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30年以上のカウンセリング経験と実体験をもとに、相談者のみならずメンタルヘルスの専門家をケア

相談者と支える人をサポートするスーパービジョン・メンター

田中梅野

正面
着席

#chapter1

自ら乗り越えてきた道のりも手がかりの一つに、混乱のさなかにある人や支える人をサポート

 家庭や学校、職場で生きづらさを抱えている人の心の声に耳を傾ける「ステージ・カウンセリングセンター」。代表で臨床心理士の田中梅野さんが、人々が生きていく上で直面するさまざまな問題による心の不調に寄り添います。

 香川県で30年以上、内閣府や自治体、県の教育委員会などの公的機関、民間企業や地域団体など多様な場で心理カウンセラー、キャリアカウンセラーとして活動。幼児や高齢者といった社会的弱者、学生、保護者、現役のビジネスパーソン、企業経営者など、さまざまな属性にある人に向き合ってきました。
 
 長年、現場に身を置いてきた田中さんは、「メンタルヘルスの専門家にも、経験の長さに関わらず、セッションの進め方に迷い、自信が持てずにいる人は少なくない」と実感。横浜市に拠点を移した2017年からは活動の幅を広げ、カウンセラー本人のサポートにも力を入れています。

 田中さんのセッションは、いずれもオンラインのみ。マンツーマン、または同じ悩みを持つ4~7人程度のグループで行います。
 
 「私自身も、子育てや家族を取り巻くトラブルなどで苦悩した生活者の一人。皆さんがあまり経験したことのないような難事に遭遇し、救いを求めて専門家を訪ね歩きもしました」
 自ら乗り越えてきた道のりも手がかりの一つに、「混乱のさなかにある人の支えになれたらうれしい」と意気込みを語ります。

#chapter2

孤独な闘いの中で自身の子どもたちが見舞われた苦難に対峙、貫き通した信念

 田中さんをメンタルヘルスケアの探求へと駆り立てたのは、2人の子どもを襲った命の危機がきっかけでした。

 「長女が生まれてすぐの頃、1歳8カ月の長男ががんの宣告を受けました。決心したのは『医師以外、誰にも言わずに病気と闘う』ということ。『だからと言って長女と区別した育て方はしない』でした」

 母として「120%の命を燃焼させよう」と覚悟を決めた田中さん。
 「本人に事実を告げるのは、成長して巣立つ時。必ずその日を迎えてみせる」という誓いを貫きます。
 「進学を機に家を出る日、長男の『そうだったのか、お母さんに育ててもらってよかった』の言葉を聞き、ようやく心から安堵しました」

 完治の宣言を受け「運命に勝利した」と喜びましたが、今度は既に家庭を持ち母親となっていた長女が、ある不幸な巡り合わせから「生きる気力をなくしてしまうまでに深く傷つけられる」という事態に見舞われます。

 家族の苦難に直面するたび、絶望するのではなく、常に人生や人間心理への洞察を深めようと奮闘してきた田中さん。理不尽な状況に陥った時にも、メンタルヘルスケアの当事者として「自分自身を見失わないためにはどうあるべきか」と自問し、混乱の中でも学ぶことを忘れませんでした。

 「幸い、病気を克服した長男は好きな道を究め、原子核物理の分野で世界へと飛躍しています。長女の問題は継続中ですが、理性を取り戻すまでには回復しています」

 命を削るような体験は、田中さん自身の「心の本質を見通す力」となって、暗闇にある人を包み込んでくれるのかもしれません。

ロゴマーク

#chapter3

メンタルヘルスの専門家へのサポート「スーパービジョン」の取り組みをスタート

 年齢や立場に関わらず、「自分の言葉を十分受け止めてもらえない」と感じている人にこそ手を差し伸べたい」と田中さん。
 「一人の相談者から、ただお話を伺うことに数年を費やすということも珍しくありません。本当の意味で相談者の立場に立つプロセスがなければ、どんなに素晴らしいセッションメニューを用意しても、堂々巡りに陥ってしまうでしょう」

 経験の多さや職務の内容に関わらず、神経をすり減らす機会が少なくないのはカウンセラーも同じ。そこで「カウンセラー自身のマインドを守り、スキルアップを後押しするシステムが必要」と、十分に能力を生かしきれていないメンタルヘルスの専門家に向けたサポート強化を目指して学び、尽力したと言います。

 専門家を支援する「スーパーバイザー」指導のメンターでもある田中さんの元では、単なる事例検討ではなく、各セッションを通してそれぞれの課題に自ら気づき、向き合えるよう導きます。

 「長男の命の恩人である医師とは、その後も親交が続き、涙ながらにご自身の苦労話を打ち明けていただけるほどの間柄になりました。メンタルケアに携わることは、立場の違いをも超えて魂でふれあうことなのかもしれませんね」

 作成したロゴマークには、「私のこれまでの臨床経験と、家族や友人との関わりの中から体得したものを余さず提供したい」との特別な思いが込められています。
 「私の持てる力を皆さんの糧のひとつにして、大地にしっかりと根を張り豊かに実らせてほしいですね」

(取材年月:2023年8月)

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専門家プロフィール

田中梅野

相談者と支える人をサポートするスーパービジョン・メンター

田中梅野プロ

カウンセラー

ステージ・カウンセリングセンター

30年以上のカウンセリング経験と子育て中の過酷な体験をもとに、生きづらさを抱える人の心の声に耳を傾ける。カウンセラーなどのスーパービジョンは元より、学会主催のスーパーバイザー養成講座でも指導に当たる。

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