「不登校」過去最多の今、こころの専門家と解決へ|武蔵小杉 実りの森 後編

西野薫

西野薫

テーマ:実りの森のカウンセリングについて


さて、前編からの続きになります。

前編では、相談先の選び方や、多く寄せられる相談など、お話させていただきました。
「不登校」過去最多の今、こころの専門家と解決へ 前編
後編は、保護者の皆さまにお伝えしたいことなどお話させていただきます。

保護者さまに向けた内容ではありますが、前編に続き、他人事ではなく、社会全体で子ども・家族を支える土台を作っていけたらと願っております。多くの方に、不登校についての知見を深めていただけますように…

6. 不登校の保護者さまに伝えたいこと(心構え、対応方法など)

お子さんが不登校になると、保護者さまは、様々な不安や悩みを抱えることが多くなります。

「どうして学校に行ってくれないの…」
「このままでは、子どもの将来はどうなってしまうの?」
「仕事をやめることも必要なのだろうか…」
「あのとき、もし、ああしていたならどうだったのだろう…」

と、時に、ご自分を責めたり、途方に暮れたりしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、まず知っておいていただきたいのは、
不登校は、お子さんからのSOSサインであり、様々な要因が複雑に絡み合って起こるということです。保護者さまのせいではありませんし、将来が閉ざされることもありません。

この章では、不登校のお子さんを持つ保護者さまが、どのように子どもと向き合い、サポートしていけばよいのか、心構えや対応方法について解説します。
ただ、繰り返しになりますが、100人いれば100通りのケアの方法があります。あくまでも、ここに上げる解説も一般的なお話として受け止めていただけたらと思います。

6-1. 保護者さま自身のケア:ご自分を大切にすることが、子どもを支える力になる

不登校のお子さんを支えるためには、まず、保護者さまご自身が心身ともに健康であることが大切です。

  • 抱えやすい悩みやストレス: 不登校のお子さんを持つ保護者さまは、子どもの将来への不安、学校との関係、時として周囲の目など、さまざまな悩みやストレスを抱えやすいものです。
  • 相談できる相手を見つける: 家族、友人、親の会、専門機関など、信頼できる人に相談しましょう。一人で抱え込まず、誰かに話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
  • ストレス解消、リフレッシュ: 趣味や運動など、ご自分なりのストレス解消法を見つけ、リフレッシュする時間を作りましょう。保護者さまご自身が生き生きと過ごされている姿が、お子さんにとっての「モデリング」になります。お子さんの中には「学校に行っていないのに楽しんではいけない…」と思い込み、心の回復を遅らせてしまうことが多くあります。生きることは、たくさんの痛みがあるけれど、たくさんの喜びもある…お子さんが、その「たくさんの喜び」に手を伸ばせるよう、まずは、保護者さまが心身を休め、楽しいことや喜びを感じることを生活に取り入れることが大切です。
  • 自分を責めない、完璧を求めない: 不登校は、親のせいではありません。自分を責めたり、完璧を求めたりせず、「できることを、できる範囲で」という気持ちで、お子さんと向き合いましょう。ベストを目指すよりも、ベターを積み重ねる方が小さな達成感を積み重ねることができ、急がば回れでお子さんに良い反応が見られることが多いです。

6-2. 不登校は親のせいではない:ご自分を責めない/抱え込まない

不登校のお子さんを持つ保護者さまの中には、

「あの時、ああするべきだったのではないか」
「育て方をどこかで間違ったのではないか」

と、自分を責めてしまう方もいらっしゃいます。

ですが、不登校は、家庭環境が一因であるときもありますが、それだけが原因ではありません。成長途中の揺らぎ、学校での人間関係、学習のつまずき、発達の特性、社会全体の変化など、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こるのです。

ですから、もし、ご自分を責めているとしたら、まずはご自分を責めることをやめましょう。そして、一人で抱え込まず、誰かに相談することが大切です。なぜならば、お子さんに必要なケアは多方面に及んでいる可能性が高いからです。みんなでお子さんを支え、お子さんとご家族の世界を狭めないようにしましょう。

6-3. 子どもの気持ちを受け止める:不登校の背景にあるSOSサインに耳を傾ける

不登校のお子さんは、

「学校に行きたくない」
「学校に行けない」

という気持ちを、言葉や態度で表現しています。

しかし、その背景には、言葉ではうまく表現できない、さまざまな感情が隠されています。

例えば、

  • 友達とうまくいかないことへの不安
  • 先生に叱られることへの恐怖(これは、自分ではなく、他の子が叱られている時にも恐怖を感じていたりします)
  • 勉強についていけないことへの焦り
  • 将来への漠然とした不安
  • 自分はダメな人間だという自己否定感・自尊心の低下
  • 誰にも理解してもらえないという孤独感

など、子どもたちは、様々な心の痛みを抱えています。
周囲の大人は、まず、お子さんの「学校に行きたくない」という気持ちを否定せず、共感的に受け止めることが大切です。

「どうして行きたくないの?」
「みんな行っているのに」
などの行きたくない気持ちを否定するメッセージではなく、

「何かあったの?」
「今、つらいんだね…」と、
優しく声をかけ、子どもの話に耳を傾けましょう。

子どもの話を聴くときは、途中で口を挟んだり、アドバイスしたりせず、最後までじっくりと聴くことが大切です。

ときに、言葉は無力です。何か伝えようとするよりも、そっと背中をさすってあげる方が、ねぎらいの気持ちが伝わることもあります。なにがあっても、あなたの味方…ということが伝わるだけで、お子さんの気持ちは軽く強くなります。

6-4. 安心できる居場所づくり:家庭や地域に温かい「心の避難場所」を見つける

不登校のお子さんには、安心して過ごせる「心の避難場所」が必要です。家庭や地域の居場所において、特に大切なことは以下の点です。

  • 温かい雰囲気づくり: みんなが穏やかに過ごせるよう、温かい雰囲気づくりを心がけましょう。
  • 規則正しい生活リズム: 睡眠、食事、運動など、規則正しい生活を送ることは、心身の健康を保つ上で非常に重要です。
  • ゲームやインターネットとの付き合い方: ゲームやインターネットの利用時間や利用方法について、ルールを決め、守れるように支援していきましょう。頭ごなしに禁止するのではなく、話し合いながらルールを決めることが大切です。
  • 学習支援: 家庭教師やオンライン学習など、学校以外の学習機会を提供することも検討しましょう。無理強いするのではなく、お子さんのペースに合わせて、少しずつ学習に取り組めるようにサポートしましょう。
  • 家族間のコミュニケーション: 家族で話し合う時間を作り、コミュニケーションを密にしましょう。何気ない会話の中に、子どもの気持ちが見え隠れすることがあります。

6-5. 学校との連携:情報共有と協力体制で子どもを支える

不登校の解決には、学校との連携も欠かせません。

  • 担任教師との連絡: 定期的に担任教師と連絡を取り、お子さんの状況や学校での様子について情報共有を行いましょう。
  • 養護教諭との相談: お子さんの体調や心の健康状態について、養護教諭に相談することもできます。
  • スクールカウンセラーとの連携: スクールカウンセラーは、心理の専門家です。お子さんの心のケアや、学校との連携について、専門的な立場からアドバイスやサポートをしてくれます。
  • 伝えるべきこと、聞くべきこと: 学校には、お子さんの状況や家庭での様子、保護者さまご自身の考えや希望などを詳しく伝えましょう。また、学校での様子や、今後の対応について、詳しく聞きましょう。
  • 学校との連携における注意点: 学校との関係がうまくいっていない場合は、無理に連携しようとせず、他の相談機関を頼ることも検討しましょう。

6-6. 専門機関との連携:適切なサポートで問題解決を加速

子どもの不登校は、家庭や学校だけで解決できるとは限りません。
そもそも、家庭や学校だけで抱えようとするところに課題があったりします。
専門機関をうまく活用し、適切なサポートを一緒に考えていけると良いでしょう。

  • 専門機関の役割: 専門機関は、不登校の原因や背景にある問題を明らかにし、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。
  • 専門機関の種類: 専門機関には、教育相談センター、教育支援センター(適応指導教室)、フリースクール、カウンセリング施設、医療機関など、さまざまな種類があります。
  • 実りの森の活用: 実りの森のような包括的サポート機関は、カウンセリング、発達検査、保護者支援、教職員支援など、さまざまなサービスを提供しています。
  • 連携における注意点: 専門機関との連携においても、情報共有や協力体制が重要です。

6-7. 不登校のその先:子どもの可能性を信じ、多様な選択肢を視野に

不登校は階段の踊り場のようなものです。適切なケアで、また元気に進むことができます。
不登校を経験した子どもたちの中には、その後、自分らしい生き方を見つけ、社会で活躍している人もたくさんいます。

  • 多様な進路、選択肢: 学校復帰だけでなく、フリースクール、通信制高校、高卒認定試験など、さまざまな進路や選択肢があります。
  • 社会的自立に向けたサポート: 社会的自立に向けて、学習支援、就労支援、生活支援など、さまざまなサポートがあります。
  • 子どもの可能性を信じる: お子さんの可能性を信じ、将来を見据えたサポートをしていきましょう。

不登校は、お子さんにとっても、保護者さまにとっても、苦しい時間になることがあります。ですが、その経験を通じて、家族の絆が深まったり、新たな価値観を発見したりすることもあります。

不登校のこの時間を、実り多い経験に昇華して、お子さんが生き生きと未来を歩んでいけるよう、できる限りのサポートをしていきましょう。困ったときは、いつでも実りの森にご相談ください。私たち専門家が、あなたとお子さんを全力でサポートします。

7. まとめ

2回に渡るこの記事では、不登校の現状、相談先の種類と選び方、保護者さまに伝えたいこと、そして実りの森のサポート内容について、詳しく解説してきました。

7-1. 不登校は一人で悩まず、専門家に相談を

不登校は、決して珍しいことではありません。
文部科学省の調査によると、小中学校における不登校児童生徒数は、過去最多を記録し続けています。
不登校の原因は、一人ひとり異なります。
成長に伴うゆらぎ、友人関係のトラブル、学業不振、家庭環境の問題、発達の特性など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
「学校に行きたくない」という子どもの気持ちを、大人の価値観で否定せず、まずは、その気持ちを受け止めることが大切です。
そして、家庭だけで抱え込まず、専門機関に相談しましょう。
専門家のサポートを受けることで、次のようなメリットがあります。

  • 不登校の原因や背景にある問題を、客観的に把握できる。
  • 子どもの状況に合わせた、適切なアドバイスや支援を受けられる。
  • 保護者自身の悩みや不安を解消できる。
  • 学校や関係機関との連携がスムーズに進む。
  • 子どもの将来を見据えた、長期的なサポートを受けられる。

7-2. 実りの森が提供する包括的サポート

実りの森は、武蔵小杉を拠点とする、こころのケアの専門機関です。

臨床心理士・公認心理師、臨床発達心理士、精神保健福祉士、ファイナンシャルプランナーなど、さまざまな分野の専門家が連携し、お子さんだけでなく、ご家族全体を包括的にサポートしています。

実りの森の強み

  • 専門性: 経験豊富な臨床心理士・公認心理師による質の高いカウンセリングを提供します。
  • 多職種連携: さまざまな専門家が連携し、多角的な視点から問題解決をサポートします。
  • 学校との連携: 長いスクールカウンセラ―の経験を生かし、学校との連携も行います。
  • 個別対応: 一人ひとりの状況に合わせた、オーダーメイドのサポートを提供します。

提供サービス

  • カウンセリング(個人、家族)
  • 発達検査(WISC-V、WAIS-IVなど)
  • 発達臨床支援(ソーシャルスキルトレーニング、アンガーマネージメントなど)
  • 保護者支援(カウンセリング、相談、家庭訪問、ペアレントトレーニング)
  • 教職員・スクールカウンセラー向け相談、スーパービジョン
  • 精神保健福祉士、ファイナンシャルプランナーとの連携

実りの森は、他の相談機関とは異なり、カウンセリングだけでなく、発達検査、発達支援、保護者支援、教職員支援など、幅広いサービスを提供しています。
これにより、不登校の問題を、多角的に捉え、包括的に解決していくことが可能です。

7-3. まずはお気軽にご相談ください

「どこに相談すればいいのかわからない」
「相談しても、解決するのだろうか」
そんな不安を抱えている方も、まずは、実りの森にご相談してみてください。
実りの森ではウェブサイトの相談予約フォームから、相談予約を受け付けています。

7-4. 実りの森からのメッセージ:深い森の中で、迷ったように感じるときも、より豊かな世界に一歩踏み出すお手伝いをしていきます。

不登校は、お子さんにとっても、保護者さまにとっても、苦しい時間になることが多いです。だからこそ、どうか一人で悩まないでください。
実りの森は、気持ちに寄り添い、共に悩み、共に考え、専門職として共に解決への道を探していきます。
実りの森は、いつでもあなたを温かく迎え、全力でサポートします。
遠くない未来、この苦しい時間が「豊かな実りになった」と共に喜べることを心から願っています。
深い森の中は、暗く怖く感じることがあるかもしれません。ですが、実は、その足元にも豊かな実りがあります。
実りをその手に受け取りながら、明るい森の出口を目指していきましょう。

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西野薫
専門家

西野薫(臨床心理士・公認心理師)

一般社団法人 実りの森

子どもから大人まで生き生きと暮らせる社会を目指し、25年間、心理士として心の課題に向き合ってきた知見をもとに、各種講演会・セミナー、途切れることのない心理支援や企業・地域のメンタルヘルスを行っている。

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