのコミュニケーションといった「より重要なスキルの習熟」に時間を割くことができるようになります。

Q5. どの事例から始めるべきですか?

A. 最も手軽に始められる代表例の1つが「ライティング業務の高速化」です。日々のメール作成やSNS投稿など、最も身近な業務から試してみるのがおすすめです。その他、本記事で紹介している「あなたのタスクのうち、どのタスクを生成AIに任せるとよいかを判断してくれる事例」も併せてご利用してみてください。

Q6. プロンプトって何ですか?どう書けばいいですか?

A. プロンプトとは、AIへの「指示書」のことです。今回の記事では、初心者でもそのまま使える具体的なプロンプト例を提示しています。まずはそのプロンプトをコピーして、あなたの業務に合わせて少しだけ変更してみましょう。

Q7. 精度が安定しないときはどうすればいいですか?

A. まずは、プロンプトの書き方を見直しましょう。「より具体的に」「より分かりやすく」指示を出すことで、精度が向上します。それでも難しい場合は、複数のツールを試して、あなたの業務に最適なものを見つけるのが良いでしょう。

まとめ:生成AIは「時間」を生み出す最強の相棒になる


  • 無駄時間の圧縮:白紙着手・反復作業・手戻りを、たたき台生成/定型処理/基準プロンプトで削減
  • 明日から再現:ライティング・SNS・デザインの3事例に、手順とコピペ可の最小プロンプトを付属
  • 着手の優先度:タスク診断で適性Aから開始(Excel添付/貼り付けでAIが採点)
  • 指示の作り方:目的・対象・素材・出力形式・制約・確認の基本要素で設計(文章以外の作業にも適用)
  • 安全に回す運用:半自動化で分担—AIが草案、あなたが最終確認と送信。分担設計プロンプト付き
  • 情報漏えい対策:匿名化の三原則「入れない/残さない/広げない」とNG/OKサンプルで実装
  • 効果の見える化:週次で時間削減と金額換算を記録し、続ける・やめるの判断材料にする

この記事で、「どのように小さく素早く最短で生成AIを活かしていくのか」がある程度イメージできたのではないでしょうか。少し長い記事ですが、順番の通りにアクションしていただければ、無料中心でも小さく始め、匿名化を徹底しつつ、失敗リスクを抑えたまま着実に効果を得ていくことができるでしょう。

今後も「生成AI活用」の情報を、個人事業主・フリーランスといった「スモールビジネス視点」を軸に発信していきます。役立ったと感じたらブックマークし、次回の発信もぜひチェックしてください。気になったテーマがあればリクエストも歓迎です。

あなたの現場に“ハマる”実践知を継続的にお届けします。

※以下、本記事を執筆するにあたり活用させて頂いた参照元情報です。当方は情報収集に海外サイトも多く活用いたします。その関係上、参照元が海外サイトとなっている場合もありますので、参照元へのアクセスはご自身の判断にて行ってください(意図しないアクセス防止のため「://」は全角表記となっています。アクセスの際には全角→半角に変換のうえ、ご自身の判断でアクセスをお願いいたします)。
【参照元情報】

参照ページURL情報種類対象情報参照日
OpenAI:File Uploads FAQhttps://help.openai.com/en/articles/8555545-file-uploads-faq一次ソース2025/08/26
OpenAI:Data Controls FAQhttps://help.openai.com/en/articles/7730893-data-controls-faq一次ソース2025/08/26
OpenAI:How your data is used to improve model performancehttps://help.openai.com/en/articles/5722486-how-your-data-is-used-to-improve-model-performance一次ソース2025/08/26
OpenAI:Enterprise privacy at OpenAIhttps://openai.com/enterprise-privacy/一次ソース2025/08/26
OpenAI:ChatGPT for Enterprisehttps://openai.com/chatgpt/enterprise/一次ソース2025/08/26

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室川武範
専門家

室川武範(生成AI活用コンサルタント)

Power Charge合同会社

業務プロセスに多くの変革をもたらす生成AIを「スモールビジネス向け特化型」で活用。大手企業にない「意思決定の早さ」と「実行力の柔軟さ」を生かし、現場のリアルに寄り添った戦略づくりからサポートします。

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