子育てと仕事の両立 ―不登校について―
こんにちは。臨床心理士・公認心理師の西野です。
前回は、コミュニケーションを高めて人間関係を豊かに!というタイトルで第1部をお届けいたしました。
良好な人間関係を築き、円滑なコミュニケーションを実現するためには、具体的なスキルを身につけることが不可欠です。ここでは、相手に響き、共感を呼ぶための7つのコミュニケーションスキルを厳選してご紹介します。
スキル1:アクティブリスニング - 相手の話を積極的に聴く
アクティブリスニングとは、ただ相手の言葉を聞くだけでなく、積極的に耳を傾け、理解しようと努める聴き方です。相手の言葉だけでなく、表情や身振り手振りなどの非言語的な情報にも注意を払い、共感的な姿勢を示すことが重要です。アクティブリスニングを実践することで、相手は「理解されている」と感じ、より心を開いてくれるようになります。
アクティブリスニングのポイント
| ポイント | 詳 細 |
|---|---|
| 相槌を打つ | はい」「ええ」など、適度な相槌は、相手に「ちゃんと聴いている」という意思表示になります。 |
| 質問をする | 相手の話の内容について質問をすることで、理解を深めるとともに、相手への関心を示すことができます。 |
| 内容を要約する | 「つまり、○○ということですね」と、相手の話を要約して確認することで、誤解を防ぎ、理解度を高めることができます。 |
| 感情に共感する | 相手の言葉だけでなく、感情にも寄り添い、「つらいですね」「嬉しいですね」など、共感の言葉を伝えることで、より深い信頼関係を築くことができます。 |
当たり前のように感じるかもしれませんが、距離の近い方にほど、このコミュニケーションスキルを忘れて、いつもなんだかうまくいかない…ということもあったりします。私にも、あります。
普段のやり取り、少しだけ振返ってみていただけたらと思います。
スキル2:ノンバーバルコミュニケーション - 言葉以外の表現
ノンバーバルコミュニケーションとは、言葉以外の手段で情報を伝達することです。表情、視線、身振り手振り、姿勢、声のトーンなどが含まれます。これらの要素は、言葉以上に相手に強い印象を与えることがあります。例えば、笑顔で話すことで親近感を抱かせたり、相手の目を見て話すことで真剣さを伝えたりすることができます。
ノンバーバルコミュニケーションの活用例
| 表現方法 | 効 果 |
|---|---|
| 笑顔 | 親近感、好意、安心感を与える |
| アイコンタクト | 真剣さ、誠実さ、自信を伝える |
| 適切な身振り手振り | 話の内容を強調し、理解を助ける |
| リラックスした姿勢 | 安心感、親しみやすさを与える |
| 適切な声のトーン | 熱意、感情、重要性を伝える |
スキル3:質問力 - 相手の本音を引き出す質問をする
質問は、相手への関心を示すとともに、相手の考えや気持ちを引き出すための強力なツールです。効果的な質問をすることで、相手はより深く自己開示してくれるようになり、相互理解が深まります。質問には、大きく分けて「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」の2種類があります。
•オープンクエスチョン:
「はい」「いいえ」で答えられない質問。相手に自由に答えてもらうことで、より多くの情報を引き出すことができます。(例:「今日の会議についてどう思いましたか?」「最近、何か面白いことはありましたか?」)
•クローズドクエスチョン:
「はい」「いいえ」で答えられる質問。特定の情報を確認したい場合に有効です。(例:「この資料は確認しましたか?」「明日の会議に参加できますか?」)
質問力を高めるポイント
| ポイント | 詳 細 |
|---|---|
| 目的を持って質問する | 何を知りたいのかを明確にしてから質問することで、より効果的な情報を得ることができます。 |
| 相手に合わせた質問をする | 相手の性格や立場を考慮して、適切な質問をすることで、より本音を引き出すことができます。 |
| 質問の意図を明確にする | 質問の意図が伝わるように、分かりやすい言葉で質問することで、誤解を防ぐことができます。 |
| 質問の後に十分な時間を与える | 相手が考え、答えるための時間を十分に与えることで、より深い回答を得ることができます。 |
このポイントは親子関係でも非常に有効なポイントです。
自分で行動できるようになると、子どもは大人と同じように応答できると思ってしまいがちですが、考える時間や言葉を探す時間を十分与えることで、ちゃんとお話しできることが多かったりします。
大人が代弁してしまったり、「こうだよね?」と先回りしてしまうことで、子どもも大人も、話しづらくなり、結果的に、本心を言わなくなったり、陰で物を言うようになったりします。
この質問力を高めるポイント、頭の片隅に置いておいていただけたらと思います。
スキル4:アサーティブコミュニケーション - 自分の意見を尊重しつつ、相手も尊重する
アサーティブコミュニケーションとは、自分の意見や気持ちを率直に、かつ建設的に表現するコミュニケーションスタイルです。自分の意見を主張するだけでなく、相手の意見や気持ちも尊重することが重要です。アサーティブコミュニケーションを実践することで、良好な人間関係を築きながら、自分の権利やニーズを守ることができます。
アサーティブコミュニケーションのポイント
| ポイント | 詳 細 |
|---|---|
| 「私は~」を主語にする | 「あなたは~」ではなく、「私は~」を主語にすることで、相手を責めることなく、自分の気持ちを伝えることができます。(例:「あなたの言い方は不適切だ」ではなく、「私はあなたの言い方に傷ついた」) |
| 具体的に伝える | 抽象的な表現ではなく、具体的な言葉で伝えることで、誤解を防ぎ、自分の意図を正確に伝えることができます。(例:「いつも遅刻する」ではなく、「先週の月曜日と今日の会議に遅刻した」) |
| 相手の意見も尊重する | 自分の意見を主張するだけでなく、相手の意見にも耳を傾け、尊重する姿勢を示すことで、建設的な対話ができます。(例:「私はこう思うけど、あなたの意見も聞かせてほしい」) |
実りの森でも、アサーティブコミュニケーションのセミナーなどを実施しております。気になる方は、お気軽にお問合せください。
Jimu@minori-no-mori.com
スキル5:褒め上手 - 相手の良いところを見つけて伝える
褒めることは、相手のモチベーションを高め、良好な人間関係を築くための効果的な方法です。褒め上手になるためには、相手の良いところを注意深く観察し、具体的に伝えることが重要です。また、褒める際には、心からの感謝の気持ちを込めることが大切です。
褒め上手になるためのポイント
| ポイント | 詳 細 |
|---|---|
| 具体的に褒める | 「すごいですね」だけでなく、「○○さんの企画書は、データに基づいた分析が素晴らしいですね」のように、具体的に褒めることで、相手は自分の努力が認められたと感じます。 |
| プロセスを褒める | 結果だけでなく、努力やプロセスを褒めることで、相手のモチベーションを高めることができます。(例:「今回のプロジェクト、大変だったと思いますが、最後まで諦めずに頑張りましたね」) |
| タイミング良く褒める | 褒めるタイミングも重要です。良い結果が出た時や、努力が認められた時に、すぐに褒めることで、より効果的に相手の心に響きます。 |
| 心からの感謝を込める | 褒める際には、心からの感謝の気持ちを込めることが大切です。感謝の気持ちが伝わることで、相手との信頼関係が深まります。 |
スキル6:ユーモア - 場を和ませ、親近感を抱かせる
ユーモアは、場を和ませ、人間関係を円滑にするための強力な武器です。ただし、ユーモアを使う際には、相手や状況を考慮し、不快感を与えないように注意する必要があります。相手がどう受け取ったら良いか戸惑うレベルの自虐ネタや、相手を傷つけるようなジョークは避けるべきです。
相手を傷つけるつもりがなくても、例えば、最近、身内をなくしたばかりの方に、生死に関するジョークは重く響いてしまうこともあります。相手の状況が分からないと逆効果になってしまうこともある「ユーモア」ですが、相手に配慮した上で、上手に使うことができると、周囲の人との距離をぐんと縮め、親近感を抱かせることができます。
ユーモアを活かすポイント
| ポイント | 詳 細 |
|---|---|
| 軽めの自虐ネタを使う | 自分の失敗談や弱点をユーモラスに語ることで、親近感を抱かせることができます。 |
| 軽いジョークを挟む | 会話の中に軽いジョークを挟むことで、場を和ませることができます。 |
| 状況に合わせたユーモアを使う | 場の雰囲気に合わせて、適切なユーモアを使うことが重要です。 |
| 相手を傷つけるようなジョークは避ける | 相手の容姿や性格、過去の失敗などをネタにするのは避けましょう。 |
スキル7:自己開示 - 自分のことを話して、相手との距離を縮める
自己開示とは、自分の個人的な情報や感情を相手に伝えることです。自己開示をすることで、相手はあなたに対して親近感を抱き、信頼感を深めます。ただし、自己開示をする際には、相手との関係性や状況を考慮し、適切な範囲で行うことが重要です。初対面の人に、いきなり深い話をするのは避ける方がベターです。
自己開示のポイント
| ポイント | 詳 細 |
|---|---|
| 少しずつ自己開示する | 初対面の人には、趣味や最近あった出来事など、軽い話題から自己開示を始めましょう。 |
| 相手の反応を見ながら深める | 相手が興味を示しているようなら、少しずつ深い話をするようにしましょう。 |
| ネガティブな話ばかりしない | 自分の失敗談や悩みなどを話すことも大切ですが、ネガティブな話ばかりにならないように注意しましょう。 |
| 相手にも自己開示を促す | 自分だけが話すのではなく、相手にも自己開示を促すことで、より対等な関係を築くことができます。 |
これらのスキルを意識して実践することで、あなたのコミュニケーション能力は飛躍的に向上し、より豊かな人間関係を築くことができるでしょう。
タイプ別攻略!相手の心をつかむコミュニケーション術
コミュニケーションは、相手の個性やタイプを理解し、それぞれに合ったアプローチをすることで、より効果的に、そして円滑に進めることができます。ここでは、代表的な4つのタイプに分け、それぞれの特徴と効果的なコミュニケーション術を解説します。
論理的なタイプへのアプローチ
論理的なタイプは、データや根拠に基づいた説明を重視します。感情的な表現や曖昧な言い方は避け、客観的な事実を提示することが大切です。
| ポイント | 詳 細 |
|---|---|
| 事実に基づいた説明 | 感情論ではなく、データや具体的な事例を用いて説明する。 |
| 論理的な構成 | 結論から先に述べ、理由や根拠を明確に示す。 |
| 専門用語の使用 | 相手が理解できる範囲で、専門用語を使用する。 |
| 質問への的確な回答 | 質問には、正確かつ簡潔に答える。 |
例:
•「この施策によって、過去3ヶ月で売上が15%向上しました。詳細なデータはこちらの資料にまとめてあります。」
•「A案とB案を比較した結果、コスト効率とリスクの面でA案が優れていると判断しました。理由は以下の通りです。」
情緒的なタイプへのアプローチ
情緒的なタイプは、共感や感情的なつながりを重視します。相手の気持ちに寄り添い、感情を理解しようとする姿勢が大切です。
| ポイント | 詳 細 |
|---|---|
| 共感の表現 | 「お気持ちお察しします」「それは大変でしたね」など、共感の言葉を伝える。 |
| 感情に訴える表現 | 「このプロジェクトは、お客様の笑顔のために重要です」「この活動を通して、社会貢献できます」など、感情に訴える言葉を使う。 |
| 感謝の気持ちを伝える | 「いつもありがとうございます」「〇〇さんのご協力に感謝します」など、感謝の気持ちを伝える。 |
| 親身な態度 | 相手の話を注意深く聞き、親身になって相談に乗る。 |
例:
•「〇〇さんの頑張りは、チームにとって大きな力になっています。本当に感謝しています。」
•「この問題は、お客様にとって非常に重要なことだと理解しています。全力でサポートさせていただきます。」
内向的なタイプへのアプローチ
内向的なタイプは、自分のペースでじっくりと考えたいと思っています。急かしたり、無理に話させようとしたりせず、落ち着いて話せる雰囲気を作ることが大切です。
| ポイント | 詳 細 |
|---|---|
| 静かな環境 | 騒がしい場所ではなく、落ち着いて話せる場所を選ぶ。 |
| 時間をかけて話を聞く | 相手が話し始めるまで、焦らずに待つ。 |
| 質問は具体的に | Yes/Noで答えられる質問や、選択肢のある質問をする。 |
| 意見を尊重する | 相手の意見を否定せず、まずは受け止める。 |
例:
•「〇〇さん、この件について何かご意見はありますか? もしよろしければ、後日改めてお聞かせいただいても構いません。」
•「この選択肢の中で、〇〇さんが最も良いと思うものはどれですか?」
外向的なタイプへのアプローチ
外向的なタイプは、人と話すことが好きで、積極的に意見を交換したいと思っています。明るくオープンな態度で接し、積極的に会話に参加させることが大切です。
| ポイント | 詳 細 |
|---|---|
| 積極的に話しかける | 明るく笑顔で、積極的に話しかける。 |
| 意見を求める | 「〇〇さんはどう思いますか?」「何かアイデアはありますか?」など、積極的に意見を求める。 |
| 会話を盛り上げる | ユーモアを交えたり、共通の話題を見つけたりして、会話を盛り上げる。 |
| 褒める | 相手の良いところを見つけて、積極的に褒める。 |
例:
•「〇〇さんのアイデアはいつも素晴らしいですね! 今回の件でも、何か良いアイデアはありませんか?」
•「〇〇さんと話していると、いつも元気をもらえます!」
これらのタイプ分けはあくまで一例であり、実際には様々な要素が複雑に絡み合っています。ですが、相手のタイプを意識し、柔軟に対応することで、より円滑なコミュニケーションを実現することができます。 コミュニケーションの傾向を分類した指標 を参考に、相手に合わせたアプローチを心がけましょう。
自己分析・他者分析でコミュニケーションをもっと豊かに…
実りの森の研修会・セミナーのご依頼は事務局宛にお気軽にどうぞ。
jimu@minori-no-mori.com
コミュニケーション実践編でした。
次回は、ビジネスシーンで差がつくコミュニケーション術です。




